青桐美幸 2017年8月8日 23:31 掴まれた腕が痛い。見透かされる目が怖い。その表情には苛立ちさえ滲んでいるのに、背後にあるドアはきっと鍵がかかっていない。追い詰めるだけ追い詰めて、最後の逃げ道は残している。狡い、という呟きを飲み込んだ。「早く俺のものになれよ」囁く声だけが甘くて。本当はもう、とうに堕ちているのに。 #小説 #140字小説 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート