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人道法と戦争法

戦争はしないのが一番よい。第一次世界大戦と第二次世界大戦は何千万という単位の死者を出した。戦後でも朝鮮半島、カンボジア、ベトナム、エチオピア、ルワンダをはじめ、百万人以上の死者を出した紛争は9を数える[1]。国際法を整えれば、これらの死者をどのくらい減らせるであろう?

武力紛争をめぐる国際法が本領を発揮するには、いくつものハードルがある。問題の行為を違法とする条約がない、とか、管轄権が否定されて裁判が行われない、といったものが代表的なハードルである。これらを克服して、国際法が整備されても、犠牲者がなくなるわけでない。確かに、戦争は「クリーン」になっていくかもしれないが、それゆえに、戦場の悲惨さに鈍感になってしまうおそれもある。

とはいえ、戦争の犠牲を小さくしたい、という願望は理解できる。今回のテーマは、人道法と戦争法がいかに発達してきたか述べなさい、である。

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