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(粗雑なドリーム小説)萩原千速の憂鬱
※萩原千速の声のイメージは、自分的には、モンキーターンの萩原真琴や、ONEPIECEのナミを演じた岡村明美さんです。
千速は疲れ果てていた。
「風の女神」と呼ばれ、神奈川県警交通機動隊のエースと目された精彩は、もはやどこにもなかった。
官舎の自室に戻るや否や机に突っ伏して
「はあ・・・ちかれた~」
そんな姿は、以前にはついぞ見られない光景であった。
彼女の生活は、一変してしまったのだ。
そう、あの日を境に。
あれは1か月前の出来事であった。
某スーパーマーケットの前は、朝10時台と午後4時台に、オバタリアン集団の自転車の群れに悩まされていた。
道路を広がって走るのは当たり前、平然とベルを鳴らして猛スピードで飛ばしまくり、違法駐輪も当たり前、歩道や周囲の車道はオバタリアン集団の自転車で埋め尽くされ、自動車の通り抜けができかねるほどだった。
地元の警官たちが、たびたび注意し、所定の自転車駐輪場に停めることを喚起するも、オバタリアン集団たちの圧倒的威圧感に、どうしても及び腰になっていた。
そこで、県警の交通機動隊の出番となった。
5月某日の夕方、オバタリアン集団の自転車の群れが、まるで改革開放以前のチャイナの如く、あるいはタイランドはバンコクの通勤ラッシュ道路の如く、今日も今日とて路地を埋め尽くして、周辺住民の通行を妨げていました。
そこで颯爽と出現した一台の白バイ。
長い髪をなびかせて、オバタリアン集団の前に急行し、真正面に白バイを止めました。
オバタリアン集団が、誰からともなく
「あんた邪魔だよ道を開けな!!」「そうだそうだ!こっちは生活が懸かってんだよ!!!」
そんなオバタリアン集団に対し、その白バイ隊員は一喝
「だまんなッ!!!
交通法規も守れないやつが自転車に乗るんじゃないよ!!
あんたら、すぐに自転車を降りて歩いて買い物にいきな!!」
妙齢の女性の声でした。
そう、その妙齢の女性白バイ隊員は、まぎれもなく神奈川県警交通機動隊の「風の女神」萩原千速その人だった。
オバタリアン集団、ちょっとの間呆気に取られていたものの、
すぐさま目をハートにして
「かっこいい・・・」
そしてほどなく、オバタリアン集団異口同音に、
「ハイッ!お言葉に従って歩きます!!」
そうして回れ右して引き上げていきました。
千速も、役割を終えたとみるや、踵を返して元来た道を折り返しました。
その日はそれで片付き、
その後、めっきりくだんのスーパーマーケットの前はお行儀がよくなりました。違法駐輪も目に見えて減り、少なくとも通行の妨げになることはなくなりました。
しかし千速をなやませたのはそのあと!!
千速が通りかかるたびに、オバタリアン集団から黄色い歓声が上がり、写真をフラッシュをたきまくってパシャパシャ撮影。
さらに千速の勇姿がたびたびSNSにアップされるともうバズってバズってバズりまくる騒ぎ。
そして機動隊あてには、大量のファンレターや花束や菓子折りなどなどが萩原千速あてに届く有様。
公務員倫理規程に基づいて飴玉一つ受け取るわけにはいかないので、千速は一つ一つ送り返す作業に追われました。
さらにさらに、交通違反の反則切符が千速から切られると、寧ろ喜ばれるありさま。
千速を見かけると、わざと目の前で交通違反をやるものも出る始末。
例を挙げればきりがないが、転回禁止の道路で折り返したり、夜なのにわざとライトを消したり。
千速の作業量は半端なく、他の隊員に任せようとすると途端に違反者からブーイングの嵐。さらに千速が関わっていないところでの交通違反取締にさいしても、機動隊の萩原を呼べと要求をつきつけるものがでるほど。
そして千速のサインがはいった反則切符がネットオークションで高値で売られ、なかには100,000円を超えるものまで現れるほど。
そして、どこから知ったか、千速の住まう交通機動隊の官舎には入り待ち出待ちの大部分オバタリアンで構成されたファンがおしよせ、他の隊員たちが追い払うのに一苦労、
官舎に戻るタイミングに、わっとファンがおしよせ、千速に触れようとするものが出たために、他の隊員が人垣をこしらえて千速をガードしなければならないありさま。
熱狂的なファンの中には、公務執行妨害のかどで逮捕されるものも続々現れ、留置所がラッシュ状態、
これほどの留置所の過密ぶりは学生運動全盛期以来だと、ある警察OBはあきれ返りながらぼやいた。
そんな暮らしが1か月も続けば、さすがの千速もグロッキー状態。
冒頭の「はあ・・・ちかれた~」につながった。
そんなさまをみた横溝弟「世の中くるってる!」
おわり(山もオチも意味もなく)
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