神様の子

 「私って神様の子なんです」なんて言ったら,アタマがおかしくなった人のように思われてしまうだろう.あるいは「そりゃ当たり前でしょ」のような,別の意味で極端なリアクションが返ってくるかも知れない.だから,常日頃は言わないようにしている.

 私が神社の神さまの実子か否かはわからない.でも,事実としてはっきりと伝えられているのは,夢の話.道北地方にいた祖父と,札幌にいた母が,同じ夢を同じ日に,しかも二日続けてみたという話.いずれも,太陽が母のお腹に入る夢,祖先が現れて「世継ぎが生まれる」と伝えた夢であったそうだ.

 母は,私を身ごもって以来,北海道神宮によくお参りにいっていた.北海道神宮の祭神は,大國魂神,大己貴神(大国主神),少彦名神,明治天皇の四柱.前の三柱の神々は開拓三神と呼ばれ,明治初期に宮中(皇居)でお祭りされた神様たちを,島 義勇(しま よしたけ)公の手でいまの札幌に移したのがはじまりとされている.当時は札幌神社と呼ばれた.昭和期に,札幌の人々の強い嘆願により,明治天皇の御魂を同殿におまつりすることになり,札幌神社は北海道神宮となった.

 生まれて以来,よく神社にいく.諸事情で,母が私を連れて北海道の片田舎に出戻り,そこで育った折りも,近所の神社――母の産土神(三女神)にはよくお参りをした.私は母より,「あなたの父親は大国主神なんだよ」といわれて育った.古事記や万葉集の漫画で育ち,成長するにつれ,私は自らの出生前後のエピソードにもとづく,強いアイデンティティーを確立することとなった.

# ときたま,自分の生れてからこれまでについて語っていきます.

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