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Call My Name

一部性的描写が含まれていますので苦手な方はお控えください。
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nodeok氏作 韓国ウェブトーンRIDIBOOKS連載中の『동정의 형태』(同情の形)をベースにした二次創作で、原作とはちょっとはずれた私の妄想です。
ユリ=권유리(クォン・ユリ) 大学一年、キミ恋・竹本渚 
ソヌ=이선우(イ・ソヌ)   高校地理教師、キミ恋・岡田先生
ヨハン=정요한(チョン・ヨハン) キミ恋・小泉郁
ヒジュ=희주 누나       ユリの下の姉
ジョンホ=구정호        ヒジュの夫、ソヌの大学の先輩
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「よし、今日はこんなところだな」図書館の仕事に区切りがついたユリがソヌをちらっと見ると、まだ仕事をしている。ソヌのそばに近づく。

「先生、今日先生の家に寄っていいですか? 夜、空いてます?」

ソヌはちょっとため息まじりに「うーん、わかった。もう少し後で来て」と告げる。
ユリは、ソヌがこばめないことを知っている。

─ この人は優しい人だから、いつもダメと言わない。どこかヒジュ姉さんと似てるのかも。

本屋でちょっと時間をつぶしてから、コンビニに寄って、ちょっとしたつまみとタバコを買って、ソヌの家にぶらぶら向かう。

─ 先生が飲む酒は自分で買ってるだろう…。

─ タバコを用意するのは、吸うのもあるけど、わざとだ。先生は、タバコの香りでスイッチが入るのを俺は利用している。好きと言われたことも、愛してると言ったこともない。でも、あの人は俺にとって特別だ。仮面をつけないですむ相手だから。

─ 俺と気が合うヨハンと先生はどこか似てるんだろうか。感情に素直なところとか、優しいところとか、俺がどんなに横柄な態度をとっても気にしないところとか…。だから、一緒にいて楽なところがあるのかもしれないな。

─ 先生を見てると、困らせたくなる。ちょっと嫌そうな顔して、しかたがなく俺を受け止めてくれる。怒ることもないし、声を荒げたり、手をあげることもない。誰かさんとは大違いだ。

ピンポーン。
ガチャ。
「こんばんは、先生。つまみ買ってきましたよ」

ソヌは、ちょこっと笑ってドアを開ける。
「やっと週末ですね。今日はゆっくりイチャイチャできますね(笑)」
「ふっ。なんだよ、イチャイチャって」

ユリが買ってきたつまみをテーブルに置くと、ソヌはグラスと皿を出す。
「オレンジジュースならあるけど、それでいい?」
「コーラはないんですか?」
「あ、1本だけある」
「じゃあ、それください」

「おつかれさま~。乾杯~」
「なんか機嫌いいな。何かいいことあったの?」

「俺、今日誕生日なんですよ」
「え! そうだったっけ。おめでとう。いくつになった?」
「22歳です」
「若いなぁ~」

ソヌはユリの顔をしげしげと見る。大きな瞳に長いまつげ。白くてきれいな肌。すっきり通った鼻筋。つくづくうつくしい子だよなと感心してしまう。

「お前みたいなやつが、なんで誕生日に先生のところにいるんだよ。
 その気になれば、いくらでも相手はよりどりみどりだろ」
「さぁね。ここ落ち着くんですよ。先生のそばが。まぁもっと飲んでくださいよ」
「俺を酔わせる気か」
「ふふふ~」(そうですよ~)

ユリは、頃合いを見計らって、タバコに火をつける。
「あ……」ソヌが苦しい顔をする。

ユリは立ち上がって、ソヌの隣に近づく。目を覗き込みながら、けむりを吐き出す。
「ごぼっごほっ。・・・やめてくれ」
「先生、俺を利用してくれていいよ。いつもみたいに慰め合いましょうよ」

「お前は、いつもその手を使うな……」
ユリはソヌにキスをして、ソヌの反応を確かめる。顔が赤らんでる…。
「ねぇ、あっちへ行こう?」

─ タバコの香りは先生を官能にさそう。俺に体を開く鍵になってる。そんなことが繰り返されるうちに、もういいやって気になった。先生がジョンホを忘れられなくてもいい。そのままで、俺に抱かれればいいんだ。
 それにしても、この人の欲望の素直さにはあきれる。ウブなのかビッチなのか、ほんとわけわかんない。今日はまだジョンホの名前を呼ばないな…。

「ユリ…」

─ え? いま、俺の名前を呼んだ?

「ユリ…いまは、違うよ。利用してない…」

─ 目を閉じているけど、たしかに俺の名前を呼んだ。
「先生、俺を見て? 目を開けてよ。本気?」

ソヌをゆっくりと目を開いて、ユリをじっと見た。
「ユリ。お前を好きなのかどうか、正直よくわからないんだ。
でも会えないと顔が見たいと思うし、体にさわりたい。声が聞きたい。
お前が必要みたいだよ……」

「先生、それ好きとどう違うの?」
「わからない……。好きになっていいの?」
「いいにきまってるよ……」

ユリの目にも涙が滲んだ。

fin








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