本記事では『丸太町ルヴォワール』『烏丸ルヴォワール』『今出川ルヴォワール』『河原町ルヴォワール』の核心的な内容について触れる場合があります。未読の方にとっては興を削いでしまう可能性が高いことをはじめにおことわりいたします。
丸太町ルヴォワール
朱雀門
ルージュが引いた紀長谷雄の逸話に登場する朱雀門は残念ながら現在では残っていない。しかし、朱雀門のあったとされる西ノ京小堀町には「此付近平安京大内裏朱雀門跡」と書かれた石碑が建っている。
達也が烏丸今出川から双龍神社へ向かう道
烏丸今出川のバス停は6か所あるが、達也の家の周辺から乗ってきた場合は烏丸今出川交差点の南東方向のバス停に停車する。
烏丸通を南下
護王神社
実際には護王神社の手前で右折して路地に入っている。また、『烏丸ルヴォワール』では流が綾織繰子と参拝に訪れている。
KBS京都
双龍神社
双龍神社は想像上の場所で実在はしない。落花によると、双龍神社は安倍晴明邸のあった場所に建っている。しかし、安倍晴明邸の正確な位置は現在でも特定されていない。ただし、大東文化大学東洋研究所の山下克明の研究によると、上長者通と西洞院通の交差点を起点とし、東へ20丈(約60m)、北へ15丈(約45m)の計約2,700平米が安倍晴明邸であったとしている。そのため、地図上では下図のブライトンホテルの南西に位置する青枠の部分が双龍神社に当たる個所だと考えられる。
また、『烏丸ルヴォワール』で達也と撫子が烏有と出会うのもこの双龍神社。
ブライトンホテル
達也と流が4年ぶりの再開したホテル。御贖となった論語が軟禁されていた。
双龍神社方向から見えるホテルは下図のようなイメージ
ブライトンホテル内部の様子
ラウンジの様子
達也が気に入った足元の絨毯
ラウンジで飲めるコーヒー
ちなみに、一番安い2階の部屋であれば1泊16,000円から泊まることができる。コーヒーは1杯1,000円から飲めて、物語通り都度店員さんがお代わりを次いでくれる (コーヒー以外のものと一緒に注文すれば400円で飲める)。
テニスコート
達也が城坂邸に向かう途中で通り過ぎたテニスコート。
城坂邸
城坂邸の詳細な個所は岡崎に位置しているとしか物語中では述べられていない。しかし、達也の行動などからある程度の絞り込みは可能である。
・周囲を白壁によって取り囲まれている
・面積が一般的な文化住宅と比較してもかなり大きい
・京都市動物園の観覧車から視認できるもの
・岡崎の中でもややはずれに位置するため、比較的岡崎地区の境界付近に位置するものと考え、岡崎最勝寺町、岡崎南御所町、岡崎西天王町は除外する
・漫然と歩いて疎水縁を通りかかるということは岡崎の中でも丸太町通り以北は除外する
・岡崎公園のテニスコートから大幅に西にあるものは除外 (南北方向については、丸太町通から来たのか二条通から来たのかは不明であるため絞り込めない)
・(『今出川ルヴォワール』によると)京都市勧業館まで徒歩五分。
以上の条件を満たす建物としては城坂邸のモデルは南禅寺草川町にある無鄰菴なのではないかと考えられる。また、無鄰菴という名前は『論語』の「徳は孤ならず、必ず隣あり」から取られたものであるということもこの説を裏付ける一拠となる (ただし、位置的には無鄰菴は岡崎ではなく南禅寺に位置する)。
達也が撫子と出会った疎水縁
一保堂茶舗 京都本店
流がたとえとして挙げた一保堂は寺町通二条に本店がある。
堺町御門・厳島神社
流が達也に電話をかけてきた際にタクシーが止まっていた場所。
錦市場
流が達也と再会した日に夕食に誘おうとした市場。結局心変わりして四条通のバーに行った。
ブライトンホテルからの歩行経路はおそらく下図のような経路をたどったと推定。
ダイニングバー『アミューズ』
所在不明。四条通の藤井大丸付近に同名のダイニングバーは存在しなかった。
藤井大丸
四条寺町にある百貨店。流と達也が訪れたダイニングバー「アミューズ」や『烏丸ルヴォワール』で烏有さんが泊まったカプセルホテルが近所にある。
百万遍交差点
流が双龍会当日に、達也を迎えに行くためにタクシーを降りた場所。乗車場所は、後述のドラゴンズマンションの位置から考えると、東向きのタクシーを拾うために徒歩で丸太町通を府庁前交差点で横断し、そこからタクシーに乗車。東方向に進み、東山丸太町交差点で左折し東大路通りを北上するルートをとっているものだと考えられる。
緑風荘 (達也のアパート)
百万遍と出町柳駅と元田中駅を頂点とした垂心にある建物。写真は大体のこの位置にある建物を撮ったもの。物語内ではもっとおどろおどろしい雰囲気を醸し出している。
ドラゴンズマンション (流のアパート)
丸太町西洞院にはドラゴンズマンションという名前の建物は存在しない。一方で、ライオンズマンション京都西洞院であれば存在する。ただし、ライオンズマンションの方はどの部屋も約8畳程度の広さはあるので、物語内におけるドラゴンズマンションはもっと狭いものだと考えられる。
タクシーの経路
双龍会当日、流のアパートから京都御所までの経路は上図のような道筋だと推定できる (破線は徒歩、実線はタクシー)。
達也のアパートの場所から推定すると、流らはグレースたなかの向かい側でタクシーを拾ったのではないか。降車場所はおそらく御所の中立売駐車場。
賀茂大橋
京都御所 (双龍会会場)
御所内には様々な建物があるが、双龍会ができるほど大きな会場となると御所内では紫宸殿ではないか。ちなみに、御所内ではないが京都御苑内南西部には過去裁判所として使用されていたこともある閑院宮邸跡がある。
京都御所 参観者休所
双龍会の休廷中に流は自動販売機コーナーに行こうとした。御所内の自販機は御所西部にある参観者休所1か所のみ。
京都市動物園
流が自分がルージュだと言い張るために観覧車から論語を見たとハッタリをかますのに利用した遊園地。
塙保己一史料館
京都ではないが、達也の二つ名の元となった群書類従の原本が東京の渋谷の塙保己一史料館に収められている。
双龍会終了後の御所
流がタクシーを止めて落花たちを待っていた場所
堀川通
千本通
烏丸ルヴォワール
私立松谷学園
山科耕作が務めている私立学校。松谷学園という名の学校は存在しないが、京都の山科区に私立学校は燈影学園しか存在しない。
京都大学厚生課
流らがアルバイトを勝ち取るために立ち寄った厚生課は京都大学本部構内の南西の教育推進・学生支援部棟にある。
進々堂
アルバイトをジャンケンで勝ち取った流と達也と論語が撫子と落ち合った喫茶店。
綾織紡績
綾織文郎が営む紡績会社。この位置に紡績会社はないのでおそらく架空の会社だが、3階から同志社大学のキャンパスを眺めることができ、かつそこそこの面積を持つ建物は上図のものになるのではないか。
烏丸今出川の交差点
綾織紡績での打ち合わせの後に、論語らが四散していく場所。
陸運局
論語が綾織耕作の乗っていたポルシェについて調べるために訪れた。
バー『グランバール』
円居作品で随所に登場するバー。
バー『グランバール』からドラゴンズマンション西洞院へのルート
おそらく上図のようなルートを通って自宅会戻ろうとしたものだと推定できる。途中、ささめきの山月(に扮した烏有と出会う)。
緑風荘から綾織紡績までのルート
達也と論語が緑風荘から綾織紡績まで向かう際には上図のルートをたどったと思われる(実線がバス、破線が徒歩)。
烏有さんが泊まっていたカプセルホテル (9 hours)
カプセルホテル9 hoursは既に閉店しており建物自体も取り壊し工事が行われてしまっている。
著者も何度か泊まったことがあるらしい。
BTコンビニエンス
流が髪を黒染めした24時間営業の美容院。カプセルホテルのはす向かいに美容院はなく、代わりにランニングとトレイルランニングの専門店になっている。
出町桝形商店街
烏有さんが行きつけだった理容室のある商店街。
出町ふたば
達也が大福を買いそうになった老舗和菓子屋。常に行列ができている。
バーバー無頼堂
烏有さんが京都にいたころに行きつけだった理容室。2021年10月現在商店街内に理容室は存在しない。商店街付近には理容室は2店ある
バーバー無頼堂 (説1)
バーバー無頼堂 (説2)
護王神社
流が綾織繰子と共に参拝に訪れた神社。
聖ブランディッシュ病院
論語の叔父である純己の経営する病院。実際に堀川五条近辺に大病院はないので画像はイメージ。一応建物内にクリニックは存在する。
新風館
流と繰子が変装のためのウィッグを買いに来た複合商業施設。論語が真の繰子と会ったのもここ。
スターバックス コーヒー 京都三条烏丸ビル店
撫子と達也と烏有さんが午後一時に待ち合わせをしていた烏丸御池のスターバックス。
大垣書店 烏丸三条店
スターバックスで話をしている間に烏有さんが連れまわした少女を待機させている場所。
リプトン 三条本店
烏有さんが、(偽物の)繰子とお茶をした(と嘘をついた)喫茶店。
三条駅
綾織耕作がフランス旅行に行く際にトランクを預けたクロークルームがある駅。
オープンカフェ
流らが山月(に扮した烏有)を見かけた新風館のオープンカフェ。写真の場所はカフェではなくクラフトビールバーだが絵面それっぽいので。
川端二条〜二条大橋
達也がトランクルームから偽のトランクを持って撹乱する蟹江を尾行して追い詰めた場所。
二条大橋の西詰にはホテルフジタ(現: ザ・リッツ・カールトン京都)がある。
京都大学自動車部
木屋町の喫茶店
流らがトランクを回収した後に休憩していた喫茶店。2021年10月現在では木屋町で高瀬川に手が届くようなオープン席を持つ喫茶店は存在しなかった。唯一近しいのが上図の店だが、この写真の店は喫茶店ではなくイタリア料理店である。
ホテルフジタ
論語がお昼寝用に部屋をとっていたホテル。現在では閉業し、ザ・リッツ・カールトン京都になっている。閑散期の最も安い部屋で1泊73,500円する。
金閣
流が綾織繰子と共に初めて黄昏卿と邂逅した場所。
烏丸三条のドラッグストア
烏有さんが、過去の流に薬を買いに行ってほしいと頼んだドラッグストア。
烏丸御池駅
九年前に烏有と流が別れた場所。
流と繰子の移動経路
当日、流と繰子は上図の様な経路で移動したと考えられる。(ドラゴンズマンション→BTコンビニエンス→護王神社→ドラゴンズマンション→新風館→三条駅→喫茶店→ホテルフジタ→金閣→ドラゴンズマンション→烏丸五条)
双龍会会場
烏丸五条には残念ながら煉瓦造りのモダンな建物は見つからなかった。しかし、同じく烏丸通沿いには元銀行の煉瓦造りの建物が2軒見つかった。もしかしたら実際のモデルはこの二軒のうちのどちらかだが、章題の「烏丸慕情」との掛け合わせから烏丸五条に場所を移したのかもしれない。
双龍会会場 (説1)
旧山口銀行京都支店。現DEAN & DELUCA京都。設計は辰野片岡建築事務所。1916(大正5)年竣工。1933(昭和8)年に山口銀行は合併により三和銀行となった。
双龍会会場 (説2)
旧第一銀行京都支店、現みずほ銀行京都中央支店。設計は辰野葛西建築事務所。1906(明治39)年竣工。明治時代に建てられたのはこちらの方なので、先の建物よりもこっちの方が説としては有力。
五条駅
流と烏有さんが再開した駅。
今出川ルヴォワール
鴨川東岸
達也が物語序盤で大怨寺を眺めている中クリスに出会った場所。
達也の立ち位置から大怨寺を眺めると下図のようになる
京都市勧業館
水呪坊殺しの双龍会が行われた会場
内部は上図のようになっている。
川端警察署
撫子が自転車の盗難届を出した警察署。
恵文社
龍樹家の近所にある書店。撫子が文郎に会うのを避けるため寄って行けばよかったと後悔した書店の一つ。外観はかなりオシャレで学生が多く住む街だからか学術書の品揃えが主。文芸作品は少ない。
丸山書店
同じく龍樹家の近所にある書店。現在では閉業して大垣書店となっていてカフェが併設されている。
瓜生山
文郎が大怨寺から売り付けられた土地。写真の木は当然北白樺ではない (そもそも北白樺などという木を聞いたことがないのでおそらく存在しない)。
大恩寺
大怨寺と同名の川端警察署の近所の東山二条にある寺院。
大怨寺南側裏口
達也が入っていった大怨寺の裏口。大怨寺の位置には了徳寺があるが、現在では人が入ることはできない。
方広寺
大怨寺の始まりとなった東山区にある京の大仏が建立された天台宗の寺院。
西陣郵便局
金綱坊襲撃事件の際に達也が大怨寺に「邪の音は六つ」というメッセージのハガキを送った郵便局
左京郵便局
水呪坊殺しの際に達也が大怨寺に「邪の音は六つ」というメッセージのハガキを送った郵便局
TSUTAYA 烏丸今出川店
犀義一 (虚空坊) がTSUTAYAのカードを作ったレンタルビデオ店。現在では閉店してモスバーガーになっている。
六角堂
天親雹平が論語への反駁の際に引き合いに出した自動撞木装置のある寺。
上田技研産業
自動撞木装置を製造販売している唯一の奈良のメーカー。
永平寺
同じく自動撞木装置を導入している寺院。福井にある。
ボンボンカフェ
論語らが大怨寺を見張るために席取っていたカフェ。現在では閉業してる。
ボンボンカフェから大怨寺を見ると上図の様になる。
雀荘『大車輪』
犀義一が通っている雀荘。2021年10月現在では、堀川二条付近に雀荘はない。
からふね屋珈琲 熊野店
流と達也がコーヒーを飲んだ喫茶店。
大怨寺正門
実際に鴨川に正門は存在しない。
グレース田中
達也の家の近所にあるスーパー。辺理とともに、流らに差し入れするためのミネラルウォーターを買いに訪れた。
カナート洛北
達也の家の近所にある大型商業施設。現在では洛北阪急スクエアと改名されている。
農学部グラウンド
流らが瓜生山の仕掛けを発動させるための練習に使用していたグラウンド。
大文字山
本来であれば大怨寺からは上図の様に大文字が見えた。
瓜生山 (天文字)
大怨寺から瓜生山の天文字を見ようとすると上図のようになる。
鴨川西岸
河原町ルヴォワール
京都市中央斎場
落花の葬儀が行われた葬儀場。
京都家庭裁判所
事件当日、撫子が訪れていた裁判所。
賀茂大橋
流が落花が濁流にのみこまれる瞬間を目撃することになった橋。橋の真ん中からは鴨川デルタが見える。
龍門堰
落花が発見された堰。鴨川下流の旧龍門橋のある場所に小さな堰がある。
辛うじて過去にここに龍門橋があったということを示す痕跡が残っている。
五条大橋
天親寅彦が落花のウィッグを発見した場所。
サントアリオ病院
地理的に日本パプテスト病院がモデルだと思われる。物語上では裏口がないとされているが、この病院には瓜生山への登山口の脇から敷地内に入ることができ、裏口からの侵入も一応は可能。
京都御所 (双龍会会場)
『丸太町ルヴォワール』と同様、会場は京都御所内の紫宸殿だったかと思われる。寅彦が言及してた臥虎の間と蔵竜の間は実在しないが、「虎の間」と呼ばれる控室は存在し、襖には虎の絵が描かれている。もしかしたら龍師たちの控室として使われていたかもしれない。
下鴨警察署
犀義一がクリスに襲われたのがこの下鴨警察署の周辺。また、事件当日に大怨寺にガサ入れがあり、犀義一が事情聴取のために捕まっていたのも下鴨警察署。
おむらはうす
達也と流が訪れた達也お気に入りのオムライス店。
青蓮院
青蓮院は知恩院の真北にある天台宗の寺院として実在する。
京都御苑〜河原町通 (ラストシーン)