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漫画や小説でよくある心臓が止まるという事を「実際に心停止した」ライターが体験談を書いてみた

 漫画や小説で見かける表現の一つ「心臓が止まる」というものがあります。驚いた時や、何かの事象があり、弱っていく表現等、様々な場面で用いられる表現の一つになっています。

 本稿では、実際に2度心停止を起こし、AEDのお世話になった筆者が、実際に起きた経験と自分の感覚を元に、体験談を書いていこうと思います。

「心停止」は実は心臓は止まっていない

 まず、大半の人が勘違いしている事なのですが、「心停止」は、正確には心臓が完全に動かないというものではないのです。実は少しは動いているけど、身体全体に血液を送ることが出来ない状態の事を指します。

 その為、実は心臓が完全に止まるという意味では、経験をした事はなく、その直前という状態にはなりますので、少しだけ表現が違うかもしれません。その点はご了承ください。

なぜ「心停止」を起こしたのか

 そもそも筆者が、何故心停止を起こしたのかというと、生まれつき血栓が出来やすい体質で、数年に1度入院して身体のどこかに血栓がないか確認している程です。2022年6月の現在、ピンポン玉より一回り大きいサイズの血栓が心臓の中に埋まっているという状態になっています。そんな状態が頻繁に起こればそれは心臓が止まりもするわ。と半ば諦めた状態になっています。

 そんな中、心停止を起こした1回目は、なんと手術中でした。当時、カテーテル手術を行なっていて、部分麻酔をして、心臓の近くの血管に、ステントという細い血管を広げる部品を取り付ける作業をしている最中でした。

 ステントを入れるためのカテーテルという管を腕の動脈から心臓に通してる際、自分の体内からシュルシュルと何かが通っている音が聞こえてきて、ゾワゾワした記憶があります。

心臓が止まる瞬間

 その時、肩から胸に差し掛かる辺りで「コツン」という固い何かがぶつかったような音が体の中から聞こえてきました。それは、血管の中を管が通ってるはずなのに、骨にぶつかったのかなと勘違いする程の甲高い音でした。それを聞いて数秒、今度は心臓がドクンと跳ねました。何が起きたか分からず、混乱していると、不思議な感覚が芽生えてきました。なんと、呼吸をしても頭に酸素が回らず、まるで山頂で呼吸しているような感じになりました。そして、締め付ける様な胸の痛みが後から襲ってきて、普通の汗とは違う、さらさらした水のような汗、冷や汗が出てきました。

止まった後の対応 我ながら余裕あるなと


 私は直感的に、これが心臓が止まるという事か…と感じて、目の前にいるお医者さんに「あ、あの……心臓……止まった気がします」と素っ頓狂な事を言ってしまいました。そんな私の話を聞いてか聞かずか、その時にはAEDが準備されていて、使う直前になってました。落ち着いてくださいと言われていました。AEDが、使用されたとき、静電気が胸のあたりを通る痛みがありました。そしてその痛みが2回起きたタイミングで心臓が動き出したのか、呼吸して頭に酸素が回ってきた感じがしました。その後、無事手術が終わり、安心しました。

恥ずかしくて書けない様な後遺症

 その後、AEDの痕がとてもヒリヒリしていました。なんでだろうなぁと思いつつ胸の部分を触っていたら、少しあった胸毛がチリチリになっていました。胸毛が焦げていたのです。医者にそんな事相談するのも恥ずかしく、命が助かったのもあるので、言い出せなかったです。

 毛の処理をしていないと、痛い目見るぞ、本当に……心停止という体験は滅多に出来るものでもないし、出来るなら体験したくないです。こういった私の体験が、創作の役に立てればなと思います。もう1つの体験談は次の機会に書いていこうと思います。

 注意 この体験談はあくまで手術中であり、医師の判断で行なったものなのであり、通常は意識があるところでは行わないのが普通です。実際、私がされたもう一つの体験は、意識がなかったので、直前の事までしか書けないですし

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