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#76【介護雑記】私が知らなかった「葬儀の世界」~お会計編~

ひと昔前、「葬儀告別式」と言えば、「一般葬」で、100万円~というのが、相場だったようだ。社会的地位の高い人ほど、葬儀告別式の費用は高額になる。(それは今も変わらない。)

しかし、コロナ禍で『超過死亡者数』が激増したことをきっかけに、日本は、『多死時代』に入ったと言われている。

コロナ禍前には、斎場(火葬場)の予約も、最短2日~3日と、わりと日程の自由が利いたが、今は、最短でも1週間先が殆ど。毎年12月~2月までの死亡者数が増える時期には、10日先でないと、斎場の予約が取れない事が多いと聞く。

母が亡くなった2022年2月でも、斎場の予約が取れたのは、8日程先だった。多くの方々がそんな状況で、仏様の「安置室」が不足しており、「安置室」確保に葬儀会社も悪戦苦闘していた。

葬儀当日は、斎場の六基ある火葬場がフル稼働。その間、「お清めの膳」を囲む遺族達で、斎場の控え室は溢れかえっていた。こんな事態は、コロナ禍前には見られなかったことだと、葬儀会社の担当者も疲弊しきった様子で嘆いていた。

本当に、日々、驚く程、多くの方々が亡くなられている・・・。

「多死時代」というキーワードを実感する。(実感したくはないが・・・。)

これは、本当に忌々しき事態だ。長い間、介護をして看取っても、自宅以外の「安置室」の確保が厳しく、「葬儀告別式」を出してあげられない・・・という、逼迫した状況に繋がる恐れもある。

これらを反映してか、葬儀業界でも、従来の「葬儀告別式プラン」の大幅な見直しがされており、コロナ禍前には、あまり主力を置いていなかった、「1日葬」や「家族葬」、中には、本当にシンプルに「火葬だけ」という、超格安プランも出て来ている。

しかしながら、葬儀会社の「格安プラン」には、それなりの”仕掛け”も入っているので、プランの内容は、慎重に吟味する必要がある。


◼️「格安プラン」では、「安置室」の利用は、別料金。

斎場の予約が最短では取れない事を見越して、「葬儀告別式」は、格安料金で設定する代わりに、「安置室利用料」で、採算を上げようという動きがある。

私達が小さい頃には、例え病院で亡くなったとしても、亡骸は自宅へ搬送され、葬儀告別式当日まで、自宅で「安置」され、自宅から「ご出棺」という、葬儀様式が一般的だったが、近年では、「安置」から「葬儀ホール」を利用する形式が一般的で、「安置期間」も2日~3日と短かったことから、「安置料」については、最初から葬儀告別式プランに組み入れていたケースが多かった。

ところが、「超過死亡者数」が急激に上がり、斎場の予約が1週間以上先となる事例が多発し、「安置室」が急激に不足する状況になった。不謹慎な表現になるが、安置室の回転率が悪くなり、それまでの経費では賄えなくなっているのである。

その為、葬儀会社の方でも「安置室」を確保し、採算割れを防ぐ為に、「安置料」は、「葬儀告別式料」とは、別に料金設定されている事案が多くなっている。

「戸建て」住まいであるなら、昔ながらの形式で、「通夜葬」までは、自宅に安置する事により、ある程度は「安置料」を節約する事が出来るが、アパートやマンション住まい、ましてや、自宅を処分して施設に入所したケースなどでは、仏様の「安置場所」の確保は、喫緊の課題になる。

「葬儀告別式」のプランや料金に関心が向きがちだが、仏様の「安置料」や「安置場所」についても、充分に検討しておく必要がある。

因みに、施設内で亡くなった母は、施設から葬儀ホールへ搬送してもらい、搬送料は5万円程。その後、葬儀告別式まで6日間の「安置料金」が、1日2万円×6日間=12万円が別料金だった。

これらの費用は、母がコツコツ積立てていた『互助会』のプランには、入っておらず、実費負担。(2日間分の安置料は、プランに入っていた。)

これが、自宅で安置した場合では、ドライアイスの交換費用料として、1日12,000円~15,000円。葬儀告別式が1週間先となれば、自宅安置料だけでも、70,000円~10万円は、別途かかるということ。

なので、最近ネットで、よく見かける、「1日葬儀で¥76,000円~!!」とか、私的には・・・、

ないっ!!(キッパリ☆)


これに、前記事で書いた、「戒名料」という、所謂「お布施」が、足されてくるわけで・・・。

ネットの格安葬儀費用を信じて、全て、その料金で「賄える」と思っていると、いざという時に、資金面で、とても辛い事態に陥ってしまう。それは回避したい所だ。

では、次に気になる、「お布施」の全国相場について、調べてみる。


◼️「お布施」の全国地域別の相場は・・・?⬇️

◼️葬儀のお布施の金額相場(全国の地域別)
日本消費者協会が行なった『第11回「葬儀についてのアンケート調査』によると、葬儀時のお布施の全国平均は47.3万円だそうです。

2日間にまたがる葬儀のお布施の相場はここには読経料(枕経、通夜、葬儀、火葬場、初七日法要)や戒名料が含まれているものとみなされます。地域別に見てみると、以下の通りです。
・北海道 33.4万円
・東北  60.9万円
・関東  52.2万円
・中部  54.3万円
・関西  46.5万円
・中国  42.6万円
・四国  39.2万円
・九州  29.1万円

よりそうお葬式/法事・法要・葬儀、お布施の金額相場ってどのくらい?渡し方は?より引用

いや、北海道と九州地方は、「お安い・・・。なんでだ?」と思う反面、結婚式費用も一番相場が高いと言われている中部地方は、お寺さんへの費用も「一番高い」、というのは、何だか納得・・・。

母のお布施は、「戒名料(位号/信女)」+「読経料」+「通夜供養」+「初七日供養」その他、込み込みで、「40万円」だったので、こうして見ると、相場よりも、十数万円安かった。

菩提寺のご住職には、感謝しかない。


◼️よくある『互助会』の落とし穴。

母の家系は、代々、県内の大手葬儀会社が主催する『互助会』に、月2,000円~3,000円の積立てをして、亡くなった時には、その葬儀会社が県内各地に構える「葬儀場ホール」で葬儀告別式を行う・・・。というのが、慣例化していた。

母も、コツコツと互助会に月3,000円づつ積立てており、その総額は75万円にもなっていた。(なんと250ヶ月、20年とちょっと積立てていた。)

”小規模家族葬の最小プランは、36万円だ。
そうすれば、39万円は、「お布施代」に回せる・・・!!
😍”

否っ!!

互助会で積立てた金額は、「現金」での返金は出来ないっ!!

嘘だろぉぉぉぉ・・・・・😱

「残った分は、他のご親族さま、例えば”お父様”が亡くなられた時にも、使えます。😊 その代わり、お父様にも、互助会に入会して頂くのが条件になりますが。😊」

葬儀場担当者の巧みな営業トーク

と、言うではないか・・・。

これって、こうやって、延々「互助会繋がり」をキープしていくシステムなワケだよ。だから、爺ちゃんも婆ちゃんも叔母ちゃんも母も、皆、互助会に入っていたんだ・・・。

アコギだ・・・アコギ過ぎる・・・。体の良いネズミ溝じゃねーか・・・。
(現金で積立てた金を返金しないって、商取引法違反じゃないのか?!)

母の葬儀告別式の第1回打ち合わせ時に、初めてこの「契約内容」を知った私は、内心、ブチ切れまくりだった。だがしかし、ここで、「互助会」のアコギな契約内容に抗議して「返金してもらう」という事は出来ない。

何故なら、契約者である母は、もういないのだから・・・。

ここまでを見越して、『互助会』というシステムは出来ている。ひどい。

”ならば、母がコツコツと積立てた75万円分を目一杯、葬儀告別式代に活用した方が良い。(悔しいけど。)”

だがしかし、『互助会』の『特別葬儀告別式プラン』とやらには、施設から葬儀ホールまでの搬送費や、前途の「安置料」は含まれていない・・・。

”ひどい・・・・・・orz”

結果、葬儀告別式は、最安値の36万円の祭壇セットで設定し、残りは、使えるオプションを使えるだけ使って、ピッタリ、75万円分にした。

「素晴らしいです! これでしたら、通常150万円のコースを、ほぼ半額で行えますぅ~っ!!!! 😄😄😄」

葬儀会社担当者/談

”いやいやいや・・・、まったく、納得はしていないよ。お得だとも思っていないよ・・・。闇だよ。闇っ!!”

後々、この『互助会システム』について、色々とリサーチしてみると、やっぱり、私と同じ様に、「現金で積立てたお金を返金しないって、ヤバくね?!」とか、「いやぁ~、ウチの父の時にもそうで、凄く困ったんだよね。」など、悪評判の方が圧倒的に多かった。

『互助会』は、ヤバい。
本当に、よくよく契約内容を見直した方が良い。


・・・と、いうことで、葬儀告別式費用は150万円!!! 

だけど、互助会の特別割引が75万円入っていて、積立て金が75万円あるので(?!)、実質、0円。(いや何か、全く納得いかない・・・。)

「搬送費」や「安置料」、祭壇セット以外の「献花」は実費、
よって、葬儀告別式の実費負担分は、約25万円。

「お布施」が40万円。

よって、母の葬儀告別式の総費用は・・・?!

¥2,150,000円也っ!!「家族葬」なのに😱

(内、実費負担分は、65万円。)

いや、だったら、「互助会」になんか積まないで、
格安10万位の1日葬ブラン+「安置料」10万+「お布施」40万=60万でもイケただろうよ・・・。

それこそ、実質0円って話じゃね?

おつりが15万も残ったわけで・・・。
これで「本位牌」とかだって、相当良いのが買えるじゃん・・・。

いざという時、現金化して自由に使えない「互助会」より、万一の死亡保険に「100万円」あった方が、よっぽど、「お得!!」かつ「安心!!」


初めての母の認知症介護にも、様々に勉強させて頂きましたが、それまで、何となく、忌避してきた「葬儀の世界」についても、本当に、様々に勉強させて頂きました。

ここに至って、つくづくと、母には感謝せざるを得ない ―――。

【 私が知らなかった「葬儀の世界」】シリーズ 完。



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