小川さやか(2022)「移民・難民政策と日本のタンザニア人」中央公論2022年8月号を読んで
中央公論8月号に、日本の移民政策を語る上の議論として、現状舵を切りつつある、単純労働移民の道筋または政府が理想とする高度人材の受け入れか二者択一になってしまいそうな話に対して、「日本と各国との架け橋となる起業家やビジネスパートナーをいかに創出するか。」という観点から、移民政策の検討を申し向ける独特な論稿が寄稿されていた。
筆者が専門とするタンザニアをはじめとしたアフリカ諸国の出身者に対して、日本人は、「お荷物」であるかのように冷ややかに見る。だが筆者によると、「重慶大厦」のある香港・中国、東南アジアでは、彼らアフリカ諸国の人々であっても、貿易業に従事する人材が日本よりは積極的に「受け入れ」ているという。しかもその受け入れが自国経済にプラスになるという。例えば、自治体から委託された中間業者から放置自転車を買い取り、各国に輸出する貿易業。自治体からすれば廃棄処理すれば、廃棄費用がかかるが、輸出業者がいることで、お金が得られる。これらの人材が、資金を貯めて、中国や香港で貿易会社を設立したり、アフリカ本国で、中国の人々とベンチャービジネスをすることが多々あるという。
なるほど、高度人材を積極的に受け入れる移民政策は今なお失敗の途上にある。政府がいくら呼び掛けても、来るのは単純労働者ばかりで国内の人手不足の充足にあてる。ただこの視点はどうか。中国がここまでアフリカに影響力を行使できるようになったのは、単に中国が作る製品が安いからか?いやそれだけではなく、こういった、人的交流を積極的に受け入れていったことも、一つの要因と思われる。
ただなぜ、アフリカ諸国は、日本ではなく中国を選ぶのだろうか。これは元々香港をはじめ中国大陸では、アフリカ系の方々も多く住んでいたことが関係しているのだろうか。日本でも、韓国の淑女がそういった出稼ぎで短期で来ることが多々あるように、元々の構成比というのが一番説得力のある説明になると思われる。
まただからと言って、この貿易業をむやみやたらに受け入れるように舵を切ることが良いと言えるのだろうか。
こう言った貿易ビジネスは犯罪と紙一重だ。現状でも、筆者が言うように、招聘場があれば、こう言った方々の短期滞在での入国が認められている。ただ、すでに、このような盗難ビジネスも成立しており、貿易業の受け入れには慎重に検討すべき必要があるとも言える。
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