2022年8月米国株のシナリオについて(週刊エコノミスト8月号「世界経済総予測」および8月12日広瀬氏楽天セミナーを参考)

最大の関心事項は不況がくるのか、来ないのか
 2つの見方が広がっている。一つはFRBの金融引き締めによって過度に経済が冷やされ、不況に陥るという見方。もう一つは、インフレ率は年末にかけて徐々に下がってくると思われるので、FRBが緩和を緩めることで不況は避けられるのではないかという見方だ。
 では、この先不況がくるのか来ないのか、どの統計で知ることができるのか。それは鉱工業生産指数である。この指数が一番最初に不況に対して反応する。よってこの指数は毎月見ていく必要がある。また景気が強弱は雇用統計・失業率からも見てとることができる。
 イールドカーブが逆イールドになると、不況がくると言われている。なるほど過去にもそのような例があり、実際に不況がきたという。これについて、過去の不況前とは違う前提条件が今回はあるということ、また逆イールドになってもかつてのポルカーのようにインフレ退治をできたが不況に陥ったがあり、FRBは彼と同じことをしないように気をつけてやっているということに触れておく必要がある。1点目について、米国の消費については高インフレなどどこ吹く風であり、コロナバブルで儲けた金で、消費者の財布は暖かいため、それほど落ち込んでいない。2点目について、ポルカーはFRB議長就任当時、第二次オイルショックの影響で高インフレに直面していた。彼がやったことは、FF金利つまり短期金利の操作より、公開市場操作を重視し、売りオペつまり、通貨供給量の伸びを抑制し、インフレを抑え込むことを目論んだ。これにより短期金利が急騰し不況に陥った。現在FRBは量的緩和と短期金利の上限下限による操作を同時に行なっており、インフレ退治のソフトランディングに成功する可能性がある。
 さて、シナリオに影響を与える変数には何があるだろうか。それは原油価格である。これにプラスして、ウクライナ侵略と中国のロックダウン解除という変数がある。原油価格が高騰する要因は供給面と需要面に分解してみる。供給側では、一つ目に、バイデンがOPECに増産しろと言っているが、ロシアに配慮して応じない。イラン、ベネズエラも制裁により生産しない。問題児しかいない問題がある。2つ目は、ロシアの原油を買わなくなったことで、中国が勝ってはいるが、ロシアが供給を減少させていること。3つ目はパイオニアナチュラルリソースやダイヤモンドバックなどのシェール企業が原油価格維持のために設備投資をしないことだ。需要面では中国のロックダウンが全面的に解除されれば需要逼迫で更なる高騰のシナリオが見込まれる。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?