ゆずマンの夏とはどういう夏か(自己解釈)

①はじめに

あれはゆずマンの夏であるらしい。

ほんとか?ほんとにゆずマンの夏か?あの5歳児がほんとにチョコレートだとか真夏の太陽だとか、もっと言えば葉月の雨のような夏を体験してるのか?
そんなわけないだろ!!!!!!!!!!5歳児だぞ!!!!!!!!!!

というわけで今回は「ゆずマンの夏」というアルバムについて考える。
とはいえあの5歳児はユズドラシル垂直クライミング激ヤバ5歳児なのでそもそも只者でない。それくらい知っている。だから彼の夏もある程度は普通ではないのだろう。
「ゆずマンの夏」というアルバムがどういうアルバムなのか、何がゆずマンと関係するのか考えていきたい。が、私はゆずマンの夏の発売当時まだ生まれてすらないペーペーだしファンになったのも2013年なので、私の知らないどこか、例えば雑誌のインタビューとかで既に答えが載っていたらそれはごめん。

②ゆずマンの夏は何を表現しているか

ゆずマンの夏の箱を見てみると、「Yuzu-man in the Summer」と書かれている。
それゆずマンの夏じゃなくて夏のゆずマンじゃない?というツッコミは置いておこう。「Theme〜ひと夏のゆずマン〜」という名前の曲が入っている時点でこのツッコミは見透かされている。別に公式が英語に弱いからではないのだ。
とはいえ、これは割と大事な気がする。「夏」ではなく「ゆずマン」に焦点が当たっているからだ。
次に、収録曲を見てみる。

①夏空の旅(インスト)
②向日葵ガ咲ク時
③風とともに
④チョコレート
⑤ Theme〜ひと夏のゆずマン〜
⑥かまぼこ
⑦真夏の太陽
⑧葉月の雨

5歳児には荷が重い曲ばかりだ。「嘘の数が増えるくらいなら一生が一瞬で終わった方がいい(チョコレート)」とか「どれだけ悔やんでも消せない事実もある(真夏の太陽)」とか5歳児にして考えてたら彼の人生は2週目だろう。
Theme〜ひと夏のゆずマン〜を歌っているのは多分ゆずマンだからこれはいいとして、他に5歳児に適用できそうな曲といえば夏空の旅くらいだ。ゆずマンの夏というタイトルなのに、ゆずマンに適用されそうなのがインストと本人歌唱だけなのだ。
つまり、「ゆずマンの夏」の収録曲は、その実ほとんどがゆずマンを表していないのである。では何を表しているかと言うと「夏」の方である。ゆずマンの立場どこ行った?

③ゆずマンという概念

ゆずマンの立場が無いまま話すのもアレなので、いきなり結論をぶっ込む。ここでの「ゆずマン」は、まいんちの主人公をやるような一個の人格ではなく、「童心」の概念なのではないだろうか。
「Theme〜ひと夏のゆずマン〜」の「ひと夏のゆずマン」の部分に着目する。「ひと夏の○○」という表現をする時、「○○」に入る言葉は普通「恋」とか「思い出」とか、そういうフワッとした概念だ。固有名詞は入らない。「夏のゆずマン」なら自然なのだが、「ひと夏のゆずマン」だとまるでゆずマンが1回の夏でしか存在できない5歳児みたいだ。

このゆずマンは、まさにその「1回の夏でしか存在できない5歳児」なのである。

決してゆずマンのことをセミみたいな儚い存在だと言いたいわけではない。あいつはユズドラシル垂直クライミング激ヤバ5歳児なのでむしろ存在としては強い。ここでのゆずマンは概念であり、この概念は表される側ではなく何かを表す側なのだ。
そして、「5歳児」の概念といえば、やはり「童心」だろうと考える。例えば向日葵ガ咲ク時の君は無邪気だ。チョコレートの僕は未熟だ。かまぼこの僕は生意気だ。こういう子どもらしさ、子どもの要素は全ての曲にあるといえる。
つまり、「1回の夏でしか存在できない童心」。これがゆずマンの夏におけるゆずマンである。
では夏とは?という話になるが、これはあながち比喩でなく本当に夏の可能性がある。
ゆずマンの夏は、2000年7月12日発売である。この次、割と早くの2000年11月1日に発売されたアルバムがトビラである。
もしかすると、トビラの直前にゆずマンの夏を出すことによって「童心」を夏に置いてきたのかもしれない。それはゆずの幼年期の終わりであり、思春期の始まりだったと言えるだろう。


④まとめ

「1回の夏でしか存在できない童心」にとって、夏は全てである。別にキャラクターとしての一つの役割を終えるだけで死にやしないのだが、人(ゆず)にとって夏の終わりは童心の終わりだ。
ゆずマンの「Theme〜ひと夏のゆずマン〜」には、「ボクを残して もうすぐ夏が終わるよ…」という歌詞がある。結局5歳児にして難しいこと考えてるじゃん……とはなるが、まあ他に比べればまだ許容範囲だろう。
夏が終わって人が幼年期の次の段階に進んだとて、ゆずマンは5歳児であり童心のままだ。童心は思い出としてパッケージングされて残る。だからたまにはゆずマンの夏を思い出して、童心というテーマに思いを馳せてみてもいいだろう。

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