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卒業までの一週間 日記

高校を卒業したらしい。
全然したくなかったし、まだまだしたいことも、みんなと話したいこともある。さみしさだけをぽつぽつと思い出して、春から自分があの学校にいないことが信じられない

振り返ってみると、この3年間は短かったようで普通に長かった。長すぎて、一年生の頃の記憶なんてほとんど残っていない。

卒業までの一週間は曜日ごとに残すことにした。忘れたくなくて、いつか思い出せるようにめちゃくちゃ細かく書いてるので長くなってしまった

火曜日

今週は日曜まで学校があるので、火曜日始まりだ。

最後の歴史の授業では、議論をした。テーマは「自分は自分をどう認識しているか」について。一見、全く歴史の授業と関係なさそうなテーマだけどしっかり関係ある。私たちの歴史の授業は、歴史だけでなくそれを作っていく「自分」たちとの関係性を重視してレポートを作成する。
歴史は学ぶものではなく、作っていくという講師の考えをもとに、自分のことについても考える
だから、このテーマで議論した。ただ難しすぎたので、自分を一言でまとめるならどんな言葉にするかとか、自分の長所や短所はどこだと思っているか、みたいな問いから深めることにした

私は自分のことを「白色」って言った。理由は、白って曖昧でぽわぽわしててゆらゆらしてるし、なんとかなるとか、こんな感じ、みたいな私のポリシー(?)を言葉にするならこんな感じかな〜って思ったから。だけどみんなからは、白だったら他の色に影響されちゃうじゃん、君はそんなタイプではないでしょ、って言われた。まあたしかに、と思ったけど、黒色ではないんよなー、みたいな感じで結局曖昧にして終わらせた

そのあと、ひとりずつみんなから長所を言われる方が楽しいんじゃないかってことで、褒めタイムが始まった。ひとりずつ、これをがんばってたとか、こんなところがいいってのを言い合って、言われる方も言う方もなんか恥ずかしくて、でも最後の授業だしいいかって、楽しんだ。
私もみんなのことたくさん褒めたし、たくさん褒められた。みんなが言ってくれたのは、行動力があるとか、誰でも仲良くなれるとか、小さい声を聞くとか、いう時はバシッと意見を出すとかだった。もっとたくさん言ってくれたけど忘れちゃった。うれしかったなー

夜は寮で、好きな人たちとたくさん話した。もう次は君たちが3年生だねって話とか、卒業スピーチ何話すの、みたいな話とか、いつもと変わらないようで卒業感のある話だった

ストーブの前であったまっていたら、一年生の子が「ヨルシカの冬眠よすぎると思わん?」って超笑顔で話しかけてくれた。「わかるいいよね」って返したら「それだけ伝えたかった!」って笑って去っていった。かわいい
夜は冬眠を聴いてから寝た

ストーブ最高

水曜日

クラスのみんなで6月からずっと弾き続けていたスコットランドの曲を弾いた。はじめに合わせた時はあんなにバラバラで綺麗じゃなくて、楽しそうじゃなかったのに、今日はすごく楽しくて今までにないくらい最高の演奏だった
みんな笑顔で、音が楽しそうだった。合わせるの最後なんだって思ったら、楽しいのに急に寂しくなってきて、目が潤み出したから危なかった。ヴァイオリンも急に弱々しくなって、あぶねあぶねって切り替えた
さみしかったなーーー、何回も演奏してきたし、いろんな人に聞いてもらえたけど、これまでのどの演奏よりも今日がいちばん良かったと思う

教室に戻って「伝統とは何か」についての議論をした。私は今まで、振り返ったらそこにあるのが伝統、という好きなアーティスト(兼和紙職人)の言葉を信じて伝統と関わり続けてきた。これこそ真理だと思っていて、これに変わる言葉はもうないとすら思っていたけど、一年アイヌ文化やスコットランドの音楽に触れてきて、その考えが変わった

伝統っていうのは、人の思いが形になって残っていったもので、多少その形が変わろうとも続くから伝統だ。だから、大事なのはその「思い」の部分で、その思いが本物だったらずっと続く。ということは振り返るものじゃなくて、前を見た時にもそこにあるんだと思う、って言った

みんなの中には、ファッションは伝統なのか?という問いを持った人がいたり、筝をつかってロックをしたら伝統なのか?といった疑問をみんなに投げかけている人もいた。それらをひとつひとつみんなで考えていって、気づけば1時間以上議論していた。楽しかった〜

夜は来年度行われる予定の新入生歓迎パーティーの集まりをした。私はいないけど、意見を出したかったから委員に入った。絶対やったら楽しい!って思ってた人間知恵の輪をだしたらみんながいいねって言ってくれた
何人くらいでやったらどれくらい解くのに時間がかかるか、一回やってみようってことで10人集めてやってみた。これなら新入生も打ち解けられそうじゃない??いい感じ👍

壁のメモ全部剥がした

木曜日

英語の時間は、前から話していた、外でチャイパーティーをしようイベントがあった。めちゃくちゃ天気がいいわけじゃなかったけど、みんなで花粉の舞う山奥へ
学校から景色のいいところまではだいたい歩いて30分くらいはかかるので、その間は英語で会話をしながら進んだ。この時間が何にも変え難い幸せだった
景色のいいところでチャイをつくって、フロランタンみたいなのをたべて、一年ありがとうって話して山を降りた

チャイ用カップ

言語選択の授業では、俳句を学んでいるので最後に俳句甲子園をして終わろうって話していた。みんなたくさんいい句を持ってきていて、指摘することの難しさを感じた。ほんとにいい句ばっかだった、、
本当は「季語はこれがいいんじゃないですか」とか「これで切れ字にしている意味はあるんですか」とか言ってみたかったけど、全然無理だった。

そのあとは、芸術系選択授業の発表だった。劇と、ダンスと、映像制作が発表してくれた。私の入っているアンサンブルは明日。

これはたぶん書いても伝わらないので書かないけど、劇がおもしろすぎて最高だった。もうずっと笑っていて、笑いすぎて喉が痛かった。あとから、わたしの笑い声が大きすぎて裏にめっちゃ聞こえてたよって言われた。こんなに笑える人生って、ほんと幸せだと思う

ダンスもかっこよかった。シリーズものになっていた映像も完結して、それにも爆笑。笑い疲れたところに、「ぼくからちょっといいですか」ってRくんが立ち上がった。三年生に渡したいものがあって、みたいな感じで舞台の方に三年を集めて、メッセージがたくさん貼られたアルバムみたいなものを渡してくれた

本当に、全くもらえると思っていなかった。去年は私たちが作る側だったから、今年作ってくれる人いないよなーって話してたのにもらえてしまって、びっくりして泣いた。うれしすぎた。意味がわからない
本当にうれしかった。そのあとたべた小学校のクラスのカレーがやさしすぎて、それにも泣いた
暖かい冬の日差しに当たりながら食べるカレーは、春の訪れを感じさせて寂しい味がした

金曜日

今日は一生、印刷していた。クラスで作っている本の予定がいろいろあって大幅にずれて、このままじゃ卒業までに完成しないぞ!ってことで夜遅くまで学校に残って印刷をした
一緒にやってくれていた子は、わたしが朝ごはん当番でいなくなったあとも一人で頑張ってくれて、本当にありがたかった。自己犠牲精神が半端なすぎて、ほんとに心配になるから「もう帰っていいんだよ休もう」って言ってから学校を出たけど、結局21時までやってくれてたらしい。つらい

そういうとこが好きなんだけど、やっぱ自分のこともっと大事にしてほしい。。。ていうか周りでスマホ触ってる人たちが手伝えばいいだけの話なのに、どうして周り見ようとしないんだろうって少しイライラした。だけど、もうすぐ卒業だから波風立てたくなくて黙っていた。これが一学期なら普通に怒ってたと思う

夕方は音楽祭だった。今回はめちゃくちゃいろんな人が出て、2時間くらい音楽を浴びた。

私たちアンサンブルはずっと練習していたmoanin'を発表した。みんなめちゃくちゃ緊張していてテンポは早いし音ミスるしクオリティーとしては今までにないくらい、最悪だったけど、今までで1番楽しかった。みんながソロ終わって拍手してくれるのとか、みんなが自分の音だけを聞いてくれているのとか、なんか全部楽しくて終始笑顔だった。
最悪だったー!でおわったけどほんとに楽しくて、これがジャズやな、っていい感じにまとめた

えー!この人でるの!みたいなのもめちゃくちゃあって、アツすぎた。ジャンプしたり一緒に歌ったり拍手したり、時間はあっという間に過ぎていく。この人たちと過ごせる時間ももうすぐ終わるんだと思って寂しくなってるところに、合唱の「正解」と「A Milion Dreams」がきた。やばい。約20人の声が合わさる正解はやばかった。というか歌詞もやばい。もう語彙力が失われるくらい泣いて、ボロ泣きして、それで締めだったので、合唱の子達に「ありがとううううう」って号泣しながら感謝
音楽祭の主催の子が、泣きながら歌っていて、もうそれもやばくて、強めに抱きしめた

土曜日

朝ごはん当番でおでんをつくった。昨日の夜にほとんど全部準備していたから特にすることはなかった
3人でおでんを煮込んで、外のテラスでたべた。これも最後かと思うとおでんがいつもより沁みた

少しずつ印刷が終わって、帳合も終わって、なんとかみんなの原稿がのった本が完成した。
今日は授業がなかったけど、明日の祝う会の準備と大掃除と本作りでずっと忙しかった

大掃除は職員室の荷物を全部出して、掃き掃除を2回して、拭き掃除を3回して、ワックスを塗るところまでやった。一生懸命がんばると、掃除って楽しいよねーって話しながら。綺麗になっていく職員室を見て、大人は嬉しそうだった
「卒業しても定期的に掃除しにきてやお礼するから」ってあっこちゃんに言われて「お金じゃなくてあっこちゃんのパウンドケーキくれるならくるわ〜」って言ったら「そんなんでいいの」って言われたけどそれがいい。またこよっと

本が完成したから、みんなでお菓子パーティーをした。今年の春に作った梅シロップも準備。炭酸水と割って、梅ジュースにした。みんなでお菓子を食べながら一年頑張ったね〜って話をしていたらお菓子はすぐになくなった
あんなにたくさんあった梅ジュースもほとんどなくて、残ったのは顔の赤いKくんだけだった。「え、酔った!?」って大騒ぎ。シロップはお酒になってしまった可能性があるので、あっこちゃんに回収された

最後の寮での夜だった。友人たちとアルゴとか崩し将棋とか神経衰弱をして、スマホを使わない遊びの豊かさを実感した。たのしかったな、、アルゴ部つくってほしい。
私がお風呂から出た瞬間にAちゃんが部屋から出てきて、「ねえ早くアルゴしよ」って言ってきたのが可愛かった。みんなずっと笑っててかわいかった
和紙部の人たちが、一から作った和紙で卒業証書をつくってくれていた。明日渡してくれるらしい

最後の夜は幸せになりながら部屋に戻って、一生懸命片付けをした。ギリギリ終わったから書きたい人に手紙を書いた。20人くらい書きたい人がいたから、ゆっくり少しずつ終わらせて、なんとか書き終えた
みんなに伝えたいことがまだまだある

日曜日

なぜか目が覚めてしまって、7時半から準備をした。朝ごはんをたべて、ほんとにこれが最後の朝ごはんか、って悲しくなったから「もうちょいゆっくり食べてや」って同じ机に座る子達に言ったら、ほとんど食べ終わってたのに10分くらい待っていてくれた。すき〜

みんなドレスとかスーツとかに着替えたから、えーかわいいー!とかかっこいいー!とか騒いでたら気づけばもうお昼になっていた。私はとくに準備していなかったから、いつも通り襟シャツにネクタイで行った
卒業式ですら好きな服を着れるところも、この学校のいいところだ。この環境の自由さに感謝しつつ、行事の時だけ食べれるお弁当をたべて準備をした

みんなの髪の毛をセットしていたら、なんでか泣いている人たちが二人くらいいた。「まだ早いよ〜」って言ったら「なんか涙出てきたむり〜」って余計泣いてた。急に卒業の実感が湧いてきて、わたしも泣きそうだったので目を逸らした

卒業式はあっという間に過ぎた。小中高と合同でするので、卒業生の数は65人。せまい会場にギリギリ入るくらいの人数だった
保護者や在校生もいれたら会場には400人がいたらしい。会場に入った瞬間の人の多さにおどろいて、もうなんかそれで泣きそうだった。順番に名前を呼ばれて、卒業証書をもらってみんな一言ずつ話す。
小中生は一生の別れ感がないのでまだニコニコ見ていられたけど、私たちの出番になった瞬間もうダメだった
うしろで号泣している人がいるから、つられてボロボロ涙が出てきて、本当に卒業ってことを実感して無理だった。前から見ていると、泣いている在校生がたくさんいてそれを見てまた泣いた

私は一言で、みんなに生まれてきてくれてありがとうって言った。もうほんと、言いたいことはたくさんあるけど、まとめたらそれだった。くす玉を割って、会が終わって、みんなに手紙を渡しに行った。手紙渡したくてって言ったらみんな泣きそうな顔をするからこっちまで泣きそうで、耐えれなくて普通に泣いてた。泣く予定なんてなかったのに、ずっと泣いていた

帰りはカラオケで人生初オール。普通に終電前には帰ろうと思っていたけど、この人たちと別れたら本当に全てが終わりそうで帰りたくなかった
気づけば終電を逃していて、朝始発で帰った

こんな感じで、わたしの卒業までの一週間は過ぎていった。さみしいなあ、もうすぐ春かあ

240320

ありがとうございます。嬉しいです!