手袋を忘れた。滅多にないことだから今日だけだと甘く見ていたら思いの外寒くて。「冷たい…」無意識に泣き言が漏れると、合わせた手のひらを丸ごと包んでくれた。驚いて見つめたら、「本当はずっとこうしたかったんだよね」照れたような表情で。繋いだまま歩く、冬の道。
140字小説9

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