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初めてのマダテリ

昨日、高校の友人たちと初めてマダテリをやった。

マダテリとは最近流行の体験型推理ゲーム「マーダーミステリー」のことだ。「マダミ」「マダミス」と略す人が多いが、「マーーー」や「ダリ―」と略すこともできる。「マダミ(ス)」の認知度は「ヒゲダン」や「こち亀」に比べたらまだまだ低いので、「マーーー」や「ダリ―」でも今なら巻き返していける。僕は「マダテリ」を推していく(マクドナルドに「マダテリ」という新メニューを出されると困るが)。

マダテリは、殺人事件をテーマとした物語の登場人物になりきって、他の参加者との会話などをもとに、事件の真相解明や犯行の隠蔽といった各キャラ個別の目的の達成を目指すゲームだ。

これまでサークルの友人から誘われることはあったが、その度断っていた。なにせ外から見る限り奴らはマダテリ強者だ。鬼の巣窟である。僕みたいな初心者が入ったら噛み殺される。「この雑魚を起点に立ち回ればクソ余裕で勝てるんじゃねえか?」と思われるに違いない。先の見えない混迷の時代の中で、それだけがただ一つ確実な未来だ。

その点高校の友人たちは気楽でいい。彼/彼女らは初心者ばかりだから入りやすい。コンビニである。フラッと入って好きなジュースでも選んでいればよい。万引きも大目に見てくれるし、アイスの冷凍ケースに入って自撮りしても初回は許してくれる。それならばと、僕も思わず誘いにOKしてしまった。

それで、実際にやってみてどうだったか(ちなみに、オンラインでやった)。

これはまあ、やはりというか、難しいゲームだと感じた。理由は大きく分けて3つある。

1.嘘をつくのが難しい
マダテリでは嘘をつく・つかないは自由なのかもしれないが、有利に進めるためには嘘をつかないと乗り切れない場面もある。

だが僕はそういう咄嗟の言い訳が苦手なのだ。人狼ゲームなどでもそう、嘘をつこうとすると自信なさげな喋り方になってしまう。しどろもどろに喋っている間はとても息苦しい。普段誠実で正直に生きている分だけなお辛い。

細々と嘘をつくくらいなら、いっそのこと「はあ?(怒)違うから?やめてくんない?それ言う奴マジで嫌い」とキレたほうがマシなのではないか。もしくは「いやwwそれは深読みしすぎwwwwホントにww違うからwwwwww」みたいにノリと笑いで誤魔化すか。そんなことを考えてしまう。

というよりもう喋ってボロを出すのが嫌なので「寡黙な家具職人ダニエル。かれこれ15年、誰とも口を聞いていない。今日も一人ひたすらに釘を打つ」みたいなキャラクターが1人いてほしい。楽しくはないとしても。

2.駆け引きと推理が難しい
駆け引きと推理はゲームの核になる部分だろう。でもこれも僕はあまり得意じゃない。「あの発言は矛盾している」とか「こう言えばあいつが犯人だと思い込むかも」とか考えながらやると、頭が混乱してくる。そのせいでわけもわからず自分を攻撃してしまうことだってある。

情報量が多すぎて話についていけないから、当然推理もできない。何か言わなければならない時は「総合的に判断した結果として述べさせてもらうが」を連発することになる。これは推理でも何でもない。勘である。

そもそも殺人事件というテーマが重い。僕は日常的に殺人事件について考えたりしないので、殺人事件について考えるための回路が鈍いのだ。「冷蔵庫にあったプリンを食べたのは誰だ」とかのポップな題材なら僕の頭ももう少しくらい働くだろう。マーダーミステリーではなくなるが。

3.演じるのが難しい
ロールプレイングはマダテリの醍醐味の一つだし、僕も演じるのは嫌いではない。むしろ好きだ。昨日のマダテリでも声色と口調を変えながら話した。

ただテンションを保つのは疲れる。それっぽい台詞がスラスラと浮かばないからキャラクターが安定しない。言葉がブツブツと切れてしまい話がグダグダになっているのに、声色と口調だけクオリティを保つのはなんか恥ずかしい。「なんであいつ声だけ気合い入れてんだ?」状態である。

だから話が長くなると、どこかで必ず自分⚫︎ ⚫︎が出てきてしまう。声も口調も普段の自分に戻る。溢れ出る自分を抑えきれない。誰を演じても自分になってしまう。そういう意味では僕もキムタクも同じなのかもしれないが、恐らくそこには大きな差があるのだろう。

以上が僕がマダテリをやって難しいと感じたことだ。人狼ゲームとかAmong Usとかの議論系ゲームが苦手な僕にとっては、割と予想通りの結果ではあった。

でもまあ楽しいのは楽しかった。下手くそなりに色々と悩み、時にハラハラしながら最後までやり抜けたし、なんだかんだ点数は一番高かった(総合的な判断のおかげではあるが)。

あんまりシリアスになり過ぎずに、友達とワイワイやる程度なら楽しめるかもしれない。あるいはもっと経験を積めば本格的なものでも大丈夫かもしれない。これからの自分に期待だ。あと「マダテリ」の定着にも期待だ。

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