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2022年4月1日配信開始 米国の経済安全保障における原産地規則の役割序章 経済安全保障に関連する貿易制限措置 第1章 ウイグル強制労働防止法(2021年12月成立) 推定に対して米国税関が輸入者に求める反証 米国政府から企業者への警告 ポリシリコンに係るサプライチェーン・トレースを行う上での注意点 ウイグル強制労働防止法上の推定への反証と原産地規則が果たす役割 第2章 米国の制裁措置の全体像と経済制裁 第1節 米国の制裁措置の全体像とその権限 (1) 大統
「経済安全保障における原産地規則の役割」と題して日米欧の経済安全保障法制の概要と実務について述べてきましたが、本稿では原産地規則の観点から、米国の対中国追加関税措置に代表される1974年通商法第301条 (以下「第301条」) に基づく措置ついて考察します。トランプ政権によって採られた本措置 (通常関税に加えて25%の関税上乗せ)は、過去の政権の対中協調による共存政策から米国の覇権をかけた敵対的な政策への転換の象徴となるものでした。「経済安全保障」 の定義にもよりますが、自
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前回は、一般特恵制度 (Generalized System of Preferences: GSP) が実施されるに至った歴史的な背景と制度の概要について述べました。今回は、GSP創設時の原産地規則がどのように変遷していったのか、またその理由などについて解説していきます。 1. 初めに 本稿では、UNCTAD事務局がGSP技術協力プロジェクト用に編集した「Generalized System of Preferences - Digest of Rules of Or
前 編(2020年1月17日、第38話として公開。2021年12月15日、note に再掲。) 我が国から米国に輸出するに際して、日米貿易協定上の原産品として日米特恵税率の適用を受けた(例えば、MFN税率5%から日米特恵税率0%になる)場合において、当該産品が米国の非特恵原産地規則の適用により中国原産と判断されるならば、対中国追加関税が日米特恵税率に上乗せされて適用される(同一事例で、日米特恵税率0%から対中国制裁関税25%に上乗せされる)というダブル適用があり得るという
(2020年6月16日、第43話として公開。2021年12月15日、note に再掲.。) 報道によりますと、米国通商代表部(USTR)は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定であるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ)協定が2020年7月1日に発効すると米国議会に通知しています(4月24日付、ロイター)。2018年11月30日に署名された協定条文は、2019年12月10日にメキシコシティーでの修正議定書により部分的に改正されていますが、原産地規則に関連する修正は
(2018年12月11日、第25話として公開。2021年12月15、note に再掲。) 米国の通商政策が大きく変わってきていることを実感します。米国は、自らの強いイニシアティブで開始したTPPからの離脱を始め、自由貿易協定の(良くも悪しくも)一つの見本であったNAFTA協定を破棄し、USMCA協定として「自由」の文言を取り去った名称で発効させようとしています。今回は、11月30日に署名された新NAFTAとも呼ばれるUSMCA協定の原産地規則の条文を紐解いてみたいと思いま
前 編(2021年8月27日、第60話として公開。2021年12月15日、note に再掲。) 改正汎ユーロ地中海条約原産地規則の近い将来における実施が予想されることから、前編では汎ユーロ地中海条約原産地規則について改正に至る経緯とその構造について概説し、改正規則の主要変更点の骨子を述べることとします。次回の後編では、逐条の解説を含む改正汎ユーロ地中海条約原産地規則の全体像をお伝えしたいと思います。 改正に至る背景「スパゲティボウル現象」と特恵原産地規則の宿命 FT
(2021年3月16日、第52話として公開。2021年12月15、note に再掲。) 今回は、筆者が『貿易と関税』(日本関税協会) 2021年3月号に寄稿した「英国が展開する貿易継続措置における原産地の拡張累積」の概要を述べることとします。技術的な部分・図表の一部は削除し、本論のエッセンスが読み取れるように心がけましたので、さらに詳細をお読みになりたい方がいらっしゃれば、同誌をご覧になってください。 はじめに 英国は、日英包括的経済連携協定(以下「日英協定」という。)
(2020年9月16日、第46話として公開。2021年12月15日、note に再掲。) 今回は大変良いニュースと少し心配なニュースを同時にお知らせすることになります。まず、大変良いニュースですが、2020年9月11日夕刻に、日英包括的経済連携協定(日英EPA)が大筋合意に至ったとの待望のニュースに接しました。後の新聞報道では、10月中に署名が行われる見込みである由。外務省ホームページに掲載された大筋合意に関する資料の「主な内容:ルール分野」によると、原産地規則関連では