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バースデイソング

別に誰かに祝ってもらうわけでも
何か特別なことをするわけでもないのだけれど
誕生日に理不尽なことでお客様に怒鳴られたり
するのはやっぱり嫌だ。
普段なら受け流せることも誕生日の一日だけは
心の中で(今日わたし誕生日なのになぁ)なんて
ぼやきたくもなってしまう。

なんだろうなぁ。
やはりいくつになっても
祝われることはなくとも
自分の生まれた日ぐらいは
穏やかに過ごしたい。


心乱されるのが嫌だからだいたい毎年
なんとなく有休を取っていたのだけれど
今年はうまくいかなかった。
ここでわたしがこの表にバツをつければ
間違いなく調整が入るだろう。
この日どうにか入れませんか?
人が足りないんですよってね。
誕生日だから嫌です!なんて言えないしなぁ。

ま、いいや。別に誕生日なんて。
そもそも何か嫌なことが起こる前提で
仕事に臨むなんてね。逆暗示ですよ。逆暗示。

あぁ今日も忙しかったなぁ。
明日も多いんだろうな。
仕事が終わりやれやれと携帯を覗き込んだら
一瞬にしてミニオンに変身した。
アルバム、、。ナツニ、、アルバム。
ワーワーワーー!
車のクラクションを3回ほどリズムよく
鳴らしたくなるようなテンションだ。(迷惑だ)
バナナを見つけたミニオンのようだ。
ワーワーワーー!ワーワーワーー!
そのまま黄色い彼らのように
底抜けに陽気でいられればよかったのだけれど
何故か子どものように大声で泣きたい衝動に駆られて口をへの字にした。
アルバム、、。泣けるぜ。いやもう泣いてるぜ。

嬉しすぎて泣いちゃうやつね。わかるわー。
そりゃうれしいわー。うんうんうん。
帰宅して子らに話すと全力で共感された。
わかってくれるか。そうかそうか。

明日がどんな日になっても
どうでもよくなってきちゃったなぁ。
だって夏にアルバム出るし。
この一言で全て解決!
だって夏にアルバム出るし。
勇者ああああは最強の呪文を手に入れた。
ダッテナツニアルバムデルシ!
テレレレッテッテー。

ある一定数の人間はねぇ
大袈裟ではなく本当に
音楽に救われて生きてるんすよ。
知ってました?
知らなかっただろ。

ハッピバースデートゥーミー
ハッピバースデートゥーミー

え、プレゼント?わたしに?(ちがうよ)
わたしを生かすためにこの歌を?(だからちがうよ)

あぁ仙人のようなお客様がわたしに耳打ちして
そなたの願いをひとつだけ叶えてあげよう
とかなんとか言ってくれないかなぁ。
村上春樹の小説みたいに。

ひとつだけ願いが叶うとして
わたしは何を願うのだろう。
ここでは書けないな。

さて
誰も歌わないのなら
わたしがわたしに歌ってあげよう。
バースデイソング。


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