見出し画像

テレワークで企業と人を繋ぐ地方創生〜首都通勤圏内のテレワーク移住促進を目指す取り組み〜

※本記事は2021年6月に執筆し、株式会社イマクリエの会社ホームページに掲載していた記事をnoteに移管しています。


「テレワークで人口を増やしたい」小諸市の課題

現在、政府主導で進められている地方創生の代表的な取り組みの一つとして、地方への移住促進や、企業誘致の取り組みがあります。その背景には、地方における少子高齢化に伴う人口減少や都市部への人口流出など、その地域特有の様々な課題が影響しています。

長野県東部に位置する小諸市。人口約4万人を有し、美しい自然と歴史が残る温泉地としても有名な地域ですが、小諸市でも日本の他の地方と同様に、「人口減少と高齢化」という大きな課題がありました。

小諸市は、かつて商業都市として栄えた時期もありましたが、近年、北陸新幹線のルートからも外れ、中心市街地でも空き店舗が目立つようになっていました。市の人口は2000年の約4万6千人をピークに減少し続け、現在、約4万1千人(令和3年4月現在)。このような状況下で、平成27年からは、政府の第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえ、「小諸市まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、定住人口の減少傾向と進展する少子化という課題に対する取り組みを進めています。

この小諸市の抱える課題に対する優位的なアプローチとして、取り組みのポイントとなっているのが、首都圏からのアクセスも良好な都心部への通勤圏内(東京から約1時間30分)という好立地。小諸市には、上信越自動車道の小諸インターチェンジと、中部横断自動車道の佐久北インターチェンジの2つのインターチェンジがあり、これは、都心部から小諸市への人の流れを作り出すための地理的条件として優位で、この立地条件を活かして、首都圏から小諸市に移住したい、また、サテライトオフィスを設置したいという企業のニーズがあるのではないかと考えています。そこで、首都圏からのテレワークが可能な方の移住促進や企業のサテライトオフィス設置を通した地方創生に積極的に取り組んでいます。

「くらし」と「仕事」を融合させたテレワーク移住体験ツアーを開催

都心部への通勤圏内という好立地を活かした小諸市の地方創生への取り組みに対して、2020年9月にイマクリエでは、テレワークを通して小諸市への移住検討者に対するアプローチ方法を検討するためにテレワークで「こもろぐらし」を体験する地方移住体験ツアーを企画。イマクリエには国内外に約50,000人以上のテレワーカーが在籍しており、イマクリエのテレワーカーが、テレワークという働き方を実践しながら小諸市への移住体験をするという3泊4日の体験ツアーを実施しました。

ツアーでは、イマクリエの5名のテレワーカーが、地元の交流施設や温泉施設を活用してテレワークを行いつつ、小諸市の雄大な自然を満喫できる朝のウォーキングや、地元のレタス農家での収穫体験等、小諸市での暮らしと仕事を融合させたテレワーク移住生活を体験しました。実際に現地に滞在し、テレワークで仕事をしてもらうことで、参加者に「小諸市でテレワークで働くイメージ」を持ってもらい、そこで暮らす魅力を感じてもらうことが、地方移住へ繋がります。また、移住検討者にとって、移住者が入りやすい環境づくりへの取り組みや、先輩移住者とのコミュニティの充実という点は、移住を検討する上での大きな検討材料の一つです。そこで小諸市の移住体験ツアーでは、小諸市商工観光課と連携し、実際に小諸市に移住した方との交流も行いました。ツアーの参加者からは生き生きと小諸市や移住の魅力を語る移住経験者に、「移住者にも優しい」という声や、「地元民と移住者の垣根がない」という意見も多くありました。

テレワークで企業と地域を繋ぐ地方創生とは?

今回、イマクリエが企画した「テレワーク移住生活体験ツアー」は、個人だけではなく、企業を対象とした働く、住む、つながるを通して、「くらし」と「仕事」を融合させたテレワーク移住体験ツアーです。 

働き方改革の一環や、子育て支援、ワーケーションの推進等、企業が地方へのサテライトオフィス設置や、従業員へのテレワークや移住支援を検討する理由は様々です。イマクリエでは、このツアーでの実績を基に、企業が地方進出する際の条件、そして移住を検討している企業で働く個人が移住先に何を求めているのかを検討し、小諸市商工観光課へ移住促進戦略立案に向けての支援を提案しています。

イマクリエの支援施策の一環として、小諸市では移住体験ツアー実施後、小諸市への企業誘致・サテライトオフィス設置を目的とした有力企業への商談設定と小諸市ツアー参加に対してのアウトバウンドコールを行いました。IT、通信、教育、エンターテイメント等幅広い業界において17社のアポイントメントを取得し、その中の1社に向けて、実際に2020年12月に現地視察ツアーを実施しました。ツアーの内容は、自然豊かな地域に新規事業立ち上げの拠点を検討しているというクライアントの要望に沿って、「キャンプ場サテライトオフィス」を進出テナントイメージにし、現地の古民家廃校遊休施設・事務所やテナントが建てられるスペースがあるブルーム小諸やエコビレッジを視察するツアーを企画しました。

また2021年3月には、コロナ禍での移動制限などにより、現地への視察が難しくなっているため、来年度の視察ツアーに向けたのオンラインミーティングを実施。小諸市へのサテライトオフィス設置やワーケーションに興味がある4企業と小諸市を繋ぎ、具体的な移転構想に向けて双方がオープンに意見交換ができる場を提供しています。イマクリエはオンラインミーティング開催にあたり、参加企業へのアプローチや、商談会のセッティング等、小諸市の企業誘致への取り組み、そして首都通勤圏内のテレワーク移住促進をサポートすることで、企業と地域を繋ぐ地方創生を目指しています。

そこで働く人の「暮らしの基盤」を提供する自治体と、「働く場所」を提供する企業との連携機能を提供することで、今後もイマクリエは小諸市と一緒に二人三脚で地域と企業をつなぎ、そして地域の課題に取り組んでいきます。