宝くじ

 今日、職場の同僚が宝くじを買ったという話を聞いた。今度ローンを組んで新車を購入するから、少しでもお金が欲しいのだという。なるほど、と聞きながら、僕は内心こんなことを考えていた。

 ――でももし、10億円あたっちゃったらどうするの!?

 もしそんな大金当たったら、絶対どこかから情報が洩れて、怪しい投資だのなんだのという電話やメールがどんどんきそうじゃない。そういうものが来たら流されてどんどん変なことにお金を使ってしまい、せっかく当たった10億円をあっという間に使い切ってしまう自信が僕にはある。それどころか、お金の運用や管理で絶対にそれまでより苦しい思いをする。だったら10億円なんてあたらないほうがいいのではないか・・・。

 とまあ、おバカな妄想を暴走させていました。そもそも10億円なんてそうそうあたらないし、僕の同僚もまさか10億円当たるなんて考えて買っていない。せいぜい車のローンの足しになる金額が手元に入ればいいな、くらいの気持ちだろう。

 ただ仮に、10億とはいかないまでも、一生働かないで暮らせるくらいのお金が当たったら自分はどうするだろう、なんてことを少し考えもする。冒頭の妄想はわきに置いておいて、もう少し地に足のついた予想をしてみる。

 まず、仕事はやめないだろう。転職はするかもしれないが、働くこと自体は続けるはずだ。
 生活レベルも特に変えないと思う。取り立てて今の生活に不満があるわけでもないし、もっといい家に住みたいとか、買いたいものがある、というわけでもない。
 お金は大半を貯金に回して、老後の資金の足しにするだろう。そうすれば、早期退職して、体力があるうちに好きな旅行を楽しめる余裕ができるかもしれないし。

 さらっと考えてみると、現状とほぼ変わらないだろうという予想に落ち着いた。いきなり目の前に大金を置かれても、たぶん僕は使い道に困ってしまい、最終的に貯金するだけなのだ。だったら、別に宝くじなんて当たらなくてもいい。

 ・・・でもよくよく考えてみたら、老後の資金がたまるのは魅力的である。今はまだ気力、体力ともにあるが、後々そういうのも衰えてきたとき、お金がないから働き続けなければいけない、なんてことになったら苦しすぎる。やっぱり、お金はあって困ることはない。

 明日、僕も宝くじを買いに行ってみよう。そのうち買ったことも忘れて箪笥の奥で眠ることになりそうだけど。

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