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エストニアが国をあげて、世界にデジタル教育ソリューションを無償提供中。

北欧やバルト三国などの教育関連情報をフォローしていたら、3月16日、こんなニュースが飛び込んできた。

エストニアは他国をサポートするため、デジタル教育ソリューションを無償で提供する」(※1)

3月16日付けでエストニアの全学校は閉鎖となり、教育・学びの場はすべてオンラインに移行するーーそんなアナウンスとともに、危機下にある他国に向けてデジタル教育ツールをサポートしたいと考えている、というメッセージが即日で出されていて、衝撃を受けた。

電子国家エストニアが推進する、IT教育の取り組み

メッセージの発信元は、エストニア教育研究省とInnove財団(2003年にエストニア教育研究省が設立した、一般教育・職業教育の推進等を担う財団)がイニシアチブをとる「Education Nation」というプロジェクト。エストニア教育研究省のサイトにも同じメッセージが掲示されている。

電子国家として世界から注目を集めているエストニアは、教育にも力を入れており、90年代からIT教育を推進している。2012年にはプログラミング教育を初等教育(7歳)で導入、JavaやC++などのプログラミング言語やロボット工学などを学習している。学校によっては「国防」という科目があり(!)、インターネットセキュリティ、サイバーディフェンス、ハッキングなどを学ぶのだとか。 ITスキルを養うことだけでなく、プログラミングを通してロジカル・シンキングを学ぶことにも重点を置いているという。(※2)

ちなみに、エストニアは2018年のPISAランキング(主に15歳以上の子どもを対象とした学習到達度調査)で、欧州一位を獲得。教育大国として注目されるフィンランドを上回る結果を記録している。(PISAの結果をどう見るかは議論が必要だと思いますが)

2015年からは、教育の電子化の取り組みとして、中学生のテクノロジーやビジネスに関する学習を助けるプラットフォーム「Eesti 2.0」の提供を開始。生徒は興味のある分野に応じて、オンライン学習リソースを視聴・共有したり、外部の専門家に相談したり、学校外の同世代の子供たちと交流し、アドバイスを得ることができる。この仕組みはビジネスやテクノロジーの現場を知らない教師のギャップを埋める機会として評価されているそうだ。(※3)

日本でも使えそうなサービス二つ(幼稚園〜小学校低学年の目線から)

私も数年前エストニア発スタートアップTransferWiseの日本支社のお手伝いをさせていただいたことがあり、その革新的な思想に触れたことで同国の教育に興味を持っていた。今回のニュースをみて、早速、提供されているツールをいくつか試してみることに。小一の子どもにも試してみてもらったところ、直感的にプレイできて、かなり長期間ハマったものがあるので、二つ紹介しようと思う。

Bit by Bit

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copyright: Rikai games

URL: https://rrrebane.github.io/BitByBit/(うまく飛べない時は、上のキャプチャ画像をクリックすると飛びます)

カテゴリ:プログラミング
対象:幼稚園〜小学生
費用:無料
言語:ニュートラル(依存言語なし)

Bit by Bitは、勉強している感覚なしにプログラミングのコアコンセプトに触れられる、楽しいパズルゲーム。プログラミングの勉強を始める前に、「プログラミングとは何か?」を直感的に体感できる。アプリなどをダウンロードする必要はなく、ブラウザでプレイできる。

<使い方など>
キャラクターが進む先に、行き先変更の指示をするコマを置き、ゴールに導くゲーム。最初は矢印ボタンのみだが、ステージが上がるごとにジャンプボタンやキャラクターの色変更をするボタンなど、指示するコマが増え、複雑になっていく。
言葉は全く出てこず、直感的に取り組めるようになっている。(ただ、最初は親がルールを説明する必要があるかもしれない。)すぐに答えがわからなくても、動かしてみながらうまくいかない部分を切り出し、「こうかな?」と何度も試行錯誤できる。とてもシンプルだけど(だから?)夢中になる。しかも、12個のゲーム×4ステージ=48ゲームが無料で楽しめる。大人がやっても頭の体操になって楽しい。

Big Ear - Play with Music!

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copyright: Big Ear Games

URL: https://www.bigeargames.com/

カテゴリ:音楽
対象:小学生以上誰でも(All school levels)
費用:無料(アプリ内課金あり)
言語:英語(操作に慣れれば、言語に依存することなくプレイ可能)

遊んでいるうちに、音楽を楽しく学べるアプリ。メロディー、コード、リズムといった音楽の仕組みを直感的に理解できる。
学べること:リズム・バスライン・メロディー・ハーモニー・歌
扱っているジャンル:ポップ・ロック・クラシック・ユニバーサル・エレクトロニック
ゲームに出てくるキャラクター:Sticky(ドラム)、Bossy(バス)、Finga(ピアノ、キーボード)、Kitaro(ギター)、Okto(マリンバ)など
よく知られている有名な曲の数々が収録されている。

<使い方など>
音楽を聞いて、聞こえた音と同じ音のブロックを、該当箇所にあてはめていくゲーム。課題をクリアするごとにポイントが貯まり、新しい楽器を購入でき、新しいモードが開示できる。自分でオリジナルの曲を作れる作曲モードもある。
最初にGame Centerで登録すると、知らない人や友達とつながれるが、我が家は設定せずスキップ。ポイントを貯めて、それを充填していけば、課金することなく延々と楽しめる。(広告動画をみるとポイントを貯められる機能があることに、子どもが気づく。アプリを開くたびに広告を見て稼いでいる)

使ってみての感想

どちらも、とにかく作りがシンプルで、あまり言語に依存せず直感的に操作できる。プログラミングや音楽のコアコンセプトを学んでいるんだけど、本当に遊んでいる感覚。知らず知らずのうちに学んでいた、という感じ。そして、大人がやっても楽しい。(その道の人にとっては物足りないかもしれない)

最初こそ子どもの横について説明していたけれど、そのうち子どもの方がやり方や様々な機能をマスターし、自分なりの活用方法を見出す。使い始めて一ヶ月になるけれど、子どもはいまだにゲームにハマっている。最近では、Bie Earを使ってゼロから作曲をし、曲のイメージにあうタイトルを考えるなど、どんどん遊び方が広がっている様子。(マリンバ二台とボンゴ?、シンセサイザーとキーボードを使って「森の大冒険」という曲を作曲したり、「自由の世界」という曲を作曲したり)

日本や他の国にも似たようなアプリがあるかもしれないけれど、子どもが学んでいく様子が面白かったので、ご紹介でした。

なお、Education Nationのサイトには、他にも年齢層が高い子ども向けのサービスや、学校の先生向けのツールなど、数多くのソリューションが紹介されている。合わせて、サービスの使い方をレクチャーするwebinarも多数開催中。休校期間に合わせた期間限定の無償提供となっているので、もし気になったら、ぜひこちらのサイトを覗いて試してみてください。


本文中の出典情報
※1. Education Nation https://www.facebook.com/Education-Nation-112419100228350/
※2. STARTUP DB「『起業率欧州No.3』スタートアップを生み出す電子国家エストニア」https://media.startup-db.com/research/estonia(最終アクセス2020年4月25日)
※3. AMP「ヨーロッパ学力一位、教育電子化を大胆に進めるエストニアに見る未来の教育」https://amp.review/2020/01/19/future-education/(最終アクセス2020年4月25日)


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リコー、ベネッセを経て出産を機にフリーランスに。スウェーデン留学していた縁で、現在は北欧関連事業の日本展開を支援しつつ、北欧の教育や働き方を探究中。(株)ノルディック・インスピレーション代表/北欧の教育・学びLilla Turen主宰/書籍「ぼくが小さなプライド・パレード」訳者
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