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花が咲いて、名前がついて、はじめて出逢う植物たち

マリコさんの庭は、サプライズな出逢いに満ちあふれている。

引っ越してきた当時、ここにいる植物たちが何者なのか、ほとんど把握できていませんでした。園芸知識の乏しい私がぱっと見で認識できたものといえば、棘のあるバラ、つぼみが膨らみかけたチューリップ、実が残っていたみかんの木、、、と、小学生でもわかるようなもの数種類だけで。

名前が分かったのは植栽全体の一割程度で、残りの九割は謎の植物。あなたのお名前、なんてーの?・・・ああ、植物たちと会話できる術があればいいのに。

元々花や実がついているものは、図鑑やグーグル先生に頼ってなんとか名前を突きとめることができました。花も実もついていないものは、葉の質感や形を材料に調べるのだけれど、こちらは候補がたくさんありすぎて絞り込めず、、、結局、謎のままに終わってしまうものの方が多かったんですよね。

しかし。やがて季節は春をむかえます。植物たちが一斉に開花しはじめる季節。チャンス到来です。ここで花姿から調べた結果、多くの謎植物たちの名前が判明しました。それまでは名もなき草というぼんやりざっくりな存在だった植物たちは、名前を与えられた途端、くっきり鮮明な姿になって私の前に現れます。

花が咲いて、名前がついて、ようやく出逢うことができる、植物と私。私の中に潜む辻仁成が、やっと会えたねと言わずにはいられない。ああ、なんて不器用な出逢いなんでしょうか。。。でも出逢えた時は、毎度毎度すっごくうれしいんですよね。地味だけど静かな感動があります。

「どうも只者じゃないオーラを放っていたけれど、あなたはウィリアム・モリスが愛したモチーフの、アカンサスだったのですね・・・!」

「ひょろひょろしてるから引っこ抜こうかと思っていたけど、咲いてみたらば可憐でなんてかわいいの。あなた、ニゲラっていうのね。」

名前さえ分かれば、その植物の性質を知ることができるし、育てる心づもりもできるというわけです。出逢えて本当によかった。ほっと一安心。

こういう出逢いが、この庭にはたくさん眠っています。きっとこれからもたくさんの出逢いが待っていることでしょう。明日はどんな子と出逢うのかしら。。。マリコさんの庭は刺激的で、毎日がとても楽しいです。


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