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蒐集家、久遠に出会う

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馴染みの小料理屋「七分咲き」に集まっていた蒐集団体「早二野(はやにの)」のもとに、謎の荷物が届く。中に収まっていたのは科学の発展した異世界を発祥とした高度な知能を持つ人造人間・久… もっと読む
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2024年4月の記事一覧

蒐集家、久遠に出会う 第一章 七、起動開始

第一章一話へ 前の話へ  ぼんやりと、椛は向き合う「親子」の姿を眺めていた。父と呼んだ存…

芳更悠季
1か月前
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蒐集家、久遠に出会う 第一章 六、思わぬ違い

第一章一話へ 前の話へ  日は流れて十二月二十五日となったが、クリスマスを楽しんでいる余…

芳更悠季
1か月前
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蒐集家、久遠に出会う 第一章 五、刑部姫の暗躍

第一章一話へ 前の話へ  彦根の依頼を受けて数日後、「早二野」は先に求められていた茶運び…

芳更悠季
1か月前
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蒐集家、久遠に出会う 第一章 四、蒐集という名の妨害

第一章一話へ 前の話へ 「それで椛、刑部姫って人――久遠は相変わらず帰ってくれないの?」…

芳更悠季
1か月前
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蒐集家、久遠に出会う 第一章 三、彦根直の発見

第一章一話へ 前の話へ  午後を回り、休憩時間ながら人通りの少ない廊下で、彦根直はかつて…

芳更悠季
1か月前
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蒐集家、久遠に出会う 第一章 二、異世界と久遠

前の話へ  微睡む意識の遠くで、誰かが呼んでいる気がする。女の声だろうか、真木にしてはい…

芳更悠季
1か月前

蒐集家、久遠に出会う 第一章 一、怪しいプレゼント

 昼の営業を前に、小料理屋「七分咲き」の厨房では作業が続いていた。女将の苫小牧菖蒲が今年から始めたというテイクアウト専用の総菜作りを、富岡椛も手伝っている。アルバイトとして雇われて一ヵ月は過ぎたか。指示されて鍋に水を張り、火に掛けて沸騰を待ちながら、椛はここで働いてきた日々を思って口元を緩ませた。  二十四年の人生で、これほどまでやりがいのある仕事など初めてなのではないか。就職せざるを得なくなった時以来、職場というものには恵まれてこなかった。だからこそ、苫小牧にちゃんと褒めら