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修復

ガンジス川のほとりには
痩せ細った犬が一匹
静かに目を閉じて眠っている

砂埃の舞う喧騒の中で
わたしは靴を修理している
誰の靴だろうか

わたしの髪は短い
サリーが風に揺れている
真っ黒に汚れた自分の手を見つめながら
ひとつひとつ
綻びを直しては
ためつ眇めつ眺めている

孔雀が羽を広げたような
あの音楽が
鳴り響いている


あのひとは
修復し続けてきたのだ
だからこそうつくしい

通りすがりの誰かが言う

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