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せなかとおなか

体を洗いながら、どこまでがせなかで、どこまでがおなかなのか、と思いを馳せることがある。どちらも「なか」がつくので、おそらく、体の中のどこかに、せなかとおなかの境目があるのだろう。

昔書いた脚本に、こんなセリフを入れたことがある。

辰  「わかりすぎてるってのもまた、よくないな」

花館  「いえ、わかりすぎていることは全くないんですけどね。ただ、わからなくなるんです。「右」のことを考えているといつの間にか「左」に到達してしまうんです。そうでしょ?いつまでも右に進んでいたら、いつかは左に到達してしまうでしょ?地球は丸いから。そうだとしたら右は左のことだし、左は右のことだと思いませんか?でも丸くないところだと話は別ですね。地面が永遠の平地だったら、右と左は永遠に出逢えないから………」

辰  「とにもかくにも、左では困るんですよ。全部右」

「本当に僕が」山田めい より

ものとものの間ってなんてモゴモゴしているのだろう、と思いながら、夜、体を洗う。そんななか、今日も夜がふけていきます。

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