「さかなクン」以上にすごいのは、さかなクンを育てたお母さま
さかなクンは私の尊敬する人物の一人ですが、それ以上に尊敬している方がいます。さかなクンを育てた、さかなクンのお母さまです。
さかなクンは、言わずと知れた魚の博士ですが、絵も個性的で文章も上手、なにより正直で温かくて飾らない人柄が魅力的ですよね。
同じ魚好きとして、そして同じ猪突猛進系として、さかなクンのことはメディアに出てきたときから気になっていました。そんなさかなクンの秘密が、青い鳥文庫の「一魚一会(いちぎょいちえ)」に、詳しく書かれていました。
さかなクンは、生まれたときから、一度好きになったら止まらない、最後までやりきらないと気がすまない性格だったそうです。かなり早い段階から魚にのめり込むのですが、その前にトラック、ごみ収集車、タコ…と、のめり込む対象が変遷します。
そんなとき、お母さまはさかなクンをじっと見守り、決して口を出しません。ときには大失敗することがあっても、手を貸さず、失敗することの大切さを身をもって学ばせようとする…そんなお母さまなのだそうです。
台所での対応も、母の鏡です。さかなクンは子供のころから、台所でお母さまの隣に踏み台で並び、お手伝いするのが大好きだったそうです。本書には「小さなころからお手伝いしていたので、包丁を持つのに何の抵抗もありませんでした」とあります。
…ああ、すでに私、娘が「お手伝いする!」と言ってきても、面倒くさくなって「今日はいいよ、大丈夫、また今度ね」と言って、追い払ってしまうことが多い気がします…。子供が成長しようとするチャンスを、つぶしているのではないか…。心が痛みますね。。
また、さかなクンは子供のころ、買ってもらった魚をさばいてお刺身にして食卓に出すのが好きだったそうなのですが、いつも魚屋さんの真似をして水でバシャバシャお刺身を洗ってしまっていたそうです。水っぽくておいしくないお刺身は、家族には大不評だったそうなのですが、それでもお母さまは口出しせず、自分で気づくまで見守っていたそうです。すごい忍耐力!
そんなお刺身でも、付き合って食べてくれた家族(お父さまとお兄さんがいるようです)も、本当に優しい。素晴らしい家族なんですよ。
久しぶりに、心温まるエッセーに出会いました。
子供向けのエッセーですが、ぜひ、子育てに悩む全国のお父さん、お母さんに読んでほしい一冊です。
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