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(令和三年・2021/04/21〜04/30) 📚📚📚「宮崎正弘の国際情勢解題」 💕🐧

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月30日(金曜日)参    通巻第6889号  
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田中英道『新・日本古代史』(育鵬社)
桶谷秀明『昭和精神史 戦後篇』(扶桑社) 
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 戦後天皇を当時の文人らはいかに捉えたか
   中野重治、保田輿重郎、三島由紀夫、亀井勝一郎、福田恒存らの発言

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桶谷秀明『昭和精神史 戦後篇』(扶桑社)
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 先に本書の前編にあたる『昭和精神史』(扶桑社)が復刊され、それに続く続編である。といっても前作から五年の歳月を経て『文学界』に連載されたもので、その後、平成十二年に文春から上梓され、文庫版にもなっていたが、久しく絶版状態だった。待望の復刊ということになる。
 敗戦後、するりと立場を変えてすずしい顔をしていたニセ知識人が多い。
 折口信夫はこう詠んだ。

 「神ここにやぶれたまひぬ すさのをも おほくにぬしも
     青垣の内つお庭の 宮出でて さすらひたまふ」

 出雲の八重垣を詠んだスサノヲの五代孫オオクニヌシノミコトはヌナカワ姫に恋歌を贈り、青垣を読み上げたヤマトタケルも、その日本人の精神の中核にあった大事なもの文化的象徴だったが、戦後いきなりの彷徨をはじめた。
 それが戦後の精神状況の出発だった。
 軍国主義からミンシュシュギにひょいと転向した言論人の夥しさを、淡々とのべるが、桶谷氏はそれらを柔らかく、司馬遼太郎、高橋和己の批判にとどめて、深くは追わず、むしろ一貫して言動を変えなかった骨太の作家に、焦点を充てる。
 といえば、保田輿重郎と三島由紀夫だろう。
 保田に関して著者の桶谷氏は特別の思いが深く、随所で保田文学を分析しているが、昭和の精神が終わったことを三島事件にみる。
 「三島由紀夫の死で昭和が終わったといふ直感は、わたしもその中に含めて、当時、多くの者の抱いたところである。それは、思想、立場の違いを越えて、この事件が時代の象徴として受け止められたことを意味する。それは疑いのない予感だった」(421p)
 三島は「日本文学小史」の第四節「懐風藻」の箇所で、大津の皇子の悲劇をこう書いた。
 「ひとたび叛心を抱いた者の胸を吹き抜ける風のものさびしさは、千三百年後の今日のわれわれの胸にも直ちに通うのだ。この凄涼たる風がひとたび胸中に起こった以上、人は最終的実行を以ていか、つひにこれを癒す術を知らぬ」。
 桶谷氏の解説が続く。
 「大津の皇子における文化意思は、三島由紀夫において、近代日本の文明開化の精神に対応するものである。そして日本的湿潤性をもった私小説は、日露戦後に起こった自然主義から出てきた国風の詩的形式である」(423p)。
 蓮田善明は大津皇子の悲劇を「きょう死ぬことが自分の文化だ」と言い残した箇所を特筆したことを想起しつつ、この箇所を読んだ。
 いま一つ、桶谷氏は戦後象徴天皇となられた昭和天皇の全国巡行を廻っての、当時の文化人らの反応を比較している。
 中野重治、保田輿重郎、三島由紀夫、亀井勝一郎、福田恒存らの発言から、戦後の雰囲気を絶妙に再現してみせるのだ。
 共産主義者の中野重治ですら、「天皇をいひやうのない孤独に追いやっていることに、居たたまれない苛立ちと恥ずかしさと自嘲を感じた」(中略)。しかし「保田輿重郎は、日本人が自分の中に沈潜している『天皇』をうつつに意識するとき、『永遠の今』が、人の努力を超えて実現する至福の瞬間を描いた。昭和天皇といふ個人の御人柄はその意識に浮かび上がらない。それは問題ではない。『国のなり立ちと歴史の祖先の願望と献身』の総体の記憶と感情が『天皇』なのである。それは自己意識に収斂せず、広大無辺の『空』の状態に融解する」(463p)。
 重厚な思索の本である。
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~独自、独特な古代史解釈の筆、ますます冴えて
   神武天皇とはニギハヤヒのこと、泰氏はユダヤ人だった

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田中英道『新・日本古代史』(育鵬社)
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 すでに多くを語られた田中史学を本書では、総集編的入門編にまとめた。
『古事記』『日本書紀』を独自的に解釈し、特異な感性と美的感覚とで、(氏の専門は西洋美術史だった)、まったく違った角度からメスを入れた。
 それは神話だからという、突き放したような戦後的感覚で、多くの歴史学者がのべた作品は、歴史から切り離した解釈でしかなく、後世の後智恵である。まして土器や古墳には文字がないからと軽視したため、実像とは遠いものを『歴史』だと読み違えてしまったのだ。
田中氏はそういう原点に立脚している。
 泰氏は渡来人、それもユダヤ人で、築城から築池、堤防建築の技術をもたらして大和朝廷から重宝され、京都太秦に居住地を与えられた。
 田中氏は「高天原は日高見国だ」と主張され、鹿島神宮の周辺から天孫降臨したのであり、神武天皇とはニギハヤヒである、とする。
 「神武天皇が(東征に)出発するとき、すでに大和には天孫降臨をされた別の天皇(ニギハヤヒ)がおられることを知らされていた」(120p)
 「『先代旧事本紀』巻三「天神本紀」、第五の「天孫本紀」にニギハヤヒとその子、アマノカグヤマノミコト(天香山命)以後の子孫が十七代にわたって語られており、かなり長いあいだ大和地方を統治していたことがわかります」(中略)だから「日高見国から派遣された大和の支配者であった」(121p)。
 左右を問わず歴史学者が重要視する『魏志倭人伝』なぞ、フェイクと断言して憚らない氏は、「日本の文献は江戸時代まで、一切触れていません。皇室も知らなかったとおもいます。またこれ(魏志倭人伝)を認めるには、現地調査が必要です。しかし、誰も現実の場所を見出していません。このような杜撰な研究は歴史研究に値しません。大抵どんな士族でも、地元で知られていないことはありません。地元の記述があるはずですが、一切ないのです。これは何を意味するのでしょう」
 と根底的疑問符をなげかける。
戦後歴史学者への果敢な知的挑戦である。
ところで、「卑弥呼神社なるもの」が鹿児島にあるので、田中氏が行ってみると昭和五十七年につくられたものだった。(でっち上げの上塗り?)
 泰氏を重宝したのは、とりわけ継体天皇だった。その因縁からか、丹波に弓月神社がある。
この弓月組は120名を率いて日本に亡命してきた記録が残っている。
 田中氏は「弓月」が古代に中央アジアタジキスタンあたりに存在した事実から弓月君をユダヤ人と類推されるのだが、同神社の主神は弓月大神である。 
「泰氏と縁の深い弓月君の名が冠されていますが、朝鮮半島から泰氏を招き入れた応神天皇は、泰氏にとって一族の大恩人」だからだろうと言う(166p)。
 蛇足ながら、というより偶然だが、評者(宮崎)、この丹波の弓月神社のそばまで行ったことがある。神社と言うより草深き田舎に埋もれた小さな祠である。
 そのときの取材目的は明智光秀であり、丹波篠山の八上城を攻めた。この現場検証に評者は行ってみたのだ。JRで福知山から丹波篠山駅でおりた。まず驚かされたのは、このあたりは恐竜の骨がほうぼうに出土した古い場所だという地誌である。
 信長に反旗を翻していた丹波の八上城に籠城した波多野氏を討つため明智光秀は城のまわりを囲んだ。弓月神社は、このとき八上城に対峙した光秀の防御陣地の場所と推定される。
 ともかく本書は古代史の多くの議論に一石を(それも大石だが)を投じた。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月30日(金曜日)弐 通巻第6888号 <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~トルコ、アゼルバイジャン支援の見返りは何か
 ロシアは平和維持部隊2000名をナゴルノ・カラバフに派遣
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 アゼルバイジャンの勝利となった第二次ナゴルノ・カラバフ戦争のその後、現地では何が起きているか。なにしろトルコが供与したドローンでアゼルバイジャン側が勝った。トルコはアルメニアに対して鬱積させてきた恨みを晴らした。

 全土征圧の前にプーチンが間に入って仲裁。結局、ロシアのメンツは守られ、アルメニアの顔も立てたことになるが、ロシアの支払う代償は2000名のロシア軍派遣、安定を維持するために国境に平和維持部隊として駐屯することになった。

 アルメニア領土だった土地の三分の二をアゼルバイジャンが取り上げたわけだが、はやくも国土再建、インフラ建設のプロジェクトが計画された。?地にあり、人口の少ないハンディがあり、まずは開拓団的な入植をすすめ、220戸規模の小さな村の建設を始めた。

 主力のプロジェクトは水力発電所である。同時に道路などインフラ整備も必要となる。
 アゼルバイジャンを軍事的にも支援したトルコは、当然、この利権を狙う。
ついで意欲的なのは南の隣国イランだ。イラン北部にはアゼル人が多く暮らしている。2021年1月25日(停戦から僅か二ケ月後)にゼリフ(イラン外相)はバクー入りし、アリエフ大統領と会談している。またベラルーシのルカシェンコ大統領も現地入りし、アリエフと会談した。

 ほかに意欲を示すのはイタリアで、既にイタリアは七年前からアゼルバイジャンでエネルギー供給の事業を展開している。日本は? バクー駐在大使は「井戸掘りのお手伝いから」とJICAの援助を示唆したらしい。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERSOPINIONS 読者之声
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(読者の声1)安倍晋三前総理、ツイッターでは相変わらずの元気さで靖国参拝や台湾パイナップルで中国を煽り台湾を応援している。
https://twitter.com/AbeShinzo


https://twitter.com/AbeShinzo/status/1387227856611069952/photo/1


 安倍さんが発信すると台湾メディアがこぞって取り上げ、それを日本のメディアも報道する。
 朝日・共同といった左翼メディアが火を付け中国・韓国が反発する、といったことはもはや通用せず、オールドメディアの権威失墜を象徴しています。
 アメリカでトランプ大統領がいなくなったらCNNの視聴率はガタ落ち、もはやLGBTばかりのハリウッド映画の祭典であるアカデミー賞授賞式も視聴者が前年より58%減の大惨事。
 ネットではアメリカ映画のパラリンピックと揶揄されている。
 バイデン政権の政策がトランプ時代と基本的に変わらないのは米軍が実権を押さえている、民主党の不正を暴いて内乱状態になるのを避けるため、という説もありそうに思えてしまう。
 日本近海には欧米各国軍があつまり中国包囲網が狭まりつつある。120年前の北京の55日では日本軍の規律正しさが際立っていた。いまでも北京駐在の各国武官の取りまとめ役は日本の自衛官。子供の頃は百年前など大昔のことだと思っていたのに今ではフランス革命や戦国時代すら身近に感じてしまいます。
 ミャンマーとウクライナの政治の混乱も戦後75年を経過して行き詰まった国際政治をリセットしようとする企ての一環かもしれない。
 なにはともあれ憲法改正とまともな軍事力の整備が必要でしょう。
   (PB生、千葉)

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(読者の声2)ジョン・ケリー気象変動特使(元国務長官)に突如、持ち上がったスキャンダル。国務長官時代のイラン外相との会見テープの漏洩です。そこにはイランが支援したシリア国内のイラン代理兵の拠点200ケ所をイスラエルが攻撃したなどと機密情報が含まれており、共和党は「ケリーは多くの間違いを犯したが、これは最悪の誤りだ。さっさと辞任しろ」と非難を強めています。イランのザリフ外相は「由々しき問題」とし、テープはフェイクだと非難し、ケリーも漏洩を否定していいますが、真相は奈辺にあるのでしょうか?
   (YS生、山梨県)


(宮崎正弘のコメント)イスラエルが沈黙しているのが不思議です。フェイクニュースの可能性もありますが、現時点の情報ではなんとも判断しかねますね。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月30日(金曜日)通巻第6887号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~スリランカ政府、中国から五億ドルの追加融資
  ハンバントラ港、租借条件変更の再交渉を断念
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 スリランカは中国から五億ドルの追加融資をうけた。
その見返りはハンバントタ港の99年租借という契約の変更をめぐる再交渉をやめること、そしてコロンボ沖合の海上都市建設の継続だった。
後者はオーシャンシティと銘打ち、南アジアの國際金融都市を謳い文句にした大プロジェクト。すでに埋め立て工事は終わっている。

大統領迎賓館のある海岸通りの沖合に人工島を造成し、ここに証券、銀行、ハイテク企業を誘致して、スリランカの先進国化を急ぐとする大プロジェクトをまだ諦めていないのだ。

高層ビルが林立するというが、マレーシアのフォレストシティ、マラッカゲートウェイ等は既に開発業者の破産などで、失敗しており、スリランカは、幻の海上都市を抱えることになるのだろう。
 
追加融資締結直後の4月27日、スリランカ領海に入ろうとしていた中国船が核物質を積載していることがわかり、スリランカ政府は立ち寄りを拒否した。

他方、オーストラリアのモリソン政権は「中国とのBRIプロジェクト四件をキャンセルする」と発表した。
中豪関係は鉄鉱石と石炭の輸入を中国が中断し、豪産ワインの輸入禁止措置など、さんざんな嫌がらせを行ってきた。このため、豪世論は中国に批判的となったうえ、南シナ海の安全保障のため、豪北部の米海兵隊基地を強化するとして予算化した。
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 中国の宣伝工作の舞台が代わった
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 既存メディアへの中国の浸透工作は猛烈で、しかも相当の効果を挙げていた。SNSの登場で、中国の戦場は交替し、ネットへ宣伝戦争の場所が移動した。それが新しい認知戦争の舞台なのである。
 思い起こせば、トランプの登場前まで米国はチャイナマネーにすっかり汚染されていた。それも目も当てられないほど酷い状態で、ハリウッド映画まで中国礼賛だった。

 トランプが中国に貿易戦争を仕掛け、それまで米国の対中政策を操った「パンダ・ハガー」(愛中派)らが敗れ去った。替わって「ドラゴン・スレー ター」(龍処刑人)が、米国の対中国交の主導役となった。
 劇的な変化である。

 中国は2009年から、450億人民元(8000億円強)もの天文学的巨費を投じて、対外宣伝作戦をはじめた。
中国にとって「報道とはプロパガンダ」のこと、メディアは政治宣伝機関という位置づけだから、外国にも同じ手口が通じると思ってしまうのだ(すくなくとも日本では産経を除き、中国報道は北京の命令があるかの如くである)。

中国が 世界各地で展開した政治宣伝作戦を、米国を例にしてみると、NY42丁目のタイムズスクエアの電子広告板(液晶ビ ジョン)は中国の宣伝一色だったことがある。
米国の新聞にはい『チャイナ・ディー』(英語版の人民日報のような宣伝紙)の折り込みを入れ、あるいは 紙面に挿入させるという大胆な手法で、米国にチャイナロビィを形成し、多彩で幅広い領域へとプロパガンダを拡大げていた。

この侵略的な宣伝戦争をペンス副大統領は演説で指摘した(18年10月4日)。 
 新聞記者、学者、政治家の籠絡も派手に展開された。有力な大学には北京語を教えるとした孔子学院をつくった。
議会人にはあご足つき、ときに美女付きの招待旅行を次々と繰り返し、他方、シリコンバレーなどでは高給で釣って優秀な人材をスカウトし、中国のハイテク向上に役立てた。

 何も対応策を採らず、指をくわえて見ていたのは歴代政権だったが、クリントンとオバマ政権幹部、とくに副大統領だったバイデンは親子して中国マネーで薄汚く籠絡されていた。
 ロスアンジェルスタイムズは怪しげな華僑の資力によって買収された。この手法は香港と台湾でも、あらかたの新聞、ラジ オ、テレビ、出版社が中国の資力によって陥落してしまった。

▲香港大乱の前の段階でそうだった。
 
香港の出版界の実情と言えば四分の三の出版社が中国資本となり、中国共産党批判の書籍は大きな書店には並んでいない。辻々の屋台で売っているという有様だった。
 オーナー、社長ごと拉致されて、国際問題となった銅鑼湾書店はどうなったか、筆者は二〇二〇年一月にも見に行った。シャッターが降りて鍵がかかったままだった。かつては良心的と言われた『星島日報』や『明報』もじわりと真綿で首を絞められるように代理人を通じて中国資本が入り、 やや論調が変わってしまった。

 何清漣、福島香織訳『中国の大プロパガンダ ──おそるべき大外宣の実態』(扶桑社)は指摘する。
 「これら新聞(『大公報』を含めて)の香港に於ける信用度はきわめて低く」うえに、香港の人々からまったく信用されていない。「親共メディアは読む人などいない」。
香港大乱の取材で二〇一九年と二〇二〇年に三回香港に取材で行ったが、中国礼賛の『文わい報』など、新聞スタンドで、 まったく売れていないことに驚いた。

 対照的に「リンゴ日報』は飛ぶような売れ行きと比較して、これはどういうことかと思っていると、早朝七時。辻々におばさん達が立って『文ワイ報』を無料で配りだしたではないか! つまり大量の買い上げによって成り立っているのだ。それゆえ中国共産党はリンゴ日報を目の硬きとして、嫌がらせを繰り返し、広告主に圧力を駆け、さらには中国批判の集会を主催したリンゴ日報の創業者ジミー・ライを、違法集会だと難癖をつけて逮捕し、拘留した。

 米国の首都、ワシントンの「Kストリート」というのは、ロンドンにあった「軍艦街」とは異なって、政治ロビィストとシンクタンクの集中地区である。(ロンドンの「軍艦街」は政府批判を吠えるような論調の新聞社が並んでいた時代に、そう愛称された)。
 このKストリートの保守系シンクタンクにも中国資金がぶち込まれた。中国は、「委託研究」とかの名目で、あらかたのシンクタンクに法外な研究費を資金提供し、事実上、研究員を間接買収し、中国贔屓の提言を作成させた。

レーガン政権に大量の人材を送り込んだ保守の殿堂「ヘリティジ財団」も、一時は親中派に傾きかけてほどだった。
 中国はKストリートがワシントンの政策決定を動かし、ウォールストリートが米国経済を動かし、メインストリートが、米国の支配層を領導する構造を知っているからだ。
 2015年までの米国は、取り憑かれたようにチャイナ礼賛が続いていた。いったい何事が起きているのか、訝った人も多 かっただろう。

 ▲「紅色浸透」によって、オバマ政権下では「G2」が叫ばれた。 

 何清漣女史はこう指摘期する。
「ワシントンのシンクタンクが外国政府から大量の資金提供を受け、ロビイ機構に成り下がっており、米国官僚にその国に有 利な政策を推進させていた」(何清連前掲書)。
 中国の米国メディアへの浸透、ロビイストたちの籠絡、そのうえアカデミズムの世界への乱入があり、こうした「紅色浸透」によって、オバマ政権下では「G2」が叫ばれた。ズビグニュー・ブレジンスキー(学者、カーター政権で大統領安全保障担当補佐官)やロバート・ゼーリック(元世銀総裁)が声高に提唱し、「世界を米中で分かち合う」などと中彼らは高らかに言い放っていた。

 日本ではどうかと言えば、中国は別にカネを使わなくても、日本人の政治家も新聞記者も、尻尾をふってやってきた。このチャイナの傲慢はいつまで続くのか、懸念が拡がった。
 台湾ですら同じ状況が出現していた。嘗て国民党の宣伝ビラとまで言われた『連合報』も『中国時報』もダミーを経由して中国から資本が入り、台湾のテレビ、ラジオもそうである。

 香港と台湾ではどうやって真実をしっているのかと言えば近年猛烈な勢いで発達したSNSであり、とくに若者 たちは新聞をまったく読まず、SNSで正確な、客観的情報を入手している。

 米国の状況に戻ると、トランプの登場によって、こうした紅色浸透の作戦は、転覆した。百八十度、その効果がひっくり返り、反中国、アカデミズムでもキッシンジャーもエズラ・ボーゲルも孤立のなかで旅だった。

パンダ・ハガーから転向したピルスベリーが代表するドラゴン・スレーターが世論をリードするようになった。
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2227回】                
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港109)
 
  ▽
 1970年代前半の香港を振り返り、頭の中に浮かぶ思いを拾い出してみると、
  ──雑踏、人慍れ、生身の体が発するヌメッとする汗臭さ、騒音にしか聞こえない広東語、道路を覆うように張り出された巨大でド派手なネオン、どこか信用
できそうにない警察官、そんな警察官が用心棒を務める不法賭博場、カジノを「娯楽場」と呼ぶ不思議な感覚、路線バスの運転手という正業を持つ裏社会のアニキ、
法律事務所に本拠を置く裏社会の統領、日本の全国規模のヤクザ組織幹部とのビジネスに励む共産党系企業家、デタラメ情報の極致とも言える「香港情報」、海外
観光客相手のニセ・ブランド品、奥まで言ったら戻ってこられないような怪しげで隠微な空気感の漂う路地、残飯を漁る乞食、毛の抜けた野良犬、やせこけた野良猫、気味悪い歯医者のカンバン、不衛生極まりない診療所の医者(はたして免許状はホンモノなのか)、窓から道路に突き出された物干し竿、排気ガスが充満する歩道のガードレールに干された薄汚れた洗濯物、犬小屋より小さいくジメッと薄暗い超狭小住宅。。。
共産党支持を公言する国民党派、自称国民党員で共産党シンパ、英国パスポートを持つ共産党支持者。。。数え上げたら際限なく続きそうだから始末に困る。

 敢えて形容するなら、無秩序が充満する社会を秩序立てる不思議なカラクリ。一言で表現して混沌の坩堝、あるいはクソ味噌一緒の桃源郷、だったような。

 ともかくも問答無用状態で街全体が旺盛な活力に満ち溢れ、混沌が醸し出す自由な空気が街を圧倒していたように思う。書かれたものからしか想像できないが、「魔都」と呼ばれていた時代の上海の街は、こんな佇まいではなかったか。

殖民地であるから政庁(殖民地政府)を軸に社会の秩序は保たれていたはずだが、抜け穴も数知れず。共産党政府の統制の下に置かれた共同体もあれば、蒋介石政権を正統中国と訴え続ける「香港に取り残された国民党」の集落もあった。
そこでは中華民国の国旗である晴天白日旗がはためき、香港とは思えない雰囲気が感じられた。だが、国旗の色褪せ具合が彼らが置かれている立場を問わず語りに物語っているようであった。

 殖民地政府にとって香港は究極的には「借りている場所」でしかない。どう足掻こうが、圧倒的多数の住民に主権はない。共産党政権は影響力を及ぼすことはできても、それは限定的でしかない。
権力絶頂期の毛沢東であったとしても、殖民地政府と背後のイギリスを押しのけてでも自らの政治的意思を香港で貫くことは、殖民地の仕組みの上から法的にも不可能だ。
蒋介石政権は正面切って口を差し挟める立場にはないし、その力もない。

 こう考えると、殖民地としての香港の仕組みからして、誰もが香港の運命に関する最終権限(責任)を持ってはいないことになる。かりに殖民地政府をA、住民をB、北京の共産党政権をCとして考えた場合、A、B、Cの3者の利害が一致することはないのである。

 政治的に考えればAとBは共同歩調を取れるだろうが、これにCが加わるわけがない。漢族と言う要素に基づくなら生活文化的にBとCの間にはさほどの違和感はないだろうが、これにAが同調することは夢物語以上に非現実的だ。さりとてBを除外してAとCとが手を組むことはないだろう。なぜなら香港の生命線である経済の根幹はBが握っているのだから。
Bがソッポを向いたら、金の卵を産む鶏に待っているのは、ほぼ衰弱死だった。

 つまり香港に関する生殺与奪の権限はA、B、Cのどれもが単独で持っているわけではなく、加えて3者が一致することもない。これが殖民地としての香港の基本構図といえるだろう。
A+Bという組み合わせは可能だが、B+C、C+Aという組み合わせは考えられない。これを中国語で表現すれば九龍城を形容する「三不管」に当るだろう。
だとするなら香港は巨大な九龍城ではなかろうか。かくて、いざ次なる舞台、もちろん九龍城へ。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月29日(木曜日。祝日)  通巻第6886号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~イスラエルもトルコ非難の合唱に加わりそうな雰囲気
   在住アルメニア人が訴え。欧米の圧力にめげずエルドアンは孤軍奮闘
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 イスラエルもトルコのアルメニア「ジェノサイド」を決議することになりそうな雲行きである。
 これまでナチのホロコースト被害者として人権を訴えてきたイスラエルが、むしろジェノサイド認定を認めなかったほうが不思議だった。

 第一にナチスのホロコーストは人類史最悪の大虐殺であり、アルメニア虐殺の程度ではないと妙な潜在意識があった。
 第二にイスラエルの孤立をふせぐにはトルコを味方としておく政治的必要性、打算があった。だからトルコ空軍のパイロットの訓練をイスラエル空軍が行ってきたほどの政治的蜜月があった
 第三にイスラエルとトルコの関係が急激に冷却した背景には、アラブ諸国が陸続としてイスラエルの外交承認に踏み切り国際的な立場を強めたからだ。

 しかしトルコは異常なほど強烈に、オスマントルコ帝国時代のアルメニア虐殺というジェノサイドを否定している。「計画的組織的な虐殺ではなく、アルメニア人の移動を、クルド人に任せたからだ。虐殺と強奪が行われたが、トルコとは無関係である」と言うのがトルコ人の反論である。
 トルコ政府は、米国の「アルメニア虐殺をジェノサイドとした」ことへの報復を口にしており、「時期を選んで適切な措置をとる」と表明している。

 最悪のケースはトルコ領内のインクリーク米軍基地の閉鎖(実際に米土共同訓練は減った)である。
 そしてトルコのNATOからの離脱だろう。

 これまでにも2016年クーデター未遂事件で、トルコは「背後には米国亡命中のギュラン師がいる」として身柄の引き渡しを要求してきた。
 またアルメニア虐殺に関しては「組織的計画的ではない」とジェノサイドを否定したが、バイデンの路線変更により、「アメリカは先住民族インディアンを虐殺した。トルコ政府に敵対するクルドの武装勢力YPGにアメリカは武器を供与した」と非難を繰り返す。

 トルコのアキレス腱は経済だが、イスラムの沽券に賭けても、耐え抜くと豪語している、他方でロシアとイランに接近し、中国とはワクチン取引をなし、西側御苛立たせている。

 他方、欧米のロシア制裁はエスカレートし、チェコはロシア外交官18人の国外退去を命じたが、これは2014年におきた武器庫爆発が、ロシアの工作であったことが判明したためとした。
オーストリアのカルツ首相は、明確にEU合意に反対を示した。「これ以上のロシア制裁は無意味であり、むしろ対話を復活させるべきだ」と表明している。
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   ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム 
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今夏、日本近海に集結
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 日本のすぐ間近かまで、戦争の足音が迫っている。緊張が増しており、刻々と平和が脅かされている。今年7月に、英海軍の最新鋭の航空母艦『クイーン・エリザベス』(排水量6万8000トン)が、オランダのフリゲート艦などによって護られて、南シナ海を抜けて佐世保港に入る。
 英国の空母群が戦闘体系をとって極東の海に姿を現すのは、1953年に終わった朝鮮戦争以来のことだ。48年ぶりだ。
 『クイーン・エリザベス』は、英海軍と米海兵隊のF35Bステルス攻撃機を搭載しており、太平洋で海外自衛隊と合同訓練を行うことが予定されている。4月に、英国政府が「統合安全保障指針」を発表したが、世界戦略の中心が日本に至るインド太平洋へ移ったと述べている。
 3月に、海上自衛隊の補給艦が米駆逐艦とフランスのフリゲート艦によって護衛されて、航行する練習が行われた。その写真が発表されている。
 この夏には、ドイツ、ベルギー、フランスも、海軍艦艇を日本近海に派遣する。
 日本はいまから83年前に、追い詰められて、ハワイの真珠湾を攻撃することによって、対米英蘭(らん、オランダ)戦争に突入したが、「ABCD包囲網」によって石油、鉄鉱石などの供給を絶たれたからだった。開戦前から、日本の新聞に「ABCD包囲網」という言葉がさかんに踊っていた。Aはアメリカ、Bはブリテン(英)、Cはチャイナ(中国)、Dは(ダッチ、オランダ)だった。
 習近平主席の中国が、まわりに人がいないように独り勝手に振舞うのを受けて、バイデン政権の米国、ヨーロッパをはじめとする民主主義諸国の堪忍袋の緒(お)が切れて、中国を抑え込むために結束するようになった。
 いまや、A(米、オーストラリア)、B(英、ベルギー)、C(カナダ)、D(オランダ)、F(仏)、G(独)、I(インド)、J(ジャパン)のABCDFGIJ包囲網が、“暴れ龍”の中国を、檻(おり)のなかに閉じ込めようとしている。
 中国が尖閣諸島を襲うかもしれない。英政府の「指針」は、日本を「最も緊密な戦略パートナー」と呼んでいるが、日本にそれだけの緊張感があるのだろうか?
 習近平主席は、どうするだろうか?
              (かせひであき氏は外交評論家)

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号の「子豚、日本から輸出できない?」。貿易商社に問い合わせ殺到、とのニュース、日本でもすでに値上がりしています。
近所のスーパーでは4月半ばで100gあたり10~20円ほど値上げ。定番だったカナダ産がなくなりアメリカ産になった。
フィリピンでは豚肉が史上最高値を更新中だとか。
 日本ではラーメン店が値上げの危機という4月21日のニュース。飲食店にとってコロナに加えて食材の値上がりは厳しいですね。
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0421/bps_210421_8836099216.html

「大紀元」によるニュース。
中国人気火鍋店のカナダ支店に監視カメラ 映像を中国に転送=インドメディア『カナダにある中国人気火鍋チェーン店「海底撈火鍋(カイテイロウ ヒナベ)」は、店舗内に60台以上の監視カメラを設置し、その映像を中国に転送していることがわかった。中国の「社会信用(監視)システム」ともつながっているという』
https://www.epochtimes.jp/p/2021/04/72186.html
 中国の顔認証技術はすでに交通違反などでも実用化され交通違反の取り締まりの記事は2017年。
『上海の一部の交差点では、信号無視をした歩行者の画像が近くのスクリーンに表示されるようになり、この画像を取り下げてもらうためには罰金20元(約340円)を支払わなければならない』
https://www.afpbb.com/articles/-/3147331
 顔認証技術が店舗での支払いにまで応用されてきた、という2019年の記事。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68543?imp=0

 中国の急速なハイテク化については9歳(小4)まで日本で育ち中国の大学を卒業した女性による記事+漫画がおもしろい。
・今や路面店だけでなく、道端の露店も、見る限り全て、キャッシュレスに対応しています。
・スマホで全て解決できてしまうので、お金が盗まれる・カードを無くす心配もなくなって来ました…!
・さらに私が昨年9月、ドミニカ共和国から北京に帰国して一番びっくりしたことは、顔をスキャンするだけ・もしくは携帯番号を入力するだけで、スマホさえ取り出す必要なく支払いできてしまうお店が増えてきたことです。
・筆者の体感では、新しい世代のモラル意識は昔の世代と比べにならないどほど進歩しています。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81634?page=2
 この連載では大学受験の話題が面白かった。中国では憧れに憧れていたJK(女子高生)のカワイイ制服も、少女漫画のステキな恋愛と感動的な友情もない。中学から毎月のテストの順位が最下位まで張り出され、高3になるとそのテストが毎週となり、そのプレッシャーから鬱・頭半分ハゲる・摂食障害の級友も。受験生活のモットーは「只要学不死、就往死里学」(勉強くらいで死なないから、死ぬほど勉強しろ)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79686?page=3

 中国の優秀な人はとてつもなく優秀だけれど、多感な時期を勉強だけに奪われ創造力が摩滅する、といわれるのがよくわかる。塾の講師は大学に入ったら教えたことはすべて忘れろ、そして本を読めという。合格するテクニックとしての受験勉強、とは日本でもいわれることですが、中国では詰め込み具合が数段ちがう。
 清朝末期を描いたドラマでわざわざ日本帰りの教師が教える新式学堂を持ち上げていたのも科挙の伝統が色濃く残る中国の受験事情が背景にあるのかもしれません。現代中国の一面を知るにも興味深い連載です。
https://gendai.ismedia.jp/list/author/kaixij
  (PB生、千葉)

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(読者の声2)米国の友人から下記の意見がありました。
 「大統領選挙と同時に行われた米国下院選挙で民主党が辛くも過半数を獲得した事は記憶に新しいところです。
 ところで下院(Lower House)と言うのは上院よりもランクが下と言う意味ではなく、昔フィラデルフィアの家屋に議会があった当時、人数の少ないSenateが二階 (upper house) にあり、Houseof Representatives が一階を使用していたのが由来だそうです。
 2020年の米国国勢調査の結果が出ました。
 10年毎に実施されますが、米国では人口動態に即して州毎の下院議員数を割り振る制度があります。 一方上院は週の人口に関係なく一州当たり二人と決まっているので人口が最小(60万人)のWyoming 州と最大(3,900万人)のCalifornia 州が共に二人の議席を割り当てられています。 
これはUnited States の真骨頂と言えるでしょう。
 2020年国勢調査の結果、米国人口は331Million 人でした。 対2010年比で7.4%増となり、これまでで最も低い伸び率でした。
 この結果下院に大きな変化が生まれます。
 民主党が優勢な州を中心に7州が議席を一つ減らします。CA/IL/MI/OH/PA/WV/NY の7州です。一方共和党が強い6州が議席を増やします。 TX/CO/FL/MT/NC/OR でテキサスは2議席増です。下院の勢力図は現在民主党が221議席、共和党が220議席と伯仲しています。下院の任期は2年なので2022年に中間選挙があります。この時に共和党が再び多数派に返り咲く事になりそうなので、バイデン政権の運営は困難になります」(止め)。
(KI生、尼崎)

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(読者の声3)「憲法フォーラム」ライブ配信、会場は参加中止となります。
 5月3日に開催される「憲法フォーラム」は無観客となりネットのライブ配信に切り替わりますので、ご注意ください。
 日時 5月3日、1400-1600 
 登壇予定 桜井よしこ、田久保忠衛、河野克敏(前統幕議長)ほか。
 視聴方法 「憲法国民の会」で検索
   (美しい日本の憲法をつくる国民の会)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月28日(水曜日)弐   通巻第6885号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~最低賃金15ドルの大統領命令にバイデンが署名
  次に控えるのは2・25兆ドルという空前の景気刺激策論争。
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 米国経済を左右する大きな問題は財政赤字だが、武漢コロナに襲撃されて以後、財政均衡論は瞬時に吹き飛び、MMT理論が主流となって、将来の負担への恐怖心は消えてしまった。
イエーレン財務長官は「大胆な行動を取る」と発言し、じゃかすかと赤字国債を増発、市場にはカネが溢れ、ウォール街の株価が高騰を続けた。
 NYやシリコンバレーの空洞化も進んだ。

 コロナ対策への1兆ドルは認められた。つぎにバイデン政権は次の八年間で、2・25兆ドルという空前の巨額を投じてインフラ整備などを計画している。これがアメリカの経済論壇で賛否両論、激しい議論がぶつかり合う。賛成論はポール・クルーグマン。反対論の代表はローレンス・サマーズ元財務長官だ。

 議会では与党内で反対論が噴出した。共和党は勿論、反対である。
 選挙区を抱える議員にとってはアカデミィックな机上の空論より、選挙民の生活が大事である。

2021年4月26日、バイデンは「最低賃金を15ドル」とする大統領命令に署名した。連邦政府と契約した業者、企業に適用される。
財政出動を肥大化させての景気刺激策の一環であり、同時に党内の社会主義者サンダースなどが唱える大学無償化論にも、耳を傾けざるを得ない。なぜなら若者の多くは高額な大学授業料にネを上げており、大学ローンが一生ついて回るから、一流企業にでも就職できないと、マイホームも結婚も出来ないという暗鬱な未来設計しか立てることしかできず、これが米国社会の心理的問題として深く沈潜している。

 兵役につけば、大学無償化という選択肢もあり、このコースを選ぶ若者もいるが、多くは学生ローンで、なんとか卒業を目指す。くわえて外国人留学生も、ローン負担に耐えきれず、帰国するケースが目立つようになった。

 上院で反対論の狼煙をあげたのはジョー・マンチン(民主党)。シューマー上院院内総務も、議会運営の円滑化から、たとえ下院を通過しても、バイデンの巨額投資計画は、共和党との協議をする必要がある。
 上院議会の勢力バランスは50vs50。一人でも民主党議員が反対すれば、バイデン案は葬られる。拮抗すれば、共和党はフィルバスターで妨害に出るだろう。

ワシントン筋は、共和党の5680億ドルという景気刺激策と妥協を試みるだろうから、結局は6000億ドルから1兆ドルという範囲で落ち着くことになるだろうと予測している。
 ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)中国の人口が1949年以来、はじめてマイナスに転じたとフィナンシャルタイムズが伝えていますが、少子化のスピードは日本より速いのではと思われます。
   (TY生、茨木)

(宮崎正弘のコメント)どうやら14億人を割り込んだ模様ですね。となると人口でインドに抜かれるのは予測より早いのではないかと思います。

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(読者の声2)未来ネットから番組のお知らせです。30日(金曜)午後四時からの「宮崎正弘の生インタビュー」はゲストに広瀬陽子・慶応大学教授(カフカス地域専門)をお迎えして一時間の生番組です。
 テーマは「プーチンのハイブリッド戦争」を軸に中国の超限戦との比較などです。
   (未来ネット)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月28日(水曜日)通巻第6884号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「子豚、日本から輸出できない?」。貿易商社に問い合わせ殺到
  高級和牛のブームは去った? かなり深刻な食糧不足に陥っている
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 2020年の中国は自然災害に悩まされた。
 豪雨、洪水、農地被災。工場の被害もたいへんだった。農地の冠水は農業生産を数年は停滞させる。被災者はおそらく数千万人だろう。

 未曽有の豪雨は三峡ダムの崩壊が危険視された。昨秋には蝗虫、南西部から北東部まで穀倉地帯を蝗害が襲った。じつは食糧備蓄を取り崩しても足りず、米国などから食糧を緊急輸入した。穀物輸入は1億1500万トン。2020年10月だけでもトウモロコシ輸入が7782万トン、麦が6679万トン、米(こめ)もタイ、ベトナム、印度から緊急に輸入して急場を凌いだ。

 そして習近平は突如言い出したのだ。
 「食べ残しを禁止する」

 しかし中国社会科学院は「食糧不足の心配はない」という報告書を出した。中国では、嘘しか言わない官製報告は逆に庶民を不安にする。それは中国人の感性に染みついた本能的感覚であり、反射的に買いだめに走る。

庶民の食生活のバロメーターは豚肉である。
「子豚、日本から輸出できない?」と中国の業者から日本の貿易商社に問い合わせ殺到したことがあった。中国は政府が補助金を出すなどして値上げを抑え込むが、それでも豚肉は四倍近く高騰し、さらに市場から豚肉が消えることも起きた。豚コレラの感染が広がったからだ。

 思い出すだろう。毛沢東は「大躍進」と豪語した。
 あの1959年から1962年前後まで、餓死者は5500万人と推定されている。文革期には人々が猜疑心の固まりとなって殺し合い、そのうえ生産が激減したため、餓死者が数百万以上出た。農地は荒れ放題となり、農家は絶望的となった。

 本来、中国は食糧の自給自足が出来にくい国である。農地はあっても、計画経済のため、生産性が低く、そのうえ重労働。トウ小平が「改革開放」を叫んだとき、どれほど庶民は、そこに希望を抱いたことだろう。


 ▲あの贅沢な食生活も杜子春の夢の如く終わりぬ?

 改革解放で工業化が進み外貨が唸りを上げて増えると、贅沢品を買い、豪華マンションを購い、海外旅行へ出かけるまでになったが、さて新幹線、高速道路、功業団地は農地を減らす。見渡す限りの田畑が消えて、高層マンションがどかどかと建築された。さらに農地は激減した。

 長江(揚子江)流域に中国の全人口の40%が住み、GDPの50%を稼ぎ出す。豪雨の被害は、この長江流域が一番ひどかった。
 すぐに食糧不足に陥り、庶民は買いだめに走るが、農家は売り惜しみの挙に出た。

 中国農業農村部は昨秋、「2025年までに1.3億トンの穀物が不足するだろう」との予測を出した。
 統計に拠れば、中国がいかに宏大な土地があると雖も、山岳、砂漠、曠野が多く、有効活用できる土地は全体の12%しかない。これは世銀統計でも明らかになっている。
農地不足は9000万ヘクタール。牛豚を飼育する穀物も不足し、じつは中国経済の最大のアキレス腱が、食糧にあることを図らずも露呈した。

 他方、中国人は贅沢になって和牛を好みだし、輸入ブームがきたと報じられた。
 実績は2013年に41トンだった牛肉の輸入が、2017年には97万トンになった数字がある。しかし実態はWAGYU(和牛)ブランドの豪産と、カンボジア経由の「本物」である。
カンボジアへ一旦、日本から輸出される和牛は「カンボジア産となって北京、上海、広州などの高級日本料亭に届けられている。
  コロナ禍で、こうした現象も沙汰止みとなった。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「未来ネット」(旧「林原チャンネル」)の生討論番組、「いわんかな」は5月13日(木)1630からです。
出演は敬称略で、司会=高山正之、コメンティターに馬渕睦夫、福島香織、宮崎正弘、塩見和子、松田喬和。
https://youtu.be/nTJiKnX6wk8
 ゲストは木内孝胤・元衆議院議員の予定。
  (未来ネット)

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(読者の声2)2022年の米国中間選挙で、選挙区の変更もさることながら各州に割り当てられる下院議員数に増減があるとか。
 そうなると共和党有利なのか、民主党がますます裨益するのか、どういう風にご覧になりますか?
   (SDG生、在韓国)


(宮崎正弘のコメント)定数是正はアメリカの人口動態を勘案してのことで、2020年には以下のような増減となります。
 定員増(各一議席増)
 モンタナ、オレゴン、コロラド、ノウスカロライナ、フロリダ。
 そして二議席増はテキサス州。
 定員が減となるのは人口が減って他州への転出が続くところで、
 カリフォルニア、NY,ミシガン、ペンシルバニア、オハイオ、イリノイ、ウエストバージニアの各州。各一議席減。
 共和党有利になるかは、どういう階層が移住しているかによるので、例えば保守の牙城テキサス州への移住はカリフォルニアからが多く(シリコンバレーからオースチンへの移住が目立ちます)、決して共和党有利とは言えないでしょうね。
 下院議員はあくまでも人口比例。上院は各州二議席。民主党が狙うワシントンDCの州昇格による定員増は、共和党のフィルバスターで、実現しないでしょう。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月27日(火曜日)弐    通巻第6883号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~台湾の防空識別圏を中国の戦術偵察機AY8が侵犯
  低空飛行で台湾のレーダー探知能力とスクランブルの対応能力をテスト
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 4月26日午前、台湾海峡に中国空軍の「戦術偵察機」AY8型機が、台湾の防空識別圏に侵入した。「これは台湾の防空能力を試す試みであり、かえって台湾海峡の緊張をたかめるものだ」と台湾国防部は発表した。

 台湾の領海、領空侵犯は日常茶飯だが、戦術偵察機は初めてとされる。 
 AY8は「陝西AY8」とも言われ、プロペラ、時速550キロ(推定)。26日の侵犯では、海面から30メートルの低空飛行で、台湾のレーダーの探知能力を試した。

 もともとソ連のアントノフ輸送機を改良した飛行機だったが、中ソ対立にともないライセンス生産ができなくなって陝西省の陝西航空が、改良型のバリエーションを膨らませて、およそ170機が製作されたという。
 中国はこのAY8型機を小型輸送機などにも改良させてスーダン、ベネズエラ、スリランカ、タンザニアなどに輸出してきた。

 まもる側の台湾空軍の主力戦闘機は、米国製F16ジェット戦闘機。つねにスクランブル発進を繰り返しており、2020年だけでも出撃回数は2972回、一日平均で8回強の緊急出撃を繰り返してきた。

 台湾空軍の陣容はカーター政権の断行以後、米軍の兵器供与が激減したため、国産計画を遂行する傍らで、フランスのミラージュ戦闘機も導入し、並立体制がつづいた。
 トランプ政権で台湾への武器供与が拡大され、性能アップが図られた。F16新型供与も決まり、台湾空軍は近くF16機200機の体制となる。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) インドネシアの潜水艦沈没事故、原因は不明とされていますがインドネシアに韓国が絡んでいる時点で察しがつく。
 今回沈没の潜水艦はドイツで1978年に建造され1981年に就航したもの。2012年に韓国の大字造船所で改造、ソナーや魚雷発射の改良、電気設備の改良がされたが、その際、機器を艦内に入れる為に、特殊鋼でできているドイツ製潜水艦を輪切りに切断。近代化改修工事での溶接不良の疑いが濃厚。ただしインドネシアもろくに整備していないでしょうからどっちもどっちかも。
 今回の事故原因について一番的確なコメントと思ったのは韓国は悪質リフォーム業者というもの。技術もないのに安値で売り込んでは見た目だけ整え中身はシロアリ状態。マニラのMRTの保守が日本企業から韓国企業に変わった際も故障が続発、徐行運転を余儀なくされ結局日本の保守に戻りました。

 インドネシアはムダに高いプライドとワイロ体質が韓国とよく合うのか、過去になんども韓国と手を結んでは安物買いの銭失いに終わっている。ポスコの技術による製鉄所の爆発事故は結局どうなったのか。
韓国と共同での新型戦闘機開発ではインドネシアの負担分20%のうち3割程度しか支払っていない。戦闘機の性能未達・生産遅れなどさまざまな理由をつけていますが、なにより韓国がアメリカからの技術供与を受けられず一部イスラエルの技術を使用、イスラエルと国交のないインドネシアは飛ばせない可能性まである。

 インドネシアが信頼できないのは1960年代に日本のロケット技術を導入し、マレーシアからミサイル開発のためとクレームがついたことにもある。
ペンシルロケットに始まる固体燃料ロケットの開発は東大と富士精密・プリンス自動車
・日産自動車・IHI(石川島播磨)の長い歴史がありますが、伊藤忠がからんだロケット技術輸出のためにアメリカから圧力がかかり日本のロケット技術は枠をはめられてしまう。
インドネシアに輸出すればそのまま中国へ流出するのは目に見えている。天安門事件後の日本の対応も甘々でしたが、中国空軍の生みの親が日本陸軍航空隊ですから、アメリカからの圧力に対抗するためには中国と結んだほうが良いと考える政治家や経済人も多かったのかもしれません。

 インドネシアは2003年以降すでに石油輸入国。慢性的に外貨不足の悩みがありインドネシアルピアは低迷したまま。そこでジョコ大統領は国産品愛用を呼びかけているものの3月には本音が出たのか「外国製品を嫌え」とまで発言。
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/347273
 インドネシア国内でも批判を浴びたようですが、インドネシア在住日本人の鉄道ブログ
http://krl.ldblog.jp/
によるとジョグジャカルタの電化開業式典には移動式の自動改札機(式典後は撤去)を設置させ、国産の電車を走らせたとあります。
大統領はインドネシアは独り立ち出来た、インダストリィ4.0 だと豪語しているそうですが、国産といっても多くは外国製部品を組み立てるだけ、技術はいつまでたっても上がらず製品は粗悪で高い。
軽量化が利点のはずのステンレス車両もSUS304(ステンレス鋼の種類の1つ)を使っているため、重くなってしまう(日本の車両や日本のノックダウンで生産された車両はSUS301)。日本企業が進出している自動車生産もタイの二分の一水準。
 インドネシアの国民からは開発独裁のほうがマシとの声もあるそうで、クレクレ体質が変わらない限り、日本は全ての政府間の資金援助、技術支援は止めるべきというブログ主の意見に賛成ですね。
   (PB生、千葉)

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(読者の声2)バイデン発足百日の世論調査に拠れば、人気は上々の様子ですね。
保守系FOXで、支持率が54%、NBCが53%、ワシントンポストが52%と、同期のトランプの支持率42%と比べると、なかなかの上出来です。
 もっともレーガンのときは60%台でしたが。。
 予測より、なぜバイデンの人気は高いのでしょうか?
  (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)トランプ路線を明確に転覆させたのはWHO復帰、パリ協定復帰、イランとの核合意再開などですが、こと中国外交に関してはトランプの呪縛のなかで、バイデン本来の親中路線に踏み切れないばかりか、ときにトランプより強硬な中国批判を繰り出しているからでしょう。
 台湾に関してもトランプの台湾支援強化の継続を行っています。「こんな筈じゃなかった。過去の献金は水泡に帰すのか」と地団駄踏んで悔しがっているのは北京かも。
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      ★☆★☆ アンディ・チャンのアメリカ通信 ☆★☆★
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梅(バイデン)さんの「ノーベル賞妄想」
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 まだ誰も書いていないからこれは私個人の考えだが、バイデンがパリ協定の気候変化サミットに復帰して10年内にCO2半減を発表したのはノーベル平和賞を取るためと思う。彼は受賞のために出来ないと知りながら高い目標を掲げたのである。目標の達成はどうでも構わない。ノーベル賞を取るのが目的だ。
 日本のユーチューブではバイデンのことを梅さんと呼んでいるが彼の本性は梅毒である。
 これと似たような空約束は前にもあった。2016年にオバマは2025年、つまり10年内にアメリカのCO2放出を2005年度の26%まで削減すると発表したが、5年後の2021年までその半分も達成していない。
 バイデンがオバマの目標より大幅な52%削減を約束したのは見えすいた空約束である。バイデンは空約束でノーベル賞を取ろうとしている。世界諸国はバイデンがパリ協定に復帰したことを歓迎しているから空約束でも受賞できると妄想している。
わざわざ4月24日の地球の日(Earth Day)に20数か国の代表をズームのサミット会議に呼び出し、アメリカは2030年までにCO2放出を2005年度の52%まで削減すると公約した。
サミット会議の前に日本の菅首相と会談して日本にもCO2半減を要求したので、日本はCO2放出の46%削減を約束した。カナダも2030年までにCO2放出を45%削減すると約束した。バイデンは中国が世界最大のCO2汚染国であることは言わなかった。

 バイデンはCO2放出半減に太陽発電と風力発電、そしてガソリン車をEV車を推進しているが、太陽発電は昼間だけ、しかも天気と朝夕の太陽の位置によって発電効率が違う。発電したエネルギーを蓄えるため大量の電池も必要である。
風力発電に必要な強い風が吹いている場所は有限だし風力も天気次第である。ガソリン車を廃棄するには大量のEV車を製造する必要がある。
バイデンのCO2半減に必要な太陽パネル、風力プロペラや電池、EV車の製造に要する電力は石油、石炭と天然ガスだが、天然ガスは開発にエネルギーが必要だしアメリカ国民は原子力発電に反対である。つまり2030年まで石油石炭発電で放出するCO2は期待するほど減らない。
 バイデンはケリーを上海に派遣して中国にもCO2削減の目標を要求をしたにも拘らず、習近平は30年までにCO2の増加を止めるとだけと言った。
中国の脱炭素目標はGDP成長率に対する目標としているから2030年までCO2の増加を止められない。つまり中国は何も約束しなかった。インドも同様だ。
 いくらアメリカが高い目標を掲げても最大のCO2放出国である中国やインドのCO2放出が年年減らない限り地球温暖の上昇を1.5°C以下に抑えるという目標は達成できない。世界諸国のCO2放出は、中国が33.3%、アメリカ13.4%、英国を含むEUは8.7%、インド6.8%、ロシア4.7%日本3%である。中国が世界で最もひどいCO2放出国、世界の放出量の3割以上である。

その上に先進国アメリカや日本など先進国は緑の気候基金」に途上国に対する国際支援金を払っている。緑の気候基金(Green Climate Fund)は途上国における気候変更対策を支援する国際的な基金である。
アメリカが30億ドルを払い、他の先進国、イギリスは30.5億ドル、日本が30億ドル、フランスが27.4億ドル、ドイツが27億ドル。この資金を後進国や発展途上国と呼ばれる国々に補助金として支給している。中国は世界で2番目のGDP大国でしかも世界最大のCO2放出国だが金を払っていない。

 トランプは2年前に諸国が緑の気候基金に不公平な割合で金を出していることを指摘し、これが改善されない限りパリ協定を脱退すると宣言し、2020年10月に脱退した。
諸国は最大の資金提供をしていたアメリカがパリ協定を脱退したことに非難した。だから諸国はバイデンが当選してパリ協定に復帰したことを歓迎したのである。復帰すればアメリカの金が入ってくる。
見方を変えれば、緑の気候基金は先進国の富を後進国に分配する社会主義や共産主義の「富の分配」である。
金持ちから金を取って貧乏人に分配する。これこそDeep Stateのグローバリゼーション、世界の共産化だから諸国はバイデンのパリ協定復帰を歓迎するわけだ。
バイデンのノーベル賞の妄想は実現するかもしれない。過去に何人ものアメリカの大統領がいかにもおかしな理由でノーベル賞を取っている。
アル・ゴア副大統領は自家用ジェット機でCO2を撒き散らしながら各地で講演し、北極の氷が解けて10年内にマンハッタンが水没すると言ってノーベル賞を受賞した。マンハッタンは水没していない。
ジミー・カーターはトンカチ一丁を手にして世界各国の建設を見て回っただけで受賞した。オバマは諸国の核爆弾開発中止を講演しただけで受賞した。バイデンもCO2削減のリーダーとして受賞できるかもしれない。
彼らはみんな民主党員である。キッシンジャーも民主党員である。オバマの実績なき受賞と違って共和党のトランプ大統領は北朝鮮の核開発をストップさせ、イランのウラン濃縮をストップさせたけれどもノーベル賞を受賞できなかった。
彼には世界の核廃絶に対する実績があったけれどもDeep Stateはトランプにノーベル賞を授与しないのだ。
               (アンディ・チャン氏は在米評論家)

(宮崎正弘のコメント)日本は売電ではなく梅田(大阪)が祝意を表しました。オバマの時は福井県小浜市が。台湾も中国も香港も華字紙は共通して、バイデン大統領を「拝登」と表記しています。
かつてレーガンを台湾は「雷根」、中国は「黒根」としていました。最近、中国のメディアには「黒根」を「里根」と静かに訂正したところもありますが。。。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月27日(火曜日)   通巻第6882号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米国は「大きな政府」を目指す方向へ転換
  日本経済の再生に、この基本政策は参考になるのか
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 「大きな政府の時代」が再来するとは!
ニューディールは、FDRを囲んだ妖しげな利権屋が群がり、予算をむさぼった。じつはニューディールは大失敗だった。
コロナ対策では患者ひとりあたり13000ドル、人工呼吸器使用患者には39000ドルの補助金がついた。医者、医院が何をしたかは想像におまかせ。

 バイデン政権は「コロナ以後」を睨んで大仰な経済活性化を進めると公言している。
イエーレン財務長官は「大胆な政策を採る」と議会証言しているが、サマーズ元財務長官らは大声で反対している。まともな経済学者はサマーズ同様にバイデン路線に賛同しかねているが、賛成派も多く、その代表選手はノーベル経済学賞のクルーグマンだろう。

 米国は、「レーガン・サッチャー時代から40年近く支配的であった新自由主義(ネオリベラリズム)的常識、つまり財政赤字は避けるべきだ、自由貿易を尊重し、規制を緩和して産業や市場への国の介入はやめるべきだ、等の見方はあっさり捨て去られつつある。代わって大きな政府を柱とする、いわば『新ケインズ主義』が前面に出てきた」(武者稜司「ストラテジィ・ブリテン」、4月26日)。

 米国は武漢コロナ対策に200兆円、今後も数年に亘り、およそ300兆円をインフラ投資に廻すと発表した。
内訳を見ると、半導体国産化支援5兆5000億円。EV開発と充電ステーション投資に19兆円。クリーンエネルギー支援に5兆円。高速ブロードバンド網の構築とスマートグリッド等電力インフラ投資にそれぞれ11兆円を投資する計画が柱となっている。
通常予算では国防費に7150億ドル。

 このバラマキ数字に鼓舞されて、株式市場は一転して上昇に転じた。ちなみに、2020年四月から2021年四月までの一年間の各国市場の上昇率をみると、
 米国   141%の上昇(即ち株価は1・41倍)
 日本   185%
 中国   226
 台湾   242
 韓国   218
 ドイツ  131
 英国    77%(先進国でBREXITの英国のみが下落中)。

 日米の株価回復率より、中国、台湾、韓国のほうに元気があり、他方で、欧州勢は霞んで見えることがわかる。
 
 しかしながら米国や中国、台湾とは異なり、日本はベンチャー精神が希薄で、国際競争力強化に日本企業はなぜか消極的である。借金を懼れ、内部留保を増やしてきたが、新規投資を控え、雇用を制限し、新工場は海外へつくった。結果、日本の空洞化が大きくなって、半導体では台湾、韓国の後れを取っている。
 経済の再生に必要なことを日本政府はなぜ躊躇っているのか?

  ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    
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 ★「台湾の声」★「台湾の声」 ★「台湾の声」★「台湾の声」   
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日米首脳会談から見えてきた道
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             台湾独立建国聯盟日本本部 委員長  王明理

 4月16日に行われた日米首脳会談後の共同声明で、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」と明記されたことは実に画期的なことであり、台湾はもちろんのことアジアの将来に希望の光を与える力強いメッセージとなった。
 日米が中国の理不尽な覇権主義を看過せず、台湾への侵略を許さないという方針を示したことは、台湾人の立場からすれば、やっと正論が発せられたという思いである。

 思い返せば1945年以来、台湾人はずっと「台湾は台湾であって中国人のものではない」と言いたくても、その心の叫びは中国国民党に弾圧され、国際社会に届くことがなかった。その状態のまま更に、1972年に国連の中国(中華民国)の議席が蒋介石代表から中華人民共和国に継承されて以降は、中国の国力が増大するのと反比例して、台湾の国際的な地位や外交関係はどんどん失われていった。
中国による台湾いじめと、それに追随する日米をも含む国際社会のなかで、台湾人2300万人の人権は無視されてきたのが事実である。

 この度、失われた50年の後、やっとアメリカは台湾の存在を尊重する姿勢を明らかにし、日本にも歩調を合わせるように促した。日本の場合、地理的にも中国に近く、経済・産業面も中国と深い関係にあることから、中国の機嫌を損ねないようにしたいという姿勢が定着してしまっている。

しかし、安全保障から見れば、中国に忖度することが日本の国益に反することは明らかであり、台湾海峡の平和とはつまり日本の平和維持に直結することである。もはや日本も覚悟を決める時だとアメリカが背中を押した形になった。
 今回の日米首脳の共同声明が重要な意味を持っていたのは、その後、日を置かずして各方面から次々と重大な動きが起こっていることからも見てとれる。

 まず、皮切りは4月17日の世界医師会が、「台湾を次のWHA(WHOの年次総会)に招待すること及びもう二度とWHOを政争に利用しないこと」というテドロスWHO事務局長に宛てた決議文を採択したことである。この決議案は22対1で可決されたもので、もちろん、反対票の1は中国であった。

つまり、中国以外の国は一致して台湾の国際機関への参加に賛成したということになる。
次は、19日のフィリピンのドゥテルテ大統領の中国を批判する発言であった。
「中国が石油など南シナ海の海底資源に手を出したなら、私は領有権を主張するため、すぐに灰色の船(軍艦)を派遣するだろう」と、機を見るに敏なドゥテルテ大統領が堂々と中国批判を行った背景には、日米首脳の力強い声明の影響もあったと思われる。

 同じ日にアメリカ議会では、超党派の議員が「台湾国際団結法案(Taiwan International Solidarity Act)」を提出。1971年の国連議事案2758号について言及したもので、2758号決議案(いわゆるアルバニア案)とは中国の代表権を処理するだけのもので、「台湾及び台湾人民」には一切関係が無いことを再確認し、中国政府が恣意的に同決議案を歪曲し台湾に対する主権を主張してきたことを強く非難する内容であった。

これは台湾が中国の一部の地域として扱われてきた半世紀に及ぶ屈辱から脱して、国家として認められる道を開く足がかりとなるものである。

 21日には、アメリカ議会の上院外交委員会が台湾との関係強化も盛り込んだ「2021年の戦略的競争法」という法案を賛成21、反対1で可決している。この法案は、外交委員会で可決されたことから法律として成立するだろうと伝えられている。
 同じ21日には、「日本台湾交流協会(駐台日本大使館に相当)」の泉裕康代表の名刺が「大使 泉裕康」に変わったというニュースが報じられた。これも画期的な第一歩であり、一日も早く「日本台湾交流協会」は「駐台日本大使館」に、「台北駐日経済文化代表処」は「駐日台湾大使館」に正名されることを期待したい。
 更に同日、オーストラリア政府が2018年と2019年にビクトリア州が中国と結んだ「一帯一路」の契約を破棄すると発表した。「国の外交政策と一致しないか、外交関係に悪影響を及ぼす」という判断からである。
 
 このように、4月16日の日米首脳共同声明の発表以降、中国に対して強い姿勢で臨む各国の動きが続いている。
これは偶然ではなく必然と考えるべきで、日米首脳が旗幟鮮明にしたことは、これからも、自由と民主主義の価値観を持つ国々に良い影響をもたらすことになるだろう。
「台湾海峡の平和と安定の重要性」は他人事ではなく、日本の安全保障に直結することである。争いを好まない日本人の性質は尊く得がたい長所ではあるが、自由と平和を維持するには、それを守る覚悟が必要である。「台湾有事は日本有事」と認識すれば、日本の取るべき道はシンプルに見えてくるのではないだろうか。                   
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 貴誌前号に「英語力」のことが出ていたので、そのことと吉田茂首相や野村吉三郎駐米大使のことで、自分自身の経験を交え、少し書きます。
まず英語力とは何かですが、私のアメリカ駐在中にいわゆるバイリンガルセクレタリーを採用したいとして採用試験をしてみたことがあります。そこで会話と読み書きは別物と知りました。
しゃべらせるといわゆるペラペラですが、書かせると、俗語をそのまま字にするようでメタメタな人でしたが、オハイオの田舎の工場では、本来のバイリンガルセクレタリーを求めるのは無理で、やむを得ずその人を採用し、文を書く場合は、私が書いてタイプは打たせました。その経験から、読み書きと会話は、まったく別であることを知りました。
次はルーズベルト(FDR)時代の野村吉三郎吉三郎駐米大使の英語力のことですが、よくルーズベルトが理解できない程度の英語力だったと言われますが、この英語力は会話力のことだと思います。
このことは、私の母方の祖父が同じく海軍軍人でしたが(最終階級:海軍中将)、海軍に入るまでに商船高校に行って、二重に英語を学んでいたせいか、その年代の士官としては英語使いだったようで、昭和4年(1929の遠洋航海では、野村吉三郎(当時中将)は司令長官で祖父は、その通訳を兼ねて、練習艦浅間の艦長を務め、当時のフーヴァー大統領との会食に陪席し、世界大恐慌の発端になった暗黒の木曜日(10月24日)のニューヨーク市場の大暴落直前までアメリカ東岸に滞在したようです。
その遠洋航海には、奇しくも艦は違いますが、私の父が候補補生として乗り組んでいました。
その行程中、現地の日系人から野村司令官になされた質問への野村さんの答え「君たちはアメリカ国籍なのだから、立派なアメリカ人としてアメリカに忠誠を尽くせ」に私の父は感激して、戦後ずっとその話をしていたとウィキペディアに出ています。
恐らく野村吉三郎さんも、会話はダメでも読み書きは立派にできたのだと思います。よく、たれ誰は英語ができると言いますが、会話だけか会話も読み書きもなのか、に注意する必要があります。
(関野通夫)

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(読者の声2)昨日(4月25日)の衆参補欠選挙で、自民党は全敗をした。菅首相は退陣か。だが、替わる人がいない。
 世論では河野太郎氏が先頭を走っているが、人気だけでは決まらない。人の社会は、政策と人の和の双輪が大事である。政策を実行すれば人の和が崩れ、人の和を大事にすれば冷厳な政策実行ができない。連合艦隊の東郷指令長官と秋山参謀。身近で言えば、父母が必要だ。
 河野氏には、支える人がいるのだろうか。外見を見る限り、揺れる炎を支えられる人が見あたらない。菅首相にとって衆議院解散前の内閣改造が急務であろう。二階幹事長は辞任。かといって広島で全力投入しながら惨敗した岸田氏の幹事長就任は難しい。
 あえて人の和という難しい課題にとりくむ河野氏だろうか。これで河野氏が存在を見せれば、次期首相の呼び声が高まるだろう。
  (斎藤周吾)
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■『三島由紀夫研究』第二十一巻(鼎書房)が刊行されました
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『三島由紀夫研究』第二十一巻が刊行されました
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 今号は三島由紀夫の『作家論』特集です。 
 三島が異様な力を入れて描き上げた『林房雄論』を副田賢二・防衛大学教授が挑む。
 ほかに森鴎外、泉鏡花、稲垣足穂らとの比較論があります。
 また異色かつ必読は犬塚潔氏の「三島由紀夫と藤野一友」
 書評も五十周年記念で夥しく出た三島論から選ばれており、
 浜崎洋介、井上隆史、佐藤秀明の新作と、三島研究会の『憂国忌の五十年』を浅野正美氏が書いています。
 特筆は「三島由紀夫は女系天皇を容認していたか」として楯の会第一期生の篠原裕氏が、楯の会内の憲法研究会で、三島発言と関与の度合い、討議の経緯と、毎日ワンズの書かれた経緯の詳細な検討をなし、阿部勉が班長だった研究会でのやりとり、持丸博の証言を、息子が語り、鈴木邦男の所論の矛盾を突くなど、世間に知られることがなかった、これまで埋もれていた歴史を再現しつつ検証しています。
 鼎書房発行。定価は2750円。
 過姉書房の電話は(03)3654-1064
 http://www.kanae-shobo.com/mishima/index.html
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月26日(月曜日)弐   通巻第6881号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~北極海は「氷のシルクロード」。中露協力の新航路開拓が軌道に
  ヤマル地区のガスをLNGタンカーで中国へ輸出開始
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 ロシア側が乗り気になったようだ。
 欧米の経済制裁をうけて、資源エネルギーの輸出がままならないロシア経済は、通貨ルーブルの暴落などで窮状が続くが、打開策の一つが北極海ルートの開拓だった。

 ヤマルの氷河の海底に発掘されたガス田。ガスプロムなどが開発してきた。問題は発掘しても、どうやって運ぶのか。LNGタンカーは日本が主力、韓国と中国が日本の技術指導で建造している。

 中国は過去三年ほどかけて「雪狼」という砕氷船を建造し、北極海の試験航海を行ってきた。そのうえで北極海ルートを、つぎの大動脈のひとつと位置づけ「氷のシルクロード」と標榜する。
 北極海ルートが本格化しているとは言えないけれども、2021年は前年比で4・7%運送量が伸びた(英文『プラウダ』、4月25日)。
 ヤマルのガス田からLNGタンカー「クリストフェ・デ・マルゲリエ」と「ニコレイ・エブゲノフ」は2ケ月かけて中国のLNG貯蔵基地のある港へ到着した。

 同海域には世界ガス埋蔵の13%が眠っているとされ、ロシアは1・5兆ルーブルを投資して軌道に乗せる計画。世界からの出資を募っている。

 さてNATO側からみれば、この氷のシルクロードは、潜水艦ルートにあたり、警戒を緩めていない。ノルウェイには米国軍と英国軍が駐留し、米空軍の戦略爆撃機B1Bの基地もある。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の感想です。
保守派の好評に誘われ、遅ればせながら劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を観るため、第3次緊急事態開始日の前日に映画館へと足を運んだ。
本誌の読者の多数は既に観賞済みと想定し、敢えて多少のネタバレ覚悟で感想をの述べてみたい。
一言で言えば現代の桃太郎物語、鬼退治を主題とする活劇アニメである。但し、時代背景は大正時代としながらも、鬼殺隊員は腰に日本刀を差し、主人公の炭治郎のイヤリングは旭日旗をデザインしている保守派スタイルである。
さて、今回の無限列車編は鬼どもに乗っ取られた列車内を舞台とし、炭治郎ほかの鬼殺隊員が狭い列車内で鬼の繰り出す殺人手管に立ち向かう様を描く。鬼殺隊員が眠る間に鬼たちが隊員の手首を縄で結びつけ夢を見させる中で、それぞれが幼い頃の夢の中に浸りきり夢から醒めない。これも鬼の企みであり、永遠に夢から醒めさせないためには脳髄の中枢を錐で破壊すればよいと言う。
 確かに戦後の日本人はGHQ鬼の仕掛けた、九条鬼、WGIP鬼、東京裁判鬼、さらには近隣鬼に脳髄を破壊され、平和幻想の夢から75年以上もの間、未だに醒めることがない。
 アニメでは危機感に目覚めた殺隊員は、犠牲者を出しながらも鬼退治に部分的にも成功する。現代日本人は何時になったら夢から醒め、鬼退治ができるのだろうかと思わせられた。
 ところで、このアニメはアメリカでも上映され、評判を呼んでいるようで、たまたま観たTVニュースの中で米人の観客の声を紹介していた。曰く、「涙が出てとまらなかったよ。ティシュが足りなくなって困った」とか。どの場面で泣いたのか、までは分らなかったが米人の心にも届く何かが、このアニメにはあるのだろう。
  (ちゅん)


(宮崎正弘のコメント)韓国では大日本帝国海軍旗のイヤリングを削除しているとか、「あの刀は韓国製だ」とか、ウリジナルなコメントが散見されますね。鬼は「コロナ」と「中国共産党」と見立てるのが香港、台湾のネットのコメントで目立ちます。

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(読者の声2)当時、あまり認知症が進んでいなかった米国副大統領ジョウ・バイデン氏が2016年8月15日、公の席で「我々が日本の憲法を書いた」と明言した。
米国歴史学者の間では、周知の歴史事実であるが、米政府の高官の認識は異例であった。日本の報道はびっくりして、聞かなかった事にした。それは、正式の憲法誕生の認識にそぐわない。
いかがわしい出生の秘密は、永遠に隠蔽されねばならない。
 昭和憲法(GHQ憲法)とは敗戦後占領軍が彼らが勝手に書いた英文を脅かされて渋々訳したものだ。では、明治憲法はどうかというと、黒船に脅かされて、全アジアが植民地化されていた危険な異常な状況の下で、つまり半分植民地化された状態で、「お前たちは自分の憲法も持っていないのか」と馬鹿にされては困るので、西洋人から、「宜しい、よく書けた」と及第点を頂けるように、という下心を持って書かれたのであるから、昭和憲法と基本的には同じであり、外圧に対して、外国本位のもので、自発的に自然に日本の心を書かれたものではない。
 昭和憲法の原文は全て英語であるが、明治の原本は、ほぼドイツ・ロシア語であった違いはある。要するに両者とも元を正すと西洋であり、何も今更有難がって尊敬し模範とし、後生大事に継承する用はない。当然、破棄すべき。
(KM生)


(宮崎正弘のコメント)明治憲法は外国製ではありません。詳しくは伊藤哲夫氏の『明治憲法の真実』(到知出版社)などいくつかの研究書があります。
ところで、現行の「憲法」なるものは廃棄するべきですが、その場合、法的には明治憲法にもどります。しかし、これも実務的・法律的には難しい、とりあえず「五ヶ条の御誓文」(これも伊藤哲夫氏の『五箇条の御誓文の真実』、到知出版社があります)にもどり、極論すれば、これだけで、あとは成文法は要らない、というのが日本史を踏まえた上での正統な憲法論かと思います。
いずれにしても、宮沢憲法解釈に支配された日本の法曹界と学界の鉄壁の砦を前に、さきのような正論が受け入れられる情勢にないことは百も承知で申し上げております。

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(読者の声3)貴誌のすこし前の号でしたが、アフガニスタンから米軍撤兵のあと、タリバンの支配となって、中国へのテロ出撃基地となることを示唆されていました。
ほかに先生のような大胆な予測を立てている人が少ないですが、世界のメディアのなかで、似たような予測を書いている論客はいますか?
   (TY生、川崎市)


(宮崎正弘のコメント)インド、パキスタンあたりのメディアで、そうした意見がオピニオン欄で散見されます。
 アフガニスタン政府に襲撃をかけるタリバンは、米軍撤退後を睨んで、いま静かにしています。
米軍情報筋は、タリバンのなかにアルカィーダ部隊がおよそ500名と踏んでいます。タリバンは否定しています。
 スコット・ミラー米軍司令官は「暴力にもどることのないよう、国民の生活の安定を望む」と記者会見していますが、言外にタリバン支配の復活を示唆していますね。実際にアフガニスタンにおいてタリバン政権は1996年から2001年まで続きましたから。
 さて事態の推移を憂慮している国のひとつはインドです。
 ビピン・ラブト印度陸軍司令官は「米軍とNATOの撤退は力の真空を産むだろう。カシミールの安定も損なわれるだろう。なぜならパキスタン軍はタリバンと協力関係にあるからだ」としています。
 インドはアフガニスタンの建設と投資にに積極果敢で、道路、発電所建設などインフラ整備に30億ドルを投下しています。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月26日(月曜日)   通巻第6880号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~トルコ政府が全面否定。バイデンの「アルメニア虐殺はジェノサイド」
  「いかなる証拠と論理に基づいているのか。大衆迎合だ」(トルコ外相)
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 バイデン大統領は4月24日、かねてから議会や外部圧力団体から要求のあった「1915年のアルメニア大虐殺を「ジェノサイド」と認めた。これはバイデンの選挙公約でもあった。

 ただしバイデンは「現代トルコを非難するためになされるものではない。ヒューマニズムに立脚しての声明である」と釈明の言葉もそえた。バイデンがジェノサイド認定に動きそうな気配は事前に一部のメディアが報じていた。「トルコ中央銀行がイランに200億ドルを送金したため、F35の供与を中止する」としており、その流れから予測されるとした。

 1915年の第一次世界大戦の最中に、アルメニア人の戦地からの強制移動に際して、トルコが100万人とも150万人とも云われるアルメニア人の虐殺を行ったとするもので、アルメニアが国際社会に訴えてきた。大虐殺と認定したなかにはフランス、ロシア、カナダ、ドイツ等二十ヶ国。ただし英国とイスラエルはこれを「ジェノサイド」とは認めていない。とくにフランスでは「アルメニア虐殺はなかった」と発言すると、論壇から締め出されるばかりか刑事罰が加えられる。

 オバマ政権のときは、いったん認めるかに見えたが、「両国でよく話し合って解決して欲しい」とお茶を濁してきた。
 2019年、議会に動きが出たとき、トランプ前大統領は、「これは非常にセンシティブな問題だ」として、アルメニア人虐殺をジェノサイドと認めないとして、上院多数派の共和党を工作した。
 
 トルコは通貨下落(過去一年で28%下落)、貿易収支の悪化と外貨払底という深刻な経済問題を抱えており、にもかかわらずエルドアン政権の断固たる虐殺否定には、多くの国民が支持し、反米感情がむしろ高まっている。
 他方、ロシアとの関係は良好であり、サザンパイプラインをみとめ、またロシアのミサイル防衛システムを購入配備している。
 
 トルコはドローンをアゼルバイジャンに供与して、ナゴルノカラバス紛争ではアルメニアを敗北に導いた。ロシアはどちらかといえばアルメニア支持だが、露骨にアルメニア軍支援は出来なかった。

 ところで1915年のアルメニア人虐殺は、トルコでは事故扱いとされ、またクルド人が関与したという説もあるが、真相の解明には至っていない。
 南京大虐殺とは異なり、虐殺があったことは明らかである。前者のほうは、なかったことをあったとする政治宣伝で、本質はまったくかけ離れている。

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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@  【知道中国 2226回】                 
 英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港108)
 
   ▽
 「香港情報」といえば、当時もガセネタ、ニセ情報(
今風に表現するならフェイク・ニュースの代名詞とされていた。事実、香港に住んだ5年ほどの間に「毛沢東死す!」「毛沢東暗殺される!」と言った類のニュースが流れたことは再三だった。もっとも“超ド級”のフェイクも慣れっこになってくると、香港版の『東京スポーツ』か『内外タイムス』と思えば、それなりに楽しみではあった。

 1967年の香港暴動であれ、中国系書店に並んだ新刊書やパンフレットであれ、同じように毛沢東思想を金科玉条の如く掲げていたが、よく見ると「毛主席語録」の引用にしてから微妙に違う。そこで、毛沢東を取り囲む勢力が必ずしも一本化しているわけではなく、四人組の牙城の感があった上海はともあれ、北京をはじめとする他地域では様々な勢力が入り乱れて覇(主導権=毛沢東の寵愛?)を競っていたのでは(
えてみた。

 中華書局には、おそらく『明史』出版前後までは四人組の影響は及んでいなかった。であればこそ、「出版説明」に「公式的見解」を掲げることで二十四史という正統歴史書の出版を続けた。「出版説明」に引用された「毛主席語録」は一種のアリバイ証明(我われも毛沢東思想を学び、文革を戦ってますよ)だったような気がした。

 ところが『明史』出版前後に異変が起こる。中華書局の内部に四人組の影響が及び、「文革を戦うこの時期に、二十四史を暢気に出版しているとは何事だ。それは反革命で犯罪行為でアリ、いわば『毛主席語録』を掲げて毛主席に反対している」との批判が起きたようにも思える。
 文革時、様々な勢力が派閥争いを展開した。相手陣営切り崩しの切り札に毛沢東支持を掲げる。すると反対派は「我らこそ正統毛沢東派。ヤツラはニセモノ。赤旗を掲げ、赤旗に反対し、毛沢東死守を絶叫しながら毛沢東に反対している」と批判合戦だ。

 そこで中華書局内で二十四史出版を推し進めようとする勢力が一計を案じ、いわば“免罪符”のように孔孟批判を持ち出し、二十四史出版の継続を狙ったのではなかろうか。
 古くから使われる「借古諷今(古を借りて、今を諷する)」の搦め手戦法だ。文革初期、毛沢東は劉少奇を直接的に名指しせず、「中国のフルシチョフを倒せ!」と旗を振った。毛沢東に煽られた紅衛兵や労働者は「中国のフルシチョフ」を探しまくり、最終的に劉少奇を標的に絞り責め苛み、虐め倒し、屠り去ったのだろう。

 とかく中国政治は複雑怪奇。そのワケの解らない混沌とした中国政治が香港に微妙に投影されていた。中国政治のテーマパーク。それが香港の一面の姿ではなかったか。

 殖民地になって以降、中国歴代の政治活動家や異分子が香港に「仮寓」した。殖民地政庁は彼らの存在を黙認し、英国の殖民地統治を直接的に妨害しない限り、その活動に根本的掣肘を加えることはなかった。
いわば香港社会には中国の政治が凝縮していた。その典型を1970年代前半に花開いた「香港の黄金時代」に見ることができたのではなかろうか。

 このような政治的土壌に、中国の政治が持ち込まれていた。香港の中国系書店の店頭は文革のワンダーランドであり、中国政治を覗き見ることのできる「葦の瑞」であり、そこでは共産党中枢が繰り広げる権力闘争が微妙な形で息づいていた。
勝者の雄叫びを聞くことも、敗者が洩らす微かな嘆息に耳を傾けることもできたように思える。

 おそらく香港は、中国本土に接している“超小型の中国”であるからこそ存在価値を秘めていたのではなかったか。
圧倒的多数の中国人が住みながら、中国ではない。中国とイギリスが綯い交ぜになった香港。それが香港の魅力であり、香港をして香港たらしめた大きな要素だったはずだ。だが、だが返還によって香港は性格を変えざるをえなかった。

 2014年の雨傘革命以来、習近平政権が介入の度を加えるに従い、香港の中国化は進んだ。いや直截に表現するなら、習近平政権の“直轄領”に組み込まれてしまったのでは。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 本日(4月26日)の三島研「公開講座」は予定通り開催されますのでご参加下さい。
講師は西村幸祐先生。三島由紀夫論です。18時から会場はアルカディア市ヶ谷です。緊急事態宣言発令に伴い、多数、問い合わせがありましたが、以上の通りですので宜しく願います。
  (三島由紀夫研究会事務局)

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(読者の声2)私が、吉田茂元首相の英語力にふれた投稿内容についての反論(?)をいただきましたが、前回引用した部分の前後を付け足しますと
 「外務省では、ダレス・吉田会談の成り行きに戦慄した。日本人によると、吉田の流暢なはずの英語は50パーセントがはったりで、わかったような顔をしている
だけ。途方もない虚勢だというのだ。社会的に彼は娘(ミセス麻生(麻生元首相の母、和子)に頼り、あとで彼女に説明してもらうのだが、もちろん、今回、彼女は同席しなかった。吉田はまた会合でメモもつけない。そのうえ、アメリカの外交官は政治的特殊用語を短くして新しい言葉につくりかえ、それをまじえて話すので、日本人にはなかなかついていけない。しかし、吉田だけはそんな問題もない様子なので、まわりは彼がどれだけ理解しているのか不審に思うのだった。」(青木富貴子『占領史追跡』(新潮文庫218頁)。

 私人間の契約においても、例えば、会社の合併交渉など、正式「契約」の前には相当期間の「事前契約交渉」が必然です。
もちろん、正式交渉も多数回行われでしょうが、会社の合併交渉などでは、ごく少数のトップ数人だけでの相当期間に及ぶ秘密交渉が必然です。外国人との交渉の場合、秘密保持の観点からも、その全ての場合に通訳をつけることは困難でしょう。
 菅首相のように(笑)、まったく英語能力がないということが、(自他ともに)分かっている場合は(笑)、いくら秘密交渉と言えども、通訳なしで行うことなど不可能ですが、吉田茂の場合、多くは、身内である娘(麻生和子はロンドンで小学校教育を受け、ロンドン大学にも留学しており、吉田の秘書を務めていた)を同行させていたものの、引用文中にもあるように、全ての場合に同行させることは不可能でしょう。
 孫崎享『戦後史の正体』(創元社、2012年)でも、「帝国ホテルのウィロビーの部屋へ、吉田さんは裏庭から忍ぶようにしてやって来たりしたよ。裏階段を登ってくる吉田さんとバッタリということが何度もあったな」という帝国ホテル社長の談話が紹介されています。(38頁)
 野村吉三郎元駐米大使については、ハル国務長官が、野村の英語力への不安を回顧録に書いているはずです。 たしか、野村と来栖が、ハルのホテルへ夜間に訪ねたこともあるはずです。
 大きな条約(契約)の場合、正式交渉は双方の通訳つきで行うことは勿論ですが、事前交渉期間では、正式交渉の数倍、数十倍の期間にわたって、秘密交渉が行われるはずです。
 また反論者氏は「吉田の勝ちでした」と主張されますが、前掲青木書では、「吉田とダレスはどうにも一致点が見出せず、米国側は吉田がダレスの英語を本当に理解しているのか、日本側に繰り返し尋ねてきた。しかし、数日後に両者は歩みよりをみせ、日本側は米軍基地を受け入れ、米軍の権利と特権については行政協定を結ぶことで合意した。
 ダレスの要求に最大限の抵抗をしめした吉田もこれ以上の抵抗はできなかった。所詮、敗戦国には選択の余地がたいしてないという哀しさを表しているとともに、ニューヨークの超一流弁護士と同じテーブルで論理的な交渉ができるとははじめから思っていなかった。」(223頁)
とも述べられています。
 なお前掲青木書の文庫版解説を書かれている佐藤優氏は、外務省内部にいて、外交菅の語学力、交渉力の「正体」「実態」というものを、よく分かっているのでしょう。
  (椿本祐弘)

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(読者の声3)コロナで外国人は日本にきていないと思っていたのですが、中国人を筆頭に、520万人も日本に入り込んでいた。
https://www.kokuminto.jp/archives/8331
 これじゃコロナが拡がるのは当然です。
 完全に封印出来ないのでしょうか。
   (SJ生、神奈川県)

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(読者の声4)「緊急事態宣言の失政 医療キャパ・水際対策に直ちに着手せよ」
 菅総理大臣は4月23日の記者会見で、新型コロナ対策本部の開催に基づく3度目の緊急事態宣言の発出決定を発表した。東京都、京都府、大阪府、兵庫県を対象として期間は4月25日から5月11日までとした。
 緊急事態宣言等により営業や行動に実質的に規制を掛ける措置は、それがどの程度効果があるのかは科学的に明らかではない上に、人々の生活と経済と財政を大きく棄損するものの、現下変異株により大阪で医療崩壊を起こしている事に至ってはやむを得ないだろう。
 だが、それ以前に医療キャパ拡大と水際対策に成功していたら、そもそも3度目の緊急事態宣言は不要だった。
 短期間での変異株の蔓延を許した水際対策については政府の失政であり、東アジアやニュージーランド等を除き圧倒的に少ない人口当たりの感染者数、重症化率、致死率で医療崩壊を起こしたのは政府に加え、都道府県、医師会等の失策と言わざるを得ない。
 記者会見の質疑応答で、医療キャパ拡充の遅延について質問したビデオニュースの神保記者に対し、菅総理は次のように答えている。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0423kaiken.html
 「まず、今回のコロナの中で、やはりそうした医療関係者に対しての政府の権限というのは、現在、お願い、要請ベースでしかなかなかないというのがこれは現実です。(略)そうしたことを、落ち着いたら、そうした緊急事態の際の特別措置というものをつくらなきゃならない。こういうふうに私は思っています。(後略)」
 つまり、法律の制限で出来なかった。落ち着いたら立法措置をして対処出来る体制にするという事だが、当事者意識が欠落していると思わざるを得ない。
 比較的落ち着いていた昨秋に行わなかったのだから、コロナが収束してからでないと立法措置とそれに基づく本格的な医療キャパの拡充は行わないのだろう。
 確かに立法化が遅れているのは、野党、マスコミ、国民世論にも責任はある。しかし医療キャパの拡大は、損失補償による民間病院のコロナ受入れの促進、政府によるプレハブ式コロナ専門病棟の新設、医療スタッフのコロナ対応への好待遇での募集・訓練等により、法改正を経なくとも相当程度可能である。
 また水際対策では、緊急事態制限下ですら「特段の事情」により許されている入国条件の厳格化は法改正を経なくても可能だし、14日間の隔離と移動制限の厳格化・罰則化は、入国全面禁止の回避とバーターにすれば立法化は可能だったろう。
 これ等を行い、ワクチン接種の浸透に繋げば、緊急事態宣言のような実質的な営業規制、行動規制は極力避け経済を回しながらのコロナ飼い慣らしは可能だ。
 だが、更なる強力な変異株が現れ、流行期の冬季になってからでは手遅れになる。政府、都道府県、医師会等は、今回の失政を反省し直ちに着手すべきだ。
(佐藤鴻全、千葉県)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月25日(日曜日)   通巻第6879号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国海軍、新鋭艦船=強襲揚陸艦「海南」を台湾海峡へ投入
  ヘリ30機、兵隊1600名を運べる「075型」が海南島で就航した
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 米国は2012年に議会調査局報告書で、中国人民解放軍が新型の強襲揚陸艦の建造に踏み切ったと報告していた。忘れかけていたところ、2019年に新鋭艦を建造する造船船所で二回、電気配線工事のミスによる火災が発生し、就航が更に遅れた。

 海南島三亜の海軍基地で、4月23日に就航記念式典が開催され、その全容を表した。全長245メートル、22ノット、襲撃用ヘリコプター搭載30機。甲板にはバルカンファランクス、積み込める兵員は、じつに1600名。格納される戦車のキャパは不明。
 中国海軍は、この急襲揚陸艦を「海南」と命名した。

米軍筋によれば、同型(075型)を2022年にもう一隻、三年以内に、さらにもう一隻。将来は、これら強襲揚陸艦を八隻体制とするという。

 一方、米国は中国海軍の装備拡充を予測して近未来の戦争を想定した場合、米海軍の能力向上が必要であることは言うまでもないが、中国軍の台湾侵攻を阻止するためには、現在の太平洋艦隊の装備、兵力の80%の改良が必要と判定した(サウスチャイナ・モーニングポスト、4月24日)、
 「1991年の湾岸戦争の規模に匹敵する兵力を想定しなければ、台湾侵攻阻止は難しくなる」としている。

 米国は、こうした近未来の劣勢転化を補うに多国籍軍の編成を必要としており、その第一報が「クアッド」(米日豪印)。ここに英仏艦船が合同演習に加わり、ドイツも合流を準備している。
つまりクアッドをベースにアジア版NATOの組織化だ。

この方針を重々関知している中国は関係各国に個別撃破作戦を展開し、戦狼外交とワクチン外交を取り混ぜた、やや複雑な外交を展開していることになる。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 貴書『こう読み直せ、日本の歴史』(ワック)を二回読みました。目から鱗が落ちる箇所が多くて、而も浅学なゆえに分からないことも多かったのですが、二回読んで腑に落ちたことが沢山ありました。
 結局、この本で先生がいわれたかったことは従来の歴史観への懐疑ですね。その原点は、しかし奈辺にあるのでしょうか。
  (SD生、水戸)

(宮崎正弘のコメント)正気(せいき)が英雄に取り憑くことが日本の歴史では往々にしてあり、それが日本の歴史を変えてきた。
古くはヤマトタケルに、あるいは中大兄皇子と中臣鎌足に、ときに和気清麻呂に菅原道真に楠木正成に、そして明智光秀に取り憑いた正気は、歴史をぐるりと回天させた。
薩摩の田舎を巡回していた下級武士の西郷や大久保に、あるいは吉田松陰に取り憑いた正気が明治維新をもたらした。
戦後のおかしな歴史教育も、明治維新は近代化日本の礎になったとして、肯定的に捉えている。
明治維新を善として、華とする「薩長史観」だが、ならば逆臣と誹られた会津も桑名も新撰組も国を思う熱情にはかわりなく、勝者が敗者を「悪」と裁断するのは一方的で馴染めない。
勇者と侍、武士道精神に溢れていた日本軍も、大東亜戦争に敗れるとGHQから悪の烙印を押された。
勝者の歴史観が、物事の判断力を迷わせるが、一方的な東京裁判史観に立脚した戦後の歴史家の弁は噴飯モノである。
したがって外国の勝者が改竄した歴史観を鵜呑みにする戦後歴史家の言説には首を傾げざるを得ないというのが執筆の動機でした。

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(読者の声2)貴誌前号投書欄にあった「英語力についてダレス、吉田会談」の話がありましたが、感想です。
 これは1950年5月の会談を指しているのだと思います。テーマは朝鮮戦争勃発を控えた日本の再軍備です。米国には北朝鮮の攻撃の切迫が伝わっていたのでしょう。
ダレスは再軍備を要求しました。しかし吉田は半島に国連軍名目で新日本軍を突っ込まれると考え、防衛しました。それがとぼけ戦術で、憲法が禁止している、経済復興が先である等と必死に詭弁を弄して再軍備の言質を与えませんでした。
英語が分らない云々は当然双方公式通訳がいるのであり得ない話です。なおマッカーサー記念館には、吉田茂について「変人」と書かれているそうです。吉田の勝ちでした。
  (落合道夫)

(宮崎正弘のコメント)ダレス兄弟に関しては『ダレス兄弟: 国務長官とCIA長官の秘密の戦争』(スティーブン・キンザー著,渡辺惣樹訳。草思社)があります。アメリカ外交を壟断したダレス兄弟の裏面をえぐりだしています。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月24日(土曜日)弐   通巻第6878号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~パキスタンで中国大使を狙った爆弾テロ
  タリバン系武装集団が犯行声明
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 4月21日、深夜。パキスタン南西部のクエッタで中国大使を狙った爆弾テロが発生し、五名が死亡、十数名が重軽傷を負った。
 駐パキスタンの農・中国大使はたまたま他の会議でホテルには不在だった。首都イスラマバードから遠く離れたクエッタに中国大使が来ることは珍しく、事前にテロリストらは情報を得ていた。

 この爆破テロはバロチスタン州の州都クエッタの最高級ホテル「セレナ」の駐車場に止めたクルマによる自爆テロ。タリバン系(TIT=テリーク・イ・タリバン))が犯行声明を出した。

 パキスタン内務省シェイク・アーマド内務大臣は記者会見し、「爆弾は80キロから90キロと想定されるが、市内にいくつもの検問所があり、ホテル入口には荷物検査のチェックポイントがある。どうやって爆弾を運んだのか。内部に犯行グループがいるのか、厳重に捜査する」とした。
 イムラン・カーン首相は「卑劣なテロに仆れた犠牲者に哀悼の意を表し、無辜の人々に敵対する卑劣なテロリストとは断固闘う」と声明を発表した。

 パキスタンにおける中国を標的とするテロは過去三年に三回、ほかに中国人誘拐、殺人事件などが頻発し、グアダールの工事現場では中国人労働者の宿舎周辺をパキスタン軍が警備している。

 2018年 商都カラチの中国総領事館をBLA(バロジスタン独立運動)の武装集団が襲撃した。
 2019年5月、グアダールの高級ホテル(パール・コンチネンタル)がBLAのテロリストに襲撃され、警官隊と交戦、五名が死んだ。このホテルは主に中国人が宿泊する。

 2020年6月、中国が買収したパキスタンの証券取引所が襲撃された。
 中国はパキスタンに総計620億ドルを投資し、一帯一路の看板プロジェクト「CPEC」(中国パキスタン経済回廊)の建設を急いでいる。
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~配車アプリの「滴滴」は米国ウォール街へ上場
  アリババの強敵「京東」は中国国内での上場を取り消し
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 対中強硬路線を突っ走っているかのようなバイデン政権、じつはユル褌。ウォール街から中国企業を排斥するとしたトランプ政権は規制強化に動いたが、新政権は逆である。

こんどはウォール街に配車アプリの「滴滴」が上場する。この滴滴には孫正義のソフトバンクも出資しており、ウォール街での調達目標は数十億ドル、主幹事はゴールドマンサックスとモルガンスタンレーという米国証券界を代表する証券だ。
 ゴールドマンサックスは筋金入りの親中派である。

 つまりバイデン政権は人権、民主主義という価値観では反中。ところが気象変動では中国と強く協調するとして「同床異夢」路線。貿易、技術では敵対せず、競合国家の位置づけ、軍事対決については威勢こそ突っ張り気味だが、直接の軍事力対決を避けるという変幻的姿勢をとる。

 さて中国企業だが、ウォール街上場という嘗ての勢いは消滅し、新興の中国企業はいまや少なくなって、肝心の本土でさえ、ハイテクの新興企業が上海、香港への上場を取りやめている。
ウォール街のナスダックに相当するのが中国株式市場の「科創板」市場で、多くのユニコーンがさっと上場して大金を集めた。

 ところがアント上場延期、アリババへの巨額罰金という事件が続き、起業家たちは意気消沈しはじめた。

2021年になって深せん市柔宇科技(有機ELパネル)、吉利(自動車)、依図科技(顔認証)、京東数字科技(デジタル金融)などの中国のユニコーンが相次いで上場を見送った。

その数、4月10日までの統計で88社。とくにアリババ最大のライバル京東の子会社は、上海証券取引所の「科創板」で、3300億円を調達しようと諸手続を済ませたばかりだったが、上場を取りやめた。
  ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 日米首脳会談を終えた後の、菅首相と同行記者団との懇談会のようす(『週刊文春』4月29日号)
───(大統領の)ファーストインプレッションは?
「ジョーですか?ジョーですよ」
───ファーストインプレッションです(秘書官が「印象という意味です」と耳打ち)。
 わが首相は、impression という中学レベルの英語もご存知ないらしい。 Impressionとname をどうして、混同できるのか(笑)。
 かつても「How are you?」と「Who are you?」を混同(?)した首相がおられましたが(あまりにも出来すぎており、作り話だともいうが)。
 櫻井よしこ氏は、日米首脳会談の内容につては、比較的好意的に感じられる評価をされている(『週刊新潮』)4月29日号)し、要は、内容だとしても、会見場にいた記者たち(もちろん、秘書官も)は、我が首相の知的程度について、あらためて呆れたのではないだろうか。
 ところで、青木富貴子『占領史追跡』(新潮文庫2013年、単行本2011年)では、パケナム記者の日記から、「外務省では、ダレス・吉田会談の成り行きに戦慄した。日本人によると、吉田の流暢なはずの英語は50パーセントがはったりで、わかったような顔をしているだけ。途方もない虚勢だというのだ。・・・・・・・・・まわりは彼がどれだけ理解しているのか不審に思うのだった」 という部分が紹介されています。
 前に、本欄で、野村吉三郎元駐米大使、山本五十六元海軍大将の英語力について述べたことがありますが、佐藤勝氏によると、「吉田の英語力の低さ、準備不足が、結果として、軽武装の戦後日本を作り出したのである」(文庫解説)ということです。
 野村、山本は職業外交官ではなかったが、吉田茂は駐英大使まで務めた英米派のプロ外交官のはずです。
「結果として」よかった(?)では済ませられない、「恐ろしい話」だと思います。
「恐ろしい話」と言えば、『週刊文春』(4月29日号)では、何と言っても、「小室母『年金詐取』計画口止めメール」記事が注目でしょう。
 ネット上では、厳しい意見がいっぱいだし、ここでは、コメントを控えますが、小室母による典型的な「後妻業」の「手口」がオンパレード。 
 しかるに姫君は、まるで既に小室一家の一員であるかの如く、この小室母を慕っておられるということですから、もう呆れるというか、絶句するほかありません。
「日本国」は一体、どこまで堕ちていくのか(?)と、恐ろしくなります。
   (椿本祐弘)

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(読者の声2)ポンペオ前国務長官が、2024年大統領選出馬の準備を本格化させていると米国の一部メディアが伝えています。本人もやる気満々とか。共和党主流派はポンペオの動きに眉を顰めているとも言いますが、現状はどうなっているのでしょう?
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)現時点で明らかに2024年出馬の準備に入ったのはペンス前副大統領、ニッキー・ヘイリー元国連大使です。
しかしトランプは2024年・カムバックを意図して静かに様子を窺っているとされ、ほかの候補はトランプが出てくるのは間違いなく、ならば出馬するより、トランプを支援しようとするのが共和党の多数派。
 この状況に、トランプの忠実な番犬ともいえるポンペオが本気で望むとは考えにくい、なにか政治的効果を狙っているような雰囲気がありますね。
 来年(2022)の中間選挙で上下両院の多数派奪回を狙う共和党は、それまでに民主党へ廻ったウォール街、かれらの牙城GAFAを如何にして切り崩すか、当面はこれらの課題に挑む必要があります。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月24日(土曜日) 通巻第6877号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ロシアをSWIFTから排除せよと欧米の合唱にウクライナも賛意
  ロシア経済制裁への核弾頭となるのか
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 バイデン政権は新しいロシア制裁のパッケージを準備中で、動機は反政府活動家のナバルヌイ釈放を呑まないプーチン政権への抗議が従来のクリミア併呑、ウクライナ問題の制裁主軸に加わる。
検討されている制裁はロシアからドイツへのガスパイプライン「ノルドストリーム・プロジェクト2」の廃棄である。しかし、これはロシアよりドイツ経済に死活的悪影響がでるのでメルケルは阻止に動くだろう。

 EU外相会議では、SWIFTからロシアを排斥する案が浮上しており、ウクライナが賛意を表明した。SWIFTは「国際銀行間通信協会」(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)金融機関同士の通信にクラウド・サービスを提供する民間企業で、本部はベルギーにある。
このSWIFTへは、200ケ国と地域、およそ11000の金融機関が加盟しており、ロシアも400の銀行が加盟している。
 
 このSWIFTからの排除は国際間の決済に致命的な障害となり、イランに適用されているが、イランはイランで、トルコ、印度、韓国などへの石油輸出代金を金塊で貰っているという。

 ロシアは「たとえ実行されても、ロシア経済への核弾頭とはなり得ず、ロシア独自の決済チェーンであるSPESの拡充で対応できる」と虚勢を張る。しかしSPESなど国際間で名前も知られず、機能しているのかどうかも不明。加盟は現在のところ、中国の一行のみ。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 先に書評がでた石平先生の「石平の裏読み三国志」を読み終えましての感想です。
大変参考になりました。流石に北京大学の哲学科を卒業した俊秀です。
1.和臭とは
 私は以前から中国人が日本人の三国志理解には「和臭」があるという批評を見てこれを知りたかった。どうやら支那人は、権力を求めるためには道徳はなく、あらゆる知識、謀略、などを総動員して行動し、日本人的な縛りがないという事のように思われました。
それこそ清濁併せ飲むのであり自由自在で、ある意味では器が大きいということでしょう。
2.大人とは
これは大支那通といわれた元カネミ倉庫の加藤三之輔氏が記していたことですが、支那人への警戒を説く同氏が、それでもおどろくほど偉大な人物がいると述べています。どんな人間なのか。これはやはり危機に当たり大義のために生命を投げ出す人でしょう。
天安門事件で一人戦車の前に立ちふさがった青年がいます。歴史に残る人です。最近では香港のリンゴ日報の社主ジミーライ氏です。彼は中共の悪魔的な手口を熟知していながら、あえてその身を虎穴に投じ中共の非道を世界に訴えています。これは偉いと思います。ちなみに彼は少年時代大陸から香港への脱出時、母親が工面してくれた黄金の小片を官憲にみつかることをおそれてあえて棄てたという決断の人です。
3.田中角栄の評価
石平氏は田中角栄の人心収攬術を評価しています。私も議員秘書をしていた知人から聞いた話ですが、仲間と麻雀をしていたら、田中角栄が来て、小遣いだといって封筒をくれた。開けたら驚く大金が入っていたという。
しかし田中は日本では高く評価されない。それは人間は皆金で転ぶとみる人間観が特別攻撃隊を出した精神性の高い日本人の民族性にあわないからです。なお田中は毛沢東に会ったのだろうか、あったとしたら怯えていたのではないかと想像します。
というのはスターリンの通訳だったベレズロフの回顧録を読むと、スターリンの近くに来た人は皆怯えが見えた。あのチャーチルでさえ例外ではなかったと記している。
大量殺人を常習する人間には、おそらく動物的な殺気があふれ出ていたのではないかと思ったからです。  
(落合道夫)

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(読者の声2)貴誌前号の米議会戦術でフィルバスターという手口があること、はじめて知りました。そういえば、大学の政治学の講義で、これを覚えさせられた記憶が戻りました。ともかくアメリカでも「民主党」というのは、あくどい性格があるのですね。なかには、まともで穏健な議員も多い筈ですが。。。。
  (HF生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)トランプなら大統領拒否権でしょうが、DCの州昇格事案にバイデンは賛成なので、議会での攻防になります。
 DCは首都ワシントン、コロンビア特別区で、これまでは黒人が人口の大半でしたが、いまは黒人比率五割ていど、白人、アジア人、ヒスパニックが急増しています。ただしビジネスマンは殆どが橋を渡ってヴィージニア州に、一部は北のメリーランド州に居を構えていてクルマ通勤です。ですので、もしワシントンDCが州となって上院議員二名選出することとなると、共和党は永久的に勝てないのは明白です。

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(読者の声3)貴誌6865号の中国の不良債権処理の会社のことですが、「かねてから醜聞の絶えない華融資産管理(華融アセットマネジメント)の将来性を読んで、ゴールドマンサックスまでが株式に投資した。ムーディズは同社の社債格付けを「優」と認めA3の評価をしていた。それがいまでは。借り入れが1623億ドル。社債金利が40%」と解説が貴誌にあって、相当の経営危機ですが、その後、中国政府が救済に乗り出すとか。
 詳しく分かればお聴かせ下さい。
   (DE生、名古屋)


(宮崎正弘のコメント)華融資産管理への政府救済はまだ噂の段階です。それより恒大集団(エバーグランデ)です。この中国最大のデベロッパーは、期日のきた借り入れ返済およそ13億ドルの手当のため、深センで開発中の高層マンションを担保に子会社の社債(金利7・5%)を近く売り出して、借入金の支払いに充当するとか。
 もし、この恒大集団が社債デフォルトをやらかすと、中国経済は心臓麻痺に襲われるでしょうから。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月23日(金曜日)   通巻第6876号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ロシア、クリミアで大規模軍事演習。突然引き揚げ命令
  トルコ製ドローンをロシアの無人攻撃機「神風」が破壊した
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 次世代の軍事ロボット戦争はすでに始まっている。
 米国ペンタゴンは近未来の戦争に投入するAI搭載ロボットの研究・開発に巨費を投じ、軍事産業に試作品の作成を急がせている。これまでにもドローンは実用化され、イラン革命防衛隊のトップを爆殺した。イスラエルも本格的なドローン攻撃機を配備している。
 
 対抗するロシア軍は「ロボット部隊を発足させた」と米シンクタンク「ジェイムズタウン」が報告している(『ユーラシアモニター』、4月21日付け)。

 シュイグ国防相が最近、モスクワ近郊にある軍事企業を視察し、工場を見学しており、当面のロシアの「ロボット軍は地雷処理、無人戦車に地対地ミサイルを積み込み、標的の正確な絞り込みAIで行わせるプロットタイプの戦車」を実験に投入したとされる。

ロシアのドローンはいまや高性能を誇り、なかでも「神風」と命名された無人攻撃機は、先般のアゼルバイジャン、アルメニアが争ったナゴルノ・カラバスにトルコ製ドローンが活躍したが、これをロシア「カミカセ」が破壊したとして映像を公開している。
https://english.pravda.ru/news/world/19771-bayraktar/
 これらのロシア軍の軍事ロボット開発は「ロボット技術コンプレックス」と喚ばれる産学軍の複合施設に集中していて、「ウラン5システム」と呼称されるプロジェクト等はすでに地雷撤去の作業をテストしており、成果は上々だという。

米国は「将来、ロボット軍団が戦場に投入されるだろう」と予測し、こうした「急激なロボット化」は、将来の核の戦場でも展開される可能性があるとし、「今後、戦場で戦うのは兵士ではなく、オペレータと機械操縦者になり、兵隊は戦場から消えるだろう」 

拙著『軍事ロボット戦争』(ダイアモンド社、絶版)の刊行は1982年だった。防衛庁幹部に見せたら「漫画の世界だな」と嘲笑気味だったが、あれから40年の歳月が流れ、日本の防衛産業は絶滅寸前となった。

欧米のメディアはウクライナ国境に数万のロシア軍が集結していると大きく報じている。
またクリミアの軍事演習にはロシアの黒海艦隊や空軍も動員され、艦船は上陸用大型運搬船など100隻を超え、空軍はジェット戦闘機のほか、戦車も積み込める大型輸送機、大量の装甲車などを動員した。
NATOの軍事演習の対抗措置をロシア側は発表している。

プラウダ英語版によれば、ジェイク国防大臣は「軍事演習は成果をあげた」として、23日から撤退を命じたという。
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@【知道中国 2225回】                  
 英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港107)

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 『明史』の出版から2カ月が過ぎた1974年6月に出版された『魏書』は「西暦四世紀末から六世紀半ばまでの北魏王朝の興亡史」を、半年後の同年12月に出版された『新五代史』は「後梁開平元年(西暦九〇七年)から後周顕徳七年(西暦九六〇年)の歴史」を記す。

『魏書』が扱う「北魏政権とは、つまり門閥化した鮮卑貴族と漢族門閥地主による連合統治であり」、『新五代史』が対象とする「五代は封建分裂割拠の時代であり、〔中略〕中央集権制度が破壊され、地方藩鎮が大地主豪族の支持を受け、兵を擁し覇権を唱えた時代である」と客観的に解説されている。

だが、『明史』までとは異なり、『魏書』『魏書』の「出版説明」には突如として孔孟批判・儒教批判が登場する。

『魏書』は、孔子と孟子が生きた時代は「奴隷制度崩壊前後」であり、彼らは「没落階級・階層・集団の代表」であり、奴隷制度を守るために「反革命の政治スローガン」を叫び、「腐り果てた奴隷所有者である世襲貴族の蘇らせようとした」。
「孔孟の道は奴隷制度、つまり歴史の発展を阻害する暗黒勢力の滅亡を救うことなどできるわけがない」。

また『新五代史』を編んだ欧陽修に対しては「政治思想のうえで早くから孔子を尊敬し、儒教を崇める傾向にあった」と批判し、『新五代史』を「典型的な歴史唯心主義の著作」であり、「儒家思想は封建統治秩序を強化し、道理を圧し潰し、造反に罪があると騒ぎ立てるなど、当時の地主階級による統治の求める動きと合致している」と見なしている。

なぜ両史書の「出版説明」に突如として孔孟や儒家への批判が現れたのか。同時期に出版され、『論語』は孔子の「反動言行録」で、「歴代反動派が人民を統治するための道具」と位置づける『《論語》選批』(上海人民出版社 1975年)を参考にして考えてみたい。

 同書では「毛主席自らが発動し指導する批林批孔運動」に基づき、上海鉄鋼第五工場第二作業場労働者が『論語』から有名な17ヶ所を選び出し、「労働者・農民・兵士・研究者、革命的教師と理論工作専門家の支援を受け、広範な労働者・農民・兵士の意見を求め」て批判する。労働者であるだけに、「孔孟の道というゴミカスを肥料にすることができる」とじつに勇ましい。その口調に合わせて、『《論語》選批』の一部を訳してみると、

 ──孔子のバカタレは「君子は大義を明白(あき)らかにし、小人はただ小利を知道(し)るのみ」と口にするが、奴隷所有者や貴族を美化し、労働人民と新興地主階級を汚し侮蔑するものだ。孔子ヤローは没落する奴隷所有者の番犬で、そんなヤツの口にする「義」なんぞは実質的に奴隷所有者にとっての「利」でしかない。奴隷制社会を生き返らせ、奴隷所有者と貴族が持っていた全ての政治的・経済的特権を取り戻そうという魂胆は浅ましい。 

 広範な奴隷と労働人民は、奴隷所有者の圧迫と搾取に人生を苛まれ尽くし、いつ飢え死にするかもしれない恐怖の日々を送り、生死の境でもがき苦しんだ。にもかかわらず孔子のクソッタレは、彼らを「小利」を知るのみと口汚く罵る。
だが、孔子などというバチ当たりは己の利益しか眼中にない強欲極まりない偽善者にすぎない

じつは『《論語》選批』を出版した上海人民出版社は江青ら「四人組」にとっての最強の武器であった筆杆子(ペン=メディア)の本丸で、文革派イデオローグが書きあげた夥しい数の出版物は「紙の爆弾」となって大量生産されていた。
一方、二十四史出版の北京の中華書局は上海人民出版社とは色合いを違え、古典の出版事業を粛々と進めていた。

 もちろん香港の中国系書店の店頭には両社の出版物が一緒に並べられていたが、質量共に上海人民出版社の側に「一日の長」があったように思う。あるいは香港へは上海と北京という2つの政治工作ルートが伸びてきていた。
どうやら香港は複雑微妙な中国政治の動きを観測するに好都合な場所だったようだ。それも殖民地であればこそ、だろうか。
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 ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム  
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万一、オリンピックが中止になっても聖火だけは、予定通り全国を巡ってほしい
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 コロナの感染拡大によって、今年に延期された東京2020オリンピック大会が開催できるものか、危ぶまれている。私は大会が中止されて聖火を返還することになったら、予定通り全国を巡るコースを通って、聖火リレーを行ってほしいと、提言している。
昨今の日本国民はつくられた贋物のイベントが大好きだから、コロナと大会の中止によって気落ちした国民に元気を与えることができよう。
 本来、英語の「イベント」は、国王の戴冠式や、数百年も守られてきた伝統的な祭など、起るべくして起る催事を意味している。古代ギリシアにおけるオリンピアードは同じ会場で催されたから、聖火リレーなぞなかった。
 ヒトラーが1936年のベルリン五輪大会で、ナチス・ドイツがヨーロッパの中心であることを、全世界へ向けて誇示するために発案したものだった。

 コロナの世界的大感染は、スペイン風邪(1918年~1922年)の大流行から百年ぶりといわれるが、イタリアでムソリーニが1922年に独裁政権を樹立した。
 イタリア人は出会うと、挨拶として互いに抱擁し、握手するのが習慣となっている。
 ムソリーニは首相に就任すると、第一声として、「抱擁、握手は非衛生的だから、古代ローマ帝国時代の右手をあげるサルート・ロマーノ(ローマ式敬礼)を復活させよう」と呼び掛けた。イタリア国民は「もっともだ」と納得して、ローマ式敬礼を受け入れた。
 古代ローマ時代には右手を前方へ高くあげて、「アヴェ・チェザレ!」(皇帝を称えよ!)と叫んだ。アヴェ・マリアの「アヴェ」である。
 その年に、ヒトラーはドイツの多くの極右政党の一つであるナチスの党首だったが、ムソリーニのファシスト党のローマ式敬礼を模倣して、「ハイル・ヒトラー!」をナチス党の敬礼とした。ヒトラーはその11年後に独裁政権を握った。
 ナチスのニュールンベルグ党大会で、数万人の親衛隊員が右手をあげて、「ハイル・ヒトラー!」と絶叫する時に、親衛隊の軍用シェパード犬はどうして敬礼するだろうか? 正解は、後ろ脚を高くあげるというものだ。
 今日、全世界の軍隊、警察、消防官、ガードマンなどが、制帽の鍔に右手の指先をつける敬礼を行っている。
 『ブリタニカ(大英)百科事典』の英語版によれば、中世のイギリス軍では連隊長が国王から連隊の予算を貰って、そのなかで賄(まかな)っていたが、帽子を脱ぎお辞儀して、挨拶するのが礼式だった。
 ところが、スコットランドに吝嗇(けち)な連隊長がいて、制帽をいちいち脱いで頭をさげると、帽子の傷みが激しいので、今後は鍔に指先を触れるだけでよいと布告した。当時の制帽は金モールがついて、高価だった。大英百科事典にこの布告文の全文がのっている。

 私は1980年代に、インドネシアに通った。後に大統領となったスシロ・バンバン・ヨドヨノ陸軍副参謀総長と親しかったが、インドネシアの士官学校を訪れた時に訓練の一環だったのか、10人あまりの学校生徒が儀仗礼をもって迎えてくれた。
 サーベルを抜いて、刀身を唇(くちびる)の前へ立ててから降ろす。
 私はこれがキリスト教の十字軍の礼法だ、ということを知っていた。刀身と交わる鍔を十字架に見立てて、接吻(せっぷん)するのだ。イスラム教国で行われるのは意外だったが、もちろん、黙っていた。もっとも旧帝国陸海軍も同じ礼を行っていたが、皇軍がキリスト教の礼式を行っていたのはおもしろい。
 このように根を知ることは、好奇心を充たしてくれる。私が我慢できないのは、若者たちが指でVサインをつくることだ。
 起源はVEデー(ナチス・ドイツが降伏した日)、VJデー(日本が屈服した日)と呼ばれるように、先の大戦で日本、ドイツを打ち負かして、「ヴィクトリー(勝利)を収めよう」という、連合国のサインである。イギリスのチャーチル首相が、発案したものだ。

 いまの日本では、無国籍、国際人で、無責任であることが国民道徳となっているから、そんな過去に拘泥すべきでないのだろう。
 だが、私は終戦の時に小学3年生で、軍国少年だった。あのころの日本国民のアイドルは、戦艦陸奥、長門、隼戦闘機だった。楠正成、木口小平、広瀬中佐、乃木大将がアイドルだった。
 いまの日本では、何でも可愛くなければならない。
 熊本県のゆるキャラの「くまモン」から、ポケモン、ハロー・キティちゃんまで可愛ゆーいものが、国民のアイドルとなっている。ゆるキャラや、コミックのキャラクターは、みな、体にくらべて頭と目が異常に大きく、鼻が小さい。赤ん坊のように、無邪気で抱きしめたくなる。
 世界のなかでこれほど可愛ゆーいものによって、国民の心が支配されている国は他にない。おそらく、日本国民がそうなりたいと憧れて、求めている自画像なのだろう。だから、憲法を改正して、自衛隊をどこの国にもある軍隊にすることができないのだ。軍隊は可愛くないのだ。
 いったい、コロナ禍がいつまで続くのか、分からない。コロナが収束したら社会が大きく変わるといわれるが、「ステイ・ホーム」が長びけば、妻上位が進み、男たちがいっそう不甲斐なくなる。犬の訓練士の命令は英語が使われるから、都知事は都民を犬扱いにしているにちがいない。
 男たちと、雄々しい国の復権が待たれる。
                  (かせ・ひであき氏は外交評論家)

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 韓国が慰安婦関連裁判でさっそくヘタれてきました。韓国はこれで譲歩したのだから日本も譲歩すべきという議論をしたがりますがマイナス100がマイナス80になった程度のもの。
 日本側の立場は一貫していて、外務省の韓国に関するページのトップには2015年の日韓合意をで握手する岸田外務大臣とユン・ビョンセ長官の写真・動画がずっと貼り付けられている。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/index.html
 外務省の報道発表を見ると思わぬことに気付かされます。北朝鮮の「瀬取り」監視のためオーストラリアやニュージーランドも参加していますが嘉手納基地を使用しての哨戒活動が国連軍地位協定によるものだと明記。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007821.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008877.html

 あまり聞いたことのない国連軍地位協定ですが、トップページ > 国・地域 > 北米 > アメリカ合衆国 > 日米安全保障体制 > 在日米軍関連 > 朝鮮国連軍と我が国の関係について 、というページに詳細がある。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/fa/page23_001541.html
 正式には朝鮮国連軍であり、「朝鮮国連軍は,国連軍地位協定第5条に基づき,我が国内7か所の在日米軍施設・区域(キャンプ座間,横須賀海軍施設,佐世保海軍施設,横田飛行場,嘉手納飛行場,普天間飛行場,ホワイトビーチ地区)を使用することができる」となっている。
以前ネットでタイ人が、父親は国連軍で日本にいたことがある、との書き込みがあり不思議でしたが、タイ・トルコ・フィリピンからも武官が連絡将校(リエゾン・オフィサー)として大使館に常駐しているのですね。
 韓国がらみで不思議なのはGoogle日本語入力でも MS-IMEでもムンジェインでは文在寅に決して変換されないこと。ぱくく(朴槿恵)、きむじょ(金正恩)、きむよ(金与正)と問題なく変換されるのに、文在寅だけは絶対に変換されない。左翼でも多少は愛嬌があり二重に整形したりで日本のネット民にも人気?があったノムたんこと盧武鉉も問題ない。大統領の名前が何年たっても禁則事項というのは未だにスパイ扱いで大統領として認知されていないのでしょう。
  (PB生、千葉)

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(読者の声2)米国連邦議会下院は「ワシントンDCを『州』に格上げする法案」を民主党多数の賛成で可決し、4月22日に上院に送付された由です。これにより上院定数が2議席ふえて102議席となり、DCで共和党が勝てることはありませんから、民主党の天下が続くことになりますが、見通しや、いかに。
  (HD生、墨田区)

(宮崎正弘のコメント)上院が恒久的に民主党多数派となる事態は、共和党も予測しており、バイデン大統領は賛意を示しています。なにしろ前回の大統領選でも、DCのバイデン支持は97%でしたから。
 共和党は対案としてプエルトリコの同時昇格案もありますが、土壇場で、フィルバスターで否決されると思います。米国は法案の会期内制定を原則としているため、野党は議事妨害のための長時間演説など、議会運営の戦術(これが米国政治用語で「フィルバスター」です)を行使して、成立を妨げるでしょう。
近年ですと、共和党のテッド・クルーズ上院議員(茶会系。テキサツ州選出)が、オバマケア阻止のため、じつに21時間の演説。まるでケレンスキー政権を倒したボルシェビキの議会戦術の反対ですが。ボルシェビキは長々と演説し、与党議員が議場を去ってから議決に持ち込むという「革命」戦術を行使しました。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月22日(木曜日)弐    通巻第6875号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~イスラエル総選挙から一ケ月がすぎて、まだ連立政権が成立せず
   ネタニヤフ首相「それならまた選挙やろうじゃないか」
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 3月24日、ネタニヤフ政権下で四回目の選挙が行われたが、第一党のリクードが獲得議席は30(国会の定数は120)。連立にむけて政党間の交渉が続いているが、「アラブ政党も加盟する連立なら御免」という保守党から、「ネタニヤフ以外なら連立に加わる」という強硬保守の政党など右に左に連日激動が続いている。

 もともとは独立戦争を勝ち抜いて国民が団結してナショナリズムの燃えていた頃はリクードと労働党が二大政党で、この二つのどちらかが基軸となって連立政権の烏合集散を繰り返してきた。
 労働党が力を失ってから、少数政党の乱立、星雲のように新党が出来ては消え、合併や吸収を繰り返し、現在の議席のある政治組織は「リクード」「青と白」「ジョイントリスト」「イスラエル我が家」「トーラー」「シャス」「労働党」「民主連合(メレツが主体)」、「ユダヤパワー」。これに議席を持たないミニ政党が十党前後。

 憲法の規定により、あと二週間、連立交渉を続けることが出来るが、それでも連立がならずんば、どうなるのか?

 そこには次のシナリオがある。
 第一はリクードとほぼ同じ主張をもつ保守党が、最後に合意し、かろうじて連立が成功するシナリオだ。とはいうものの過半数の61議席には届かず、59議席。棄権する政党があると計算して、このアイディアは成り立つが、実現性は薄い。

 第二には「またやり直し選挙で、白黒をはっきりさせよう」と五回目の総選挙に打って出ること、その可能性はかなり高いといえる。

 第三は「ともかく団結だ」。イランの核危機などが迫り、内輪もめの場合かという世論が、連合政府の樹立を呼びかけている。これも反対が多く幾つかの障害がある。

 第四は直接、首相を国会で、投票で選べばどうかと、国会議員の直接投票による決着だが、イスラエル憲法は、第一党に大統領が組閣を命じるというシステムであり、直接選挙は謳われていない。

 第五にサプライズが起こり、突然、新人が現れて連立に成功するというシナリオ、しかしユダヤ人は数千年の昔から「全員一致ならやめちまえ」という原則があり、この可能性も薄いと言わざるを得ない。
 イスラエル政治の混乱、まだ続きそうである。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 千田会主催「宮崎正弘先生独演会」のお知らせです。

【日時】令和3年4月24日(土)14時30分~16時30分(開場:14時)
【会場】としま区民センター7階会議室701~703
    豊島区東池袋1-20-10
    JR・メトロ・西武池袋線・東武東上線「池袋駅」東口32番出口より徒歩4分
【講師】 宮崎正弘
http://miyazaki.xii.jp
【演題】 「WORLD RESET 2022」
【参加費】事前申込:2000円、当日申込:2000円、
      事前申込の大学生:1000円、高校生以下無料
【申込先】4月23日21時迄にメール又はFAXにて下記で受付(当日受付も可)
      FAX:0866-92-3551
  E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp
【主 催】千田会 https://sendakai.wixsite.com/home
 【参加される皆様へお願い事項】発熱などの症状がある方は来場をご遠慮ください。予防的な観点を熟慮し、マスクの正しい着用、手指消毒・衛生的手洗いなど十分な対策を各自で行って下さい。
   (千田会)

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(読者の声2)日本台湾交流協会の泉裕泰「代表」の名刺肩書きは「大使」となっていたとの記事、自由時報のホームページは更新が早いのか見つけられず、改めて個別記事を検索したらありました。
https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/3506297
  一方 sina.comは名刺の「大使」の文字に大きくx
印をつけて掲載。
https://news.sina.com.cn/c/2021-04-21/doc-ikmxzfmk8086604.shtml

 他のサイトを見ていたら大英博物館とハローキティとのコラボによる「エジプト冒険体験館」の記事。日中友好をなんとかアピールしたいよう。
http://j.people.com.cn/n3/2021/0421/c94638-9841481.html
 指導者関連記事は習近平一色、李克強の記事を探したら四川省広漢市で三星堆遺跡の発掘現場を視察。オンラインで米経済界との対話に出席ともあったので影は薄いもののそれなりに活動中。
http://j.people.com.cn/n3/2021/0420/c94474-9841108.html
 中国の鉄道建設熱はまだまだ続き、広州地下鉄18号線の第一区間のレールがつながった。
http://japanese.china.org.cn/photos/2021-04/21/content_77427130.htm

 地下鉄というよりは在来線の地下区間でトンネルも大きいので東京でいえば横須賀線や京葉線の長大トンネルとよぶ地下区間のようなもの。
1997年に1号線が開通してからあっという間に路線延長は500kmを超えまだまだ延伸中。東京メトロの路線が195km、相互乗り入れ区間を含めると532kmとほぼ同等。試験走行では時速176kmを達成しており営業開始時には最高時速160kmという。
一見、特急電車風ですが4ドアの通勤車両でつり革が赤というのが中国的。中国の鉄道も着実にレベルアップしています。
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2021-03/13/content_77304832.htm
http://j.people.com.cn/n3/2021/0304/c94638-9824779.html
 成都地下鉄9号線は全長は約22kmの全自動無人運転。
https://www.afpbb.com/articles/-/3212316
http://j.people.com.cn/n3/2020/1208/c94638-9797032.html

 中国トップの上海地下鉄は営業総距離729km、年間利用者は延べ28億人。昨年12月からは車内でのスマホの音出し禁止規則が施行。
罰則はないものの他の乗客が注意しやすくなる効果が期待できるようです。上海は以前からバスでもちゃんと並ぶし中国としては民度が高いのですが果たしてうまくいくのでしょうか。
http://j.people.com.cn/n3/2020/1207/c94475-9796417.html

 ウルムチでは文化観光列車を運行。14日間の旅程で、河南、広東、浙江各地の観光名所を巡り、祖国の雄大な山河を体験。客車列車でも時速160kmは出せるので、高速鉄道の本数が少ない路線・時間帯なら十分運行可能。ファッションセンスについてはもう笑うしかない。
http://j.people.com.cn/n3/2021/0415/c94638-9839559-2.html
 中国経済が減速しても都市部のインフラ整備は当分のあいだ続いていくのでしょうね。
  (PB生、千葉)

(宮崎正弘のコメント)いくつもの話題の御指摘ですが、二、三のコメントを。まず三星堆遺蹟ですが、小生も十年ほど前に見学しました。太陽信仰の農耕民族、その祭器の道具など、考古学的見所が多いところです。黄河文明とはべつの古代文明が拓けていた証拠でしょうね。
 上海の民度が高いとの御指摘ですが、上海は中国人から見ても「外国」。国際センスに溢れ、バスでも老人に席を譲るのは常識的ですね。
 日本のアニメやキャラクターは、中国の若者に大人気で、中国のメディアが伝えないだけ。日本の漫画のコスチームをきそう競技会も中国にあります。

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(読者の声3)チャドで三十年以上の独裁をつづけてイドリス・デビ大統領が「戦死」し、息子が継いだ由ですが、この「政変」は謎が多すぎますね。
まず、何故息子がすぐに政権を継げたのか。最初からなにか陰謀的クーデターの臭いがしませんか。
まだ反政府武装組織との戦闘で、デビ大統領が負傷したそうですが(そのニュース画面はアルジャジーラなどにありました)、武装組織はなぜ、それほど強いのか。チャドは内陸国家で武闘が絶えず、少女を誘拐するアフリカのゲリラ「ボコハ・ラム」の暗躍も顕著ですね。
  (JJセブン)

(宮崎正弘のコメント)チャドは旧フランス領で、いまもフランス軍兵士が要所を固めています。政府軍の装備は多くがフランス製のようです。なにしろ公用語はフランス語。1200万人口のうち、イスラムは過半ですが、キリスト教が意外に多く、宗教対立も基本にあると思われます。
 ゲリラ側の武器はリビアからきているようです。アフリカは土地が広大で、人工的な国境線を引いても国家概念が希薄ですから、愛国というより愛部族、このややこしさは、到底日本人には理解できないレベルのものだと思います。


(読者の声4)「未来ネット」(旧「林原チャンネル」)から番組のお知らせです。
来る4月30日(金)16:00から の「宮崎正弘の生インタビュー」は生番組です(後日、ユーチューブでも配信されます)。
次回ゲストは慶応大学の廣瀬陽子教授。ロシア、東欧の専門家で、テーマは「プーチンのハイブリッド戦略」を予定しております。
   (未来ネット)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月22日(木曜日)通巻第6874号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~台湾海峡の戦雲、急を告げ始めた
  中国の軍事威嚇ますますエスカレート、習近平は何を考えているのか
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 「2022年以降、台湾にとって最大の危機を迎える」とマクマスター元大統領補佐官(トランプ政権前期)が発言したことがある。

 バイデン政権は就任式にワシントンの台湾駐米代表の粛美琴を「大使」と扱って招待したうえ、「国際秩序の挑戦する唯一の競争相手」が中国であり、「民主主義と専制主義の戦い」であると鮮明にしたうえ、トランプ政権が「ウィグルにおける中国の人権弾圧はジェノサイドだ」とする方針を継続するとした。台湾政策に関してはトランプの残したパラダイムのなかで行動している。

 したがって日米2+2をわざわざ国務、国防両長官を日本に派遣して地ならしし、4月16日の日米首脳会談では「台湾海峡の平和と安全の重要性生」を銘記した。米国はまた、「尖閣諸島が攻撃された場合は日米安保条約第五条が適用される」と言明した
 守備範囲に含まれるとの解釈は、オバマ政権以来、変更はない。つまりバイデン外交に新味はない。

 その後、米軍トップの発言はもっと具体的である。
 インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官は、「中国が今後6年以内に台湾を侵攻して支配下に置く可能性がある」とした。

 新しくインド太平洋軍司令官になったジョン・アキリーノ(海軍大将)は3月23日、上院で「中国による台湾侵攻の脅威は深刻であり、多くの人が理解しているよりも差し迫っている」と指名公聴会で発言した。同大将は続けて、「中国は台湾の支配権を「最優先課題」と位置付けているからだ」とした。

 台湾は米国に対して中距離巡航ミサイルの供与を要請している。
 呉台湾外交部長は「中国の軍事的威嚇がますます激化しており、特に最近は軍用機の侵入が目立つ。台湾は自らの身を守るために最後まで闘う」。

 米下院小委員会は「中国が台湾を侵攻した場合、経済対応を如何にするか」具体的な検討を始めている。この小委員会は立法、予算に権限を持つため、台湾政策に強い法的な発言力がある。
 アミ・ベラ小委員長は「中国がより攻撃的な姿勢で軍事活動を続けており、新しい立法を準備する必要がある」と発言し、現行の台湾関係法、TAIPEI法等ではカバーできない経済制裁、武器の追加供与などを検討している。

 台湾周辺では中国の軍事的な威嚇、示威活動がますますエスカレートしており、戦闘機が連続的に台湾領空を侵犯している。
 米国のミサイル駆逐艦「ジョン・マケイン」が台湾海峡を通過、また空母「セオドア・ルーズベルト」は南シナ海を遊弋した。同海域では日米豪印の海上共同訓練「ラペルーズ」も開始され、中国軍を牽制している。
 戦雲が急を告げ始めた。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 日本文化チャンネル桜からのおしらせです。23日(金曜)1100からの一時間番組「フロントジャパン」は生放送です。ホストSAYAさん、ゲスト宮崎正弘さんでお送りします。
   (桜チャンネル)

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(読者の声2)三島由紀夫研究会の「公開講座」は4月26日です。西村幸祐氏をお招きします。

日時  4月26日(月) 18時より
会場  アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   西村幸祐(にしむらこうゆう;評論家、作家、憂国忌発起人)
演題  「死後半世紀、益々存在感を強める三島由紀夫」
参加費  一般2千円 (会員・学生は1千円)
講師略歴 昭和27年生れ。東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科中退。戦略情報研究所客員研究員。アジア自由民主連帯協議会副会長。関東学院大学国際文化学部非常勤講師、岐阜女子大学南アジア研究センター客員教授。
   (三島研究会事務局)

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(読者の声3)去年の夏は白山へ登ってマスクした登山者が多いのに呆れましたが、最近ではマスクしてサーフィンする猛者すら宮崎海岸に出たと聞きます。
多数派日本人は、自分で考えるのをやめ、管理セクターといえども利権と沽券と風説に押し流され、日本は沈没しつつあるようです。
武漢コロナの狂態を批判してきたインフルエンサーで、小川榮太郎さんはあきれて発言も少なくなり、松田学さんは以前の録画の再放送が多くなり、「堕ちるところまで堕ちるしか」と言っているのは宮沢孝幸さん、シャープでエレガントな藤原かずえさんのツイートもかつてより散発的になった印象です。
そのなかで機関銃のようなツイートでコロナ施策の信じがたい無能と狂態を、うまずたゆまず精密に撃ちつづけているITコンサルタントの永江一石さんに注目しているのです
が、永江さんがデータから観察する所、<この20年>で日本人は馬鹿になってしまった。つまり若者や老人が新聞も本も読まなくなって、ネットやテレビからプッシュされてくる情報をのみ享受して満足している、自分から情報をプルしてこない日本人になったことを指摘しています。
コロナは収まっても、若者の活字離れという深刻な国難はおさまりません。https://www.landerblue.co.jp/48712/
(ボケ脳、石川県)
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 ★アンディ・チャンのアメリカ通信★  ★アンディ・チャンのアメリカ通信★
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バイデンの「新奴隷」導入政策
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 ミネアポリスで3月8日に始まったジョージ・フロイドが逮捕の際に死亡した事件で起訴されたDerek Chauvin警官の裁判は、昨日18日に最終弁論を終えて陪審員の審議に入った。
陪審員の審議の結果が出るのはいつになるかわからないが、裁判所の外では既に黒人のグループが結果の発表を待っている。法廷前の黒人デモは既に一ヶ月も続いている。
Chauvin警官は二級殺人罪その他の余罪に問われているが、有罪となれば4年から11年の刑期判決が下されると言われている。新聞では無罪判決となったらミネアポリスだけでなく、全国で爆発的抗議が起きると予想している。既に黒人グループや新聞が有罪判決をしているので正しい裁判は期待できない。
 ニュースではバイデン大統領も「証拠が歴然、正しい判決に期待する」と言った。Chauvinが有罪だと言ったに等しい発言である。陪審員が無罪判決を下せば暴動が起きるのはほぼ間違いない。ミネソタ州長は既に3万人の国民兵をミネアポリスに派遣して待機している。3万人といえばアフガニスタンに駐屯している米兵よりも多い。

 黒人の国会議員も黒人デモを扇動している。Maxine Waters議員は土曜日17日、わざわざミネアポリスに赴いて裁判所前のデモ団体に「我々(黒人)はChauvinの判決に不満なら街頭にでて活動すべきだ、もっと挑戦的になるべきだ」と群衆を煽動したので裁判官が「国会議員にあるまじき言動をするな」と叱責した。共和党議員はWaters議員を煽動罪で弾劾すべきとペロシ議長に提案したが、ペロシ議長はこれを無視した。

 アメリカでは黒人の暴動、放火や掠奪が起きても警察、司法は取り締まることができない。白人の警察が黒人を射殺したら大規模なデモが起きるけれど、シカゴで毎日のように黒人が黒人を射殺する事件がおきても問題にならない。黒人は天下の無頼である。黒人は白人優越主義の犠牲者と宣伝しているので白人は贖罪意識で沈黙を守り、一部の黒人は差別意識を持ちながらアジア人を差別し迫害している。アメリカの反アジア人暴力の背後には黒人(アメリカ人)の外国人蔑視が存在している。
 バイデンが国連大使に任命した黒人女性のLinda Thomas-Greenfieldは、黒人差別問題は「アメリカの開国以来の原罪である」、ワシントン大統領の時代や、それ以前からあった黒人奴隷を輸入して労働に従事させたために起きた白人の黒人差別問題であると述べた。

 黒人奴隷がアメリカに導入されたおかげで安い労働力がアメリカの発展に貢献した。民主主義国家アメリカは人道に基づく人種差別に目覚めた。黒人がレイシスト、黒人の命大切(BLM)を叫んだら白人はどうすることもできない。奴隷がいなくなり、アメリカは黒白を問わず平等に社会保障を受けて働かないでも一定の生活を保障されるようになった。サヨク民主党は「大きな政府」を掲げ、金持ちから税金をとって人民の生活を保護し、「パンとサーカス」を実施して民主党が選挙に勝つと思うようになった。
古代ローマの衰退と同じ道を辿っている。奴隷がいなくなった、黒人は働かなくても暮らせるようになった。結果はどうなったかというと安い労働力が不足してきたのだ。
だがアメリカには救いがある。メキシコや中南米から安い労働者を導入できる。今でもアメリカ国内に2千万人の違法入国者が安い賃金で働いている。「新奴隷」だ。
これがバイデンの「新奴隷」導入政策である。違法越境者を歓迎すれば安い賃金で働く移民が増える。特赦でアメリカ国民にすれば彼らは左翼民主党に感謝して将来の選挙に大きく貢献すると考えている。

 バイデンが国境の塀の工事をストップし、違法入境者を歓迎する大統領命令にサインした途端に中南米から大挙して国境を超えてくる「違法入国者」が激増して国境警察は未成年者の収容と保護に忙殺されている。
バイデンや左翼民主党は未成年の越境者を歓迎し、彼らがやがてアメリカの安い労働力となり、しかも左翼民主党に感謝して将来の選挙に役立つと期待している。実情は成人の密入国が未成年者より遥かに多い。犯罪者、テロリスト、麻薬密輸が増えたのは長期的な社会問題となる。
 バイデンの新奴隷の導入政策が期待した結果を出すとは限らない。未成年者を収容すればその日から彼らが新労働力となるまで衣食住行、教育の面倒を見る必要がある。しかも彼らが100%ぜんぶ新しい労働力となるはずがない。昔のような農業社会と違って新しい労働力は新しい労働に相応しい教育と訓練に頼る必要がある。
加えて密入国者の犯罪や麻薬の増加による社会問題にも対処しなければならない。違法移民が合法的に市民権を獲得すれば、その日から彼らは国家の保護のもとで生活を確保され、少なくとも一部が昔の黒人奴隷が辿ったような「働かない市民」となる。全て位未知数なのだ。
 ここまで書いたらミネアポリスの裁判所で陪審員の審議結果がでて、Chauvin警官は起訴された全ての事項で有罪と発表された。
当地時間の午後5時である。ミネアポリスの市街は人で溢れているが群衆の反応は静かで有罪判決に満足している模様である。
                 (アンディ・チャン氏は在米評論家)

(編集部から)裁判結果は有罪(21日午前、日本時間)となりました。



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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月21日(水曜日)    通巻第6873号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~駐台湾日本代表の泉裕泰氏の名刺肩書きは「大使」となった
  駐米台湾代表の粛美琴女史もトランプ時代から「大使」だが。。。
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 台湾と日本とは国交がないため、大使館にあたるのは日台交流協会という「財団法人」である。その台湾事務所代表が、これまでの肩書きだった。ちなみに駐日台湾大使も肩書きは「駐日台北経済文化代表処」で、事実上の大使である謝長挺(京都大学留学)は「代表」を名乗る。

 トランプ前政権から、アメリカは台湾への姿勢をガラリと変えて、台湾関係法のほかに台湾旅行法、TAIPEI法、台湾防衛法と矢継ぎ早や、閣僚級を訪台させ、国連大使も訪問を予定していた。
 バイデン大統領は、その就任式に駐米台湾代表を招待したが、粛美琴の肩書きはこの前後から「大使」となっていた。

 日本もアメリカの対中姿勢の変化を微妙に感じ取っていた。
 泉裕泰「代表」の名刺肩書きは「大使「」となっていたのだ。(台湾『自由時報』、2021年4月20日、写真入り)
https://www.ltn.com.tw/

 泉大使は63歳。東大卒、UCLBで修士号。外務省入省後は中国課長、北京大使館参事官、公使。上海領事を経て、バングラデシュ大使としてダッカに赴任。台北へは2021年から赴任していた。

 経歴から明らかなように外務省のチャイナスクールである。日本の外務省には、幾分の変化が、微妙な環境変化に即応して対応しているだろうか?
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 貴誌にて紹介された『公文書で明かすアメリカの巨悪』(渡邊惣樹著、ビジネス書)を読み終えました。
 私は3月23日通巻6838号で「『退任後初の演説でトランプ氏再出場示唆』と題してオーランドでのトランプ発言を産経新聞が報じていますが、この記事も
黒瀬記者が書いたもので『・・・(トランプは)不正があったとする信頼に足る証拠や裏付けに乏しい主張を改めて展開している・・・』と記者の『私見』を『堂々と』あたかも客観的事実の如く記しています。しかし今問題になっていることはリベラル系マスコミがこぞって『・・・不正があったとする信頼に足る証拠や裏付けに乏しい主張を改めて展開・・・』と断定すること自体が本当に適切であるのか?
『証拠や裏付けに乏しい主張』なのか? ということです。
産経新聞社は『証拠や裏付けに乏しい主張』なのかという論点を見失った『証拠や裏付けに乏しい記事』を平気で述べる新聞になってしまった気がするのです。」と投稿しました。
 この新刊本も、私と同じくこの産経ワシントン支局長の「ジャーナリストの本懐」の欠如を冒頭で痛烈に指弾することから始り、全く日本マスコミが伝えない情報が満載されています。
特に印象的なことは、コロナ危機がいかに悪用されてきたかと云う事で、アメリカ感染症センターも反トランプの一端を担っているということ。更に日本の医療関係組織にもその影響が及んでいることを知り「まったくこの世は油断も信用もできないな~!」と思いました。
ただこの本でもう少し知りたかったことは、これだけの大掛かりなThe Art of The Steelが構築され、そのメカニズムが末端まで「一糸乱れず、水も漏らさず」実行に移されることがなぜできたのか?
実行に伴う経路のどこかで「(末端で指令通りに)動きまわった人達から、私は『だれだれからこのようなことを実行せよ!と命令を受けた』という命令・指令のような具体的で明確な「証言」があまり浮き上がってきていないように感じる事です。
恐らくかような証言をしたらその人は職を失うなどの脅しが機能するような社会環境(風潮?)になっているのでしょうが、もう少し「漏れ」があってもいいような気もします。
この点に関する著者のさらなる解説を期待したいと思います。
(SSA生)

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(読者の声2)宮崎さんは、今号で朝鮮・韓国のことを書いておられますが、私は、韓国のこの状況は、二つの要因があり、まず彼らには国家・国民としてのアイデンティティーがなく、その代わりを反日に求めているのだと思います。
もう一つが、大陸強国と海洋強国に挟まれているという地政学的環境からくる「事大主義」だと思います。アイデンティティーについては、偽物とはいいながら北朝鮮の方がまだしも金日成神話がありますが、南にはそれすらなく、心理的に従北にならざるを得ないものがあります。
一方、事大主義は、同じ意味で、フランス人が、ベルギー人のことを軽蔑しており、たくさんのフランス小話があります。今でもフランス人はフランス小話をしているようですが、それは大変なベルギー人蔑視で、その人たちは森バッシングなどする資格はありません。
しかし日本人も、もし日本人としてのアイデンティティーをなくせば、韓国人と同じになるのではないかと憂うものです。
(関野通夫)

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(読者の声3)ネットの書き込みで、中国歴史ドラマに日本留学帰りの男が日本の進んでいることを訴えるシーンがあり面映い気がしたとありました。
 調べると「月に咲く花の如く」という陝西省の実在女性商人(1868~1908年)をモデルに清朝末期を舞台にしたドラマ。2017年の作品で中国で年間視聴率トップという人気作。amazonにあったので視聴開始するも45分ドラマで全74話はさすがに疲れた。
 現在の陝西省咸陽市がメインで一部上海が舞台。製作は上海、共同制作には中共咸陽市委、咸陽市人民政府、中共西安市委宣伝部の文字。中共は中国共産党の略。
https://www.cinemart.co.jp/article/news/20181022002135.html
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 大道芸人の養父と主人公、豪商沈家のドラ息子、対立する豪商呉家のやさしい長男、薬材商胡家の元許嫁がからんだ恋愛模様。殺人事件の謎を追いながら嫉妬と憎悪、陰謀と裏切り、復讐の展開。
 あくまで娯楽作品なので前半はNHKの朝ドラや少女漫画風味満載でかなり面白い。中盤は「おしん」のように豪商が没落し大切な人が次々に亡くなる鬱展開。
 中盤で綿織物生産に乗り出すも洋布に押され売れ残りの商品を積み迪化(てきか)まで販路開拓。台北の迪化街しか思い浮かばず迪化を検索したらウルムチでした。ニセ薬の出どころを探るためペルシャの女商人に化けたり大活躍ですが今の時勢では放映できなかったかも。後半は宮廷と官僚の政治劇の比率が高くてやや退屈。4話の殺人事件は視聴者には犯人がすぐわかるものの解決が70話では引き伸ばしすぎ。

面白かったポイントとして
・衣装が偉い人ほど高級かつ渋くなる。韓国ドラマのポリエステルに対し絹の豪華さ。
・商家らしく誠・信がモットー。武帝聖君の文字、関羽の絵を拝むのも定番、上善如水など熟語・成句がふんだんに出てくる。
・黒檀の家具、蓮の花、盆栽、陶磁器、絹織物、刺繍、翡翠に紅玉と伝統には事欠かない。
・位牌は高さ数十センチと巨大。女性の願い事は仏様と観音様。葬式で泣き女が出てこない。
・屋台の食べ物が美味しそう。麺類は盛大にすするし種の皮は吐き散らす。
・官僚の威張り方が凄まじい。すぐに尻に棒打ちの制裁。皇族の権威で金子を要求し放題。
・金子・銀子に加え、銀票がふんだんに使用されるなど商業が発達。
・店は各地に支店を持ち、商品仕入れも全土が対象で各地の値動きにも敏感。

・石平氏がいう「叩頭の礼はゴツっと音がするもの」を実演。石の地面に額をぶつけ血が出る場面が何度もある。
・白人宣教師に魂を抜かれる、夜は血を吸われると恐れる。
・筆の持ち方が日本とまったく異なる。毛沢東や周恩来、蒋介石も日常使いだったという提腕法という人差し指を立てる持ち方。
・茶はどんな場面でも必ず出てくる。面会時に主が茶碗の蓋に触れるや客は退出を促される。
・屋敷の捜査に入った役人が袖の下を触るや即座に金子が用意される。同じ言葉でも日本では贈る側、中国では要求する側なのか。
・牢に入れられたら必ずカネで解決しようとする。下っ端を買収し面会、高位の役人に金子で口利きを依頼。
・民間の資金で綿織物工場を設立しながら工場が儲かると見るやすぐに没収。
・西洋の銀行は将来の工場でも担保にカネを貸す。しかも契約は必ず守ると力説。
・学堂をズル休みした子供たちが向かったのは日本留学帰りの教師が教える新式学堂。

不満な点として
・中国ドラマとしては面白いが共産党政権批判にならないよう細心の注意が必要なので日本人の感覚では物足りなさが残る。
・主人公が女子学堂を設立するも生徒があつまらないという場面、解決策が勉強すれば高給の職につけると訴えるだけ。
・日清戦争期のドラマなのに日本には触れない。官僚の1人が甲午農民戦争の処理を誤ったと左遷されるくだりのみ。実際に地方では戦争などしらなかったらしい。
・西太后が西安に逃げた際には料理人だけで100人以上、経費がこれほどかかっている、と習政権の贅沢批判に合わせたか。
・殺人ミステリーは東野圭吾や名探偵コナンが大人気の中国ですがひねりが足りない。

 中国が大国になり過去を冷静に見ることができるようになったのか、役人や庶民の西洋人恐怖を批判的に描いている。
中国ドラマにつきものの日本批判もでてこない。
久しぶりに見た中国ドラマ、歴史ドラマの体裁で現状の政治を批判することも多いのですが、主人公が恨みの連鎖は断ち切らなければならない、仇敵を赦す、など中国的価値観より日本的価値観が出てくる珍しいドラマでした。
脚本家は1993年に四川師範大学卒の女性なので日本文化には海賊版で接した世代かも。中国の若年層の価値観も日本寄りになってきたのでしょうか。

ところで、まったくどうでもいいニュースですが、駐韓国ベルギー大使夫人が万引の疑いをかけられたことに腹を立て店員の顔をひっぱたいたという。
この大使夫人の行動からてっきり韓国系かと思ったら中国系でした。http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/04/15/2021041580207.html
https://www.recordchina.co.jp/b875182-s25-c30-d0191.html
店の外まで追いかけて夫人をつかまえた時点で問題ですが、それに対して夫人も店員が謝罪しても決して許さず、店に戻り他のスタッフに猛抗議し頬を叩くという中国人らしい躾け方。大使夫人が日系なら韓国メディアはここぞとばかりに大騒ぎでしょうが中国系相手では泣き寝入りするしかない。
外交特権うんぬん以前に韓国人は文明国民(中国的意味で)ではないのだから厳しく躾けるという強い意思を感じるのは穿ち過ぎでしょうか。二十代の袁世凱に三跪九叩頭の礼をした朝鮮国王、習近平はおろか三十代の金正恩・金与正にもまったく頭が上がらない文在寅。歴史は百年たっても変わりません。
オカルト雑誌「ムー」の2017年ころの記事ですが、1940年ころアメリカ南部ではヒトラーの像の首を切るブードゥー教の儀式が行われていたとありました。
安倍総理や天皇陛下の人形を首吊にしたり道路を引きずったりする韓国人の信仰は表向きは仏教やキリスト教でも本質はブードゥー教レベル。日本統治時代に教育を受けた人がいなくなり朝鮮王朝時代に戻っている。いまこそ脱亜論を再認識する時期かもしれません。   (PB生、千葉)

(宮崎正弘のコメント)後者のニュースですが、華字紙では大きく写真入りですね。
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