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おもろい以外いらんねん


『おもろい以外いらんねん』

インパクトのあるタイトルの本を読んだのでその感想を。


あらすじ

高校の同級生である滝場とユウキくんと俺。
滝場はいつもクラスでふざけてて、それを見守る俺。そこにユウキくんが転校生として入ってくる。滝場とユウキくんは高校卒業後「馬場リッチバルコニー」というお笑い芸人になり、俺は大学に進学して就職をする。俺は就職した後も2人の漫才を見に行ったりして2人は明かさず活動を追い続けている。
3人の高校時代や芸人時代を描く芸人青春小説。

あらすじはざっとこんな感じ〜!


感想

私はお笑いとテレビが大好きだ。
最近ようやくだけど東京と大阪の劇場でお笑いを見に行ったり、テレビは毎日ちまちま録画したのを見たり暇さえあれば見逃し配信などでバラエティを見てる。

この本を知ったのもアメトークの読書芸人で紹介されていたのがきっかけだ。

まずタイトルがとても好きだ。私の脳内では「おもろい以外いらんねん‼︎‼︎‼︎」って感じで、半ギレで言い切っているようなセリフのイメージ。


アメトークの前情報でお笑い芸人の物語だということで、笑える系かなーとワクワクしながら読み始めた。

1行目にこう書いてあった。

これはお笑いコンビ「馬場リッチバルコニー」が解散するまでの話。



解散するんか〜い!!
いきなりの解散宣言!!!!悲し!!!!

そんなスタートで読み始めていきました笑
すごく面白かったし楽しかったけど、それ以上に今のお笑い界がぶち当たっている問題や、誰もが経験したことがある嫌なお笑いのノリ、今までみんなが見て見ぬふりをしているような事に真正面から向き合っているようなそんな一冊。


この本を読んで思い出したのは最近見ていたお笑い番組のこと。
その番組では何組かの芸人がコントを披露していた。その中の1組のネタが高校が舞台のネタで、1人が男子生徒もう1人が女子生徒となって、男子生徒の方が女子生徒にちょっかいをかけまくるっていうシーンがあった。そこでは女子生徒がスカートを捲られていたり、アルミ缶で頭をどつかれていたりしていた。

私はそのコントがとてつもなく面白くて、声を出してケラケラ笑っていた。
1人で見ていたので他の人の反応が見たくてTwitterを開くと、数人の人が不快に感じていた。

不快になったって人のツイートを見て私は思った。

「ネタやん、別に現実世界の話じゃないのになー」
「こういう人がいるからテレビがつまらなくなるとか言われるんやん」
「見んとけばいいやん」


この本を読み終わった時、テレビを見ていた時の自分の感情が少しわかった気がした。不快になったっていうツイートはネタに向けられていたものだったけど、そのネタを見てケラケラ笑っていた自分にも向けられていると思ったんだ。


この本を読むまで私は最近のテレビにうんざりしていた。ちょっとしたことですぐ炎上したり、コンプラなどで放送できる内容の幅が狭くなったり。

けど、それは今までテレビでの悪いノリや容姿いじりが自分に向けられてなかったから特段お笑いを不快に感じていなかったんだなー。

本の中で色々な悪ノリやいじりや冷笑が書かれている。分かりやすく太っていることやハゲていることをいじったり、男の人が男の人を好きな事を嘲笑ったり、セクハラじみたことを言ったり。

笑いが起きればオッケーなのか?

この線引きがすごく難しい。
どういう言葉だったらセーフで、誰に対して言ったらアウトなのか。そんなのは今までもこれからもない。

昔の時代はお笑い芸に対して寛容でよかったな〜と言ってしまうのは簡単だけど、そんなんじゃ時代に取り残されるだけかもしれない。

自分が面白いって思っていることでも、誰かが不快に感じている。

人の数だけ価値観がある。自分の価値観が正義ではない。


自分の言葉に責任を持つ。一瞬言葉のの間にとにかく考える。


お笑いって難しい〜〜けど大好き。

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