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職人/仕事/日常/豊かさ 「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」展@千葉県立美術館2024

約3000字、写真約50枚。お時間あるとき眺めていただければ。

#notice


「アーツ・アンド・クラフツ/ウィリアム・モリスの展覧会がやってる。」


チラシだったか、アート番組だったか、ニュースだったか。開催を知り、行きたかったが、近場の巡回を逃し、諦めた。


ところが、あれれ?年明けまたやってる。


今度の会場は千葉県立美術館。近くはないが、まぁなんとか行ける範囲。関心あるテーマの展覧会と、まだ行ったことのない美術館の開拓(これはこれで好き)のコンビネーション。奮起して行ってきた。

最近、一度見逃した展覧会があとからまた巡回してきて結果オーライ、なパターンによく遭遇する。

モノローグ





展覧会情報


今回の会場は千葉県立美術館
以下が公式サイト。
3月24日(日)まで。


冒頭話題にしたとおり、この展覧会は
これまでいろいろな地域を巡回している。
これまでの巡回先が、以下で確認できる。


今回、最後の巡回先に間に合ってよかった~と思いきや、べつに最後ではなかった。次は4月30日から、新居浜市美術館@愛媛に出没。なんというか、ポップアップストアみたいな展覧会である。



会場まで


千葉県立美術館の最寄り駅は、京葉線の千葉みなと。
最終駅の蘇我の一つ手前。

以後、写真ベースで。

* * *

駅の出口は、こんな感じ
案内標識に分かりやすく美術館の場所
非常に大きなブロックで区画整理されており、ルートもシンプル
看板、建屋、信号灯
もう一つ別のネームプレート/銘石
美術館は石屋にとってお得意様なのかも、と思った
玄関アプローチ
思いのほかカッコよく撮れた
奥に見えるポツンとした高層建築物は、千葉ポートタワー
この手のXXタワーは、都市型観光地によく造られてるなと
ルール・マナーチェック
この日同時に開催していたイベント
市民のアート活動発表の場でもある
右側が展示ゾーン
今回の展覧会では8室中3室を使用

ネットでもこのフロアマップは公開されている。ナイス。
https://www.chiba-muse.or.jp/ART/visit/page-1517847220045/



会場風景・展示について

今回の展覧会では、以下注意書きにあるように「作品1点のみを接写した画像は、インターネット(SNSを含む)で使用しないでください。」とのこと。「接写」の定義って何なのか?解釈・判断に迷う部分はあるが、言わんとされていることは理解できる。ということで、今回作品1枚だけが映ってる写真は、掲載していない。

この記事を書く段階で気づいたこと


この展覧会の特徴。一言で言うなら、いわゆる狭義の「西洋美術」には属さない、19世紀後半~20世紀第1Q辺り英米の、ありとあらゆるジャンル・素材の「手仕事による生活良品」が一堂に会した展覧会。

舞台や映像の背景・小道具などで引き合いの多い対象だと思うので、そういった仕事をされてる方には、実物を間近に見れる貴重な機会では。

新築引っ越しやリノベ等で内装や家具を検討中の人にとっても、なかなか有益な内容だと思う。

そのような必要上の背景がなくても、素朴に「良い仕事/良い品/良い生活とはなにか」の気づきや閃きを期待しても良い。そうして得たイメージを、日常の選択や現世の仕事に繋げていきたい(なぁ)。


開幕
会場の雰囲気は良い


ウィリアム・モリスの肖像
初めて見た
手前の椅子は作品ではない
この作品は、家具の形状よりその布地の方がアピールポイントと理解


ちゃんと歴史解説
モリスの作品ではないが、この2章で一番印象に残ったものを挙げるなら、これ
しかし、会場で撮った写真は、あいにく前述のルールに抵触し掲載できず。。。

ショップでこの絵葉書が在ったので買おうとしたら、なんと売り切れ。。
やはり皆これがいいと思い購入が集中したのだろう。
なんというか、グループアイドルのライブ会場物販における
ブロマイド写真のメンバー間販売競争のあおりを食ったようなやるせない気分。
(たぶん。アイドルのライブに行ったことがないので)
ところが!
今回購入した図録のブックカバーの下に、このフクロウのイラストが!!
今回の図録を作った人、よく判ってる。

これを発見した日、一挙に気分が良くなった。
モリスが刊行した本
自身で出版社(「ケルムスコット・プレス」)を起こし
それどころか字体まで作ってしまう。
もう生き方として感服。


銀細工

ただ、ガラス越しであまり良い距離・良いアングルでは観察できなかった。
正直この実物展示より、図録の掲載写真の方が、イケてる。
立体作品の壁ガラス越し展示あるある。
3章では、これが1番いいと感じた作品。
しかし、今回展覧会写真ルールに抵触するため
キャプションしかお見せできない。


フランク・ロイド・ライトと
アーツ・アンド・クラフツ運動やウィリアム・モリスとの繋がりの考察
イギリスとはまた違ったアメリカでのアーツ・アンド・クラフツ運動の展開などは
とても興味深かった。
ティファニーのリリィランプ
これ、20世紀1Qアメリカ好景気の象徴だと思ってる。
ただ作品を見せるだけでなく、ちゃんとそれが当時造られた光景もパネルで補足
美的鑑賞+歴史学習


今回展覧会の終盤、ここ千葉県立美術館のオリジナル企画コーナー
巡回展に、ホスト側美術館によるちょい足し
なので、図録には載ってない内容
これも巡回展の醍醐味かも
最終コーナーで1番感性に響いた作品
しかしこれも今回展覧会写真ルールに抵触するため
キャプションのみのご紹介



ショップ・グッズ


この展覧会の特設ショップ。展覧会テーマらしい、全体的にハンドメイドの雑貨屋的雰囲気。もちろん、図録、絵葉書も販売。ほかに変わり種として、図録とは別に、研究者による論考集『千葉とアーツ・アンド・クラフツ』(図録よりも高額だった)も販売していた。

高級品・嗜好品の部類に入ると思うが、欲しくなる
販売している椅子の実物展示
美術館巡りをしてると、自然とデザインチェアーの写真が溜まる。
今回はショップでも。



美術館について


ここ千葉県立美術館は昭和49年10月に開館。近年耐震補強などはされているが、もうすぐ築50年。外観はレンガ調の落ち着いた佇まいだが、内装は正直古めかしい。昭和の薫りが、残っている。


特設ショップ前の空間
第7展示室
展示会場奥にあるレストラン
なお、美術館の近辺に食事処やコンビニ等は全然ないので、その点は注意
展示室とは別棟の休息エリア
飲み物だけならここで
家具は年季が入っているが、深く腰を落ち着けられる
同じく休息エリアの一角
今回は展覧会の外でも、いろいろ個性的な椅子に出会う



関連話題


最近読んだ『現代美術史』(山本浩貴, 中公新書, 2019)は非常にお気に入りの一冊なのだが、その冒頭第1節は、アーツ・アンド・クラフツの解説から始まる。4頁程度の記述だが、アーツ・アンド・クラフツやウィリアム・モリスなどの名前程度しか知らなかった自分には、ちょうどいい内容だった。

『現代美術史』を読み、展覧会も見たあと、購入した図録の論文やセクションテキストを読むと、歴史知識や今回の展示の内容がススッと頭に入った。もしこのテーマに興味があり同じようなレベルの人には、オススメしたい。


昨年のことだが、ケルムスコット・プレスのことやその作品(刊行物)は、「本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション」展@練馬区立美術館で堪能した。このとき、自分の中でウィリアム・モリスへの関心が一挙に高まったのかもしれない。今思うと。



以 上

誠にありがとうございます。またこんなトピックで書きますね。