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声にならない声を詩によせて

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こぼれ落ちた感情のひとしずく達。
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2017年8月の記事一覧

許せないのは裏切られたことじゃない
貴方の気持ちが遠ざかっていくことに
気づかないと思われていた自分の存在

笑わせてくれて 泣かせてくれて
甘やかしてくれて 励ましてくれて
これ以上望むことなど何もないのに
足りないと叫ぶ心の飢餓感は果てしない

恋人じゃなくてもいいから
好きになってくれなくてもいいから
ただ傍にいることを許してほしかった

別れたあとに募る恋しさは 夢の中でも会いたいと思うほどで

たった一言がどうしても告げられなかったのは
絶対に受け入れられないとわかっていたから

たった一言を告げられなかったことを免罪符に
傍に居続けて自ら傷つくことを受け入れた

その笑顔を向けられる権利だけは守りたかったから

追いかけてほしくて 引き止めてほしくて
勝手気ままな振る舞いを「駆け引き」だと勘違いしていたあの頃
それでも怒らず我が儘につき合ってくれたのは
胸を巣食う寂しさに気づいてくれていたから

「欲しい」と一言言えたなら 貴方は私のものになってくれたの?

「好き」に反する感情が「嫌い」になるわけじゃない
「好きじゃない」ことと「嫌いじゃない」ことが同義ではないように
だからと言って容易く「憎む」ことも出来ず
いっそ「無関心」でいられたらと叶わぬ願いに身を焦がす

ただ何となく過ぎていく日々に満足を覚えるのは
競争も軋轢も負うことがなくなったからで
向上心や達成感さえ生まれなくなったせいでもある

「離れないで」と懇願したら 「傍にいるよ」と応えた
「手を繋いで」と差し出したら 「放さない」と握り返した
「抱き締めて」と呟いたら 「守ってあげる」と囁いた

けれど
「愛して」と言った言葉に 「愛してる」とは決して答えてくれなかった

届かないとわかっていてその名を呼ぶのは
見つからないと知っていてその姿を探すのは

貴方が私を必要としていなくても
私が貴方を求めてやまないから

去る意志も留まる度胸もないのに
今のまま停滞することに苛立ちを覚える身勝手な感情を
消化するだけの強さもなくて

深くついた溜め息が 小さく零した言葉が
拾われぬまま漂って 分解せず目の前に残される

会えない日が続く生活より
会いたいと想う瞬間の方が苦しい