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親子登山が思ったようにいかない根本的な原因

「親子で登山を楽しみたい」と思っている方がいらっしゃいます。でも「なかなか思っているようにいかないんだよなぁ」とジレンマを感じている方が多いです。その原因はどこにあるのでしょう?

親子で登山を楽しみたい

長野県は「山国」なだけあって、「親子で登山を楽しみたい」と思っている親御さんがいらっしゃいます。そういう親御さんは主に2つのパターンがあります。
①昔登山をやっていた(あるいは今もやっている)
②UターンあるいはIターン

①の親御さんはいわゆる「登山者」です。自分が山に登ってきて感じた「山の良さ」を子供にも伝えたい、味わってほしいという思いです。
②の親御さんは「登山者ではない」ことも多いです。自然や山が好きで信州に住むようになり、子供たちと一緒に登山を始めたいという方です。

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親の思い

親の思いは様々です。

山頂からの景色を見せてあげたい。
自然の素晴らしさ、雄大さを知ってほしい。
美しい自然を体感してほしい。
自然を楽しんでほしい。
感動を共有したい。
達成日を味わってほしい。
忘れられない思い出を作りたい。
たくましくなってほしい。根気強くなってほしい。
虫や生き物と触れ合ってほしい。
体を鍛えたい。
困難に負けない心を持ってほしい。
頑張ればできるって経験をさせてあげたい。
自然の厳しさを知ってほしい。 ・・・etc.

皆さん様々な思いを抱いています。特に「登山だからこそ」得られるものも多いですね。なんとなく①の方は山に対する“思いが強く、②の方は山に対する憧れが強い傾向にあるように思います。

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親の思いとは裏腹に

そうして山に出かけて見たものの「ちょっと思ったようにいかない」というケースが多いです。親の思いとは裏腹に子供たちは

疲れた
しんどい
暑い
喉が渇いた
お腹すいた
足が痛い
荷物が重い
家のほうがいい
虫が嫌い
花に興味ない

なんてことを言ってきます。そう、ぐずるのです。「親御さんが思い描いていた登山の姿」にならないのです。そうしてイライラしてしまうのです。
どうしてこうなってしまうのでしょう?

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原因は様々

そこには様々な原因が考えられます。

段階を踏んでいない
季節が悪い
山選びが間違っている
装備が悪い
甘やかしすぎている
自由にさせすぎている ・・・etc.

例えば「装備」。①の親御さんは大丈夫ですが、②の親御さんは知識がないがゆえに陥りがちです。「外で遊ぶ=Gパン」となりがちですが、Gパンで山を登るのは苦行です。そりゃしんどくて嫌になるでしょう。「綿のTシャツ」も普段着ならいいですが、山では汗を吸ってべたつくし、乾かないので不快でしかありません。そりゃ気持ち悪くて嫌になるでしょう。

また①の親御さんは「思いが強すぎる」ことが、②の親御さんは「憧れが強すぎる」ことがあります。特にネットやSNSの影響で「理想像」を抱きすぎていると、現実とのギャップにジレンマを感じてしまうでしょう。OKレベルを下げないと親も子もしんどいです。

根本的な原因

そしてもう一つ「思ったようにいかない根本的な原因」があるのです。それは「親子だから」です。つまり「子供は親に甘えるものだから」です。

私たちはキッズ登山(子供だけが参加する登山)、ファミリー登山(親子で参加する登山)を開催しています。その両方に参加している子供を見ていると、親がいる時といない時で明らかに振る舞いが違っていることがわかります。

「この子はなかなか自分で自分のことができなくて・・・」という親御さんがいます。確かに親子でいる時その子はできていなくて、親御さんが世話をやいています。でも、その子だけで登山に参加している時、その子はちゃんと自分で自分のことができているのです。世話を焼いてくれる親がいなければ、自然とその子は自分でできるんです。

「この子は甘えていて、すぐに泣き言をいうんです・・・」という親御さんがいます。確かに親子でいる時その子は「疲れた」とか「暑い」とか弱音や文句が多いです。でも、その子だけで登山に参加している時、その子は弱音を吐かずにしっかりと歩いているんです。周りのお友達が頑張っていると、自然と自分も頑張れるんです。

「はじめてのおつかい」という番組があります。いつも甘えているような子でも、親元を離れると意外と強くなれるようです。「この子にこんな一面があったのか!」と驚かされます。親御さんが見ている「我が子」の姿は、私たちが見ている「その子」の姿とは違っていることが多いんです。

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親子登山成功のポイント

まずは登山の知識を身につけてください。装備、服装、山選び、歩き方、ペース配分、休憩の仕方、水分や行動食の取り方・・・、上手な登り方をしないと子供は疲れるだけですし、怪我のもとです。

次に子供の特性に気をつけてください。飛ばしすぎる、ペース配分ができない、はしゃぐ、筋力がない、体温調節がうまくできない・・・、これらも上手にコントロールしないと体力を消耗するだけですし、事故につながります。

最後に少し子供にまかせてあげてください。自分の荷物は自分で背負わせる、自分のことは自分でさせる、世話を焼きすぎない、甘やかしすぎない、役割を与えてあげる・・・、そうすると子供は張り切って、親が思っている以上にしっかり者になるでしょう。

登頂、絶景、美しい景色、花、生き物、感動・・・、何かを得ることを目標にしてしまうと、それが得られなかった時は失敗になってしまいます。山で一番大切なことは「全員で無事下山」です。登頂を断念して引き返そうが、ガスで何にも見えなかろうが関係ありません。無事に下山できたことを、いつでも大喜びしましょう。

その上で何か1つでも2つでもいいことがあれば、儲けもんです。2、3日したら「何が面白かったか」聞いてみてください。子供は遊びの天才です。ガスだろうが雨だろうが、きっと面白いことを見つけているはずです。「親の思惑」とは違うところを楽しんでいたことに驚かされるかもしれません。「子供の興味」をいっぱい引き出してあげてください。

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まわりにキッズ登山、親子登山をやっているガイドさんがいれば、参加してみるといいでしょう。(地域でやっているような「◯◯山に登りましょうイベント」みたいなものでは適切なアドバイスは得られませんが。)
長野県在住の方や近隣の方はやまたみのイベントに参加してみてください。きっと大切な発見があるでしょうし、お友達もできることでしょう。

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