23才の夏休み

少し前ですが、朝ベッドから自分の身体が剥がれなくなりました。起き上がれないというレベルでなく、ベッドと身体がくっついてしまっていまして、身動きがとれないのです。皆さんはこんな経験ありますか。あまりないでしょうね。

やっぱり近頃の私はおかしいな、おそらく仕事のストレスが酷いから、ネット診断で出てきた適応障害というやつだろうかと思って精神科に行くことを決意しました。住んでいる区にある病院に片っ端から電話をかけ続けたところ、大体どこも予約は埋まっており、新規は受け入れられません、早くて月末ですねといった具合で、は?は?は?殺す殺す殺す殺す!と涙目になりながらコールし続けました。奇跡的にその日の午後から予約が取れる病院があったので伺うことにしました。こういう時の自分の行動力には一目置いています。病院は最寄り駅から徒歩20分あって、元気がない人ばかり通う施設の立地としては向いてませんよ、と思いながら小雨、気温30℃、蒸し暑い中汗をだらだらかきながら、何度も立ち止まりつつも一生懸命歩いて辿り着きました。

いかにもお医者様という風貌の白髪で髭の生えた男性(大体阿笠です)の、仕事やこれまでの人生や家族構成人間関係についての質問に答えたところ、大体のことは分かりましたよ、あなたは適応障害じゃなくて鬱病ですね。と言い渡されたのです。向かいの席に座った阿笠似の頭上にでっかく「鬱」と現れました。私が鬱。鬱〜、鬱、鬱ねえ…鬱か…なんとなくそんな気はしていたけど、改めて人から鬱ですと言い渡されると、なかなかショックなもので、呆然としてしまいました。中学生の頃見たL'Arc〜en〜Cielの動画でhydeが鬱という漢字の覚え方を教えていたのを思い出しました。彼は「木と木の間に缶。自然破壊。これは良くない」と仰っていました。多分サングラスとかかけて。こんなことばかり覚えているから仕事ができないんだと思います。

会社に送る診断書にうつ病と書くのとうつ状態と書くのと自律神経失調症と書くのと、意味は同じなんですけどどれにしますか、と選択を迫られたので、まだ、耳心地がやばくなさそうな「うつ状態」にしてもらいました。仕事は絶対に休んだ方がいいとの事でしたので、1ヶ月間の休職が必要とも添えていただきました。既に将来や金銭面の不安で頭がクラクラしていましたが、とにかく月曜日からしばらくは出勤しなくていいという事実が嬉しくて、もう仕事中涙が出たり動悸がしたり、休憩なしで働き続けたり、ほぼ眠れないまま朝を迎えなくていいのか、と思うとまた涙が止まりませんでした。困った人ですね。

診断書と、夜眠れる薬と、気持ちが落ち着く薬を貰って、徒歩でまた20分の道のりを帰ってる最中、私ってこれからどうなるんだろうと考えているとだんだん涙が浮かんできまして、さすがに外で泣くのは恥ずかしかったので上を向いて歩きました。坂本九さん禿同でございます。私は九州一の方向音痴なので勘で上を向いて歩いていましたら、全く知らない民家に辿り着き行き止まりだったので、そこに座り込んでしまいまして、また泣いて、(いい加減にしなさい)検挙されたくなかったのでなんとかGoogleマップの言いなりになって駅まで帰りました。
お医者さんには、休職中は人と話しなさい、何か楽しいことをして過ごしなさい、と言われたので突如23才の夏休みが始まった訳です。僕は今年で23才。少し顔がやつれてる。

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