久しぶりの逢瀬は見慣れないスーツ姿だった。柔和な笑みも、落ち着いた声音も変わらないのに、別人のような印象を受ける。シャツ越しになぞられた線が綺麗で。ネクタイを外す仕草が優雅で。視線を逸らせずにいたら見咎められ、一つ大きく鼓動が跳ねる。「惚れ直した?」悪戯っぽい表情に酔いかけた。
140字小説17

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