内海に 傾く夕陽 航跡波
久しぶりに飛行機に乗った。
出発地では曇りだったのに
飛行機が高度を上げて雲の上に出ると
きれいな空色だった。
雨が降っても、雲の上はいつも青空と
友人からの手紙で言われたことがある。
ほんとにそうなんだなあ。
窓側の席だったので外の景色がよく見えた。
陽が傾く頃に高度が下がりはじめて、
べた凪の内海に眩しいくらい
陽の光が反射して、
船の航跡波(こうせきは)がとても綺麗だった。
美しかった。
本当に信じられないくらい美しかった。
船は近くで見ると大きく
エンジンの音や振動も凄まじいが
少し高いところから見るとこんなにも静かで美しいものなのか。
生きてゆく必死さに
眼の前のことしか見えなくなっていた。
見下ろすともがきながら必死に生きていた世界がとても小さく見えて
速いと思っていたものがスロウに移動し
自分がいかにちいさく、とても美しい世界で生きているかを知った。
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