灰色の脳細胞

 文章のうまい人は、総じて使う言葉にもセンスがあると思う。

 普段は使わないような言い回しや言葉の組み合わせで、けれど相手に意味は伝わるような、そんな言葉。「灰色の脳細胞」なんて有名な言葉だけれども、神経細胞が集まる灰白質のことをしっている人が聞けば、「灰白質」という言葉を使うよりも、「賢い」「頭を使っている」などのニュアンスを伝えることができ、より多くの情報を相手に伝えられる。

 これは比喩表現に限った話ではない。文章のうまい人は伝えたい内容や場面によっても使用する言葉を変える。「おいしい」と「うまい」はどちらも美味であることを伝える言葉だが、「うまい」のほうが少し野性味を感じたり、上品な味よりもパンチのきいた味を連想するのではないだろうか。フランス料理の味を表現するときは「うまい」よりも「おいしい」のほうがしっくりくる。

 こういった細かい言葉使いからして、文章が上手な人は違う。相手に自分の思っていることをより正確に伝えられるように、言葉の持つニュアンスや雰囲気を気にしながら使っている。そういうセンスがあるだけで、文章が上手に見えたりするのかもしれない。

 そのためには、ボキャブラリーを増やし、普段から言葉を選んで会話したり文章を書くことが大事なのだろう。ただ文章を単純に書けばいいというものではないのだ。

 こんな気付きを書きながら、あまり言葉を選ばず勢いで書いただけの文章になってしまった。文章上達の道はまだまだ険しい。

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