![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117097117/rectangle_large_type_2_81e77254455e2743c346cf0209a56293.png?width=1200)
Photo by
takatsuki_illust
#2尻ズ~ロードオブザリングを見ていたら~
指輪の持ち主は、剛であった。エルフの末裔である木村はコンポタを染み込ませた変身べルトを剛に向かって振り下ろした。剛は「すっごくしゅんでる」と言葉を残し、慎吾に身を任せた。
体を託された慎吾はその場で、足に力が入らなくなったのかストンとその場に座り尽くし、傷心した様子で「ママもパパもおじいちゃんもお姉ちゃんもおはー...おはー」と慎吾のおまじないをくことが精一杯であった。剛の頬にポツリと慎吾の涙が雫となって落ち、頬をつたう涙を「マヨチュッチュ..」と唇で受け止めた。
遠くで誰かが石橋を叩いている音が聞こえる。不安なんだろう。共感する気持ちと励ましのエールを胸にしまっていると、どうやら周りにいたヴァイオリニストとセッションを始めた。
米のとぎ汁はフライパンを洗うときにも良いと知恵袋が言っていたことを思い出す。こんなこと今思い出さなくて良いのにと剛は遠ざかる意識とともに回想していた。
木村は未だ手に残る感覚とすだちとライムの違いに困惑していた。
「俺はエンジェル投資家だぞ!」と怒声を放つことで自分を保とうとしている。
「はぁはぁ、俺はエンジェル投資家!お金持ち!NISAフルコミット!」
そこにはエルフの尊厳は感じられなかった。
時を同じくして、笑点では山田くんが座布団を床に落とし、照れ笑いでなんとか場をしのいでいた。もう足下がおぼつかないこと、現役続行の難しさを感じながらも終身雇用という甘い密を手放すことは出来ない。強い信念が照れ笑いから感じられるようになったのはもう少し先のお話。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?