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実証主義、批判理論、ポストモダン

国際政治学とは、諸国民間における力と平和を求める闘争に関する研究である。モーゲンソー流に言うとこのようになる。その一方で、こうした定義はしばしば批判されてきた。なぜ、人々の幸福なり、ウェルビーイングなりを研究の対象としないのか? 確かに、21世紀の現在、高まっている持続可能な開発目標(SDGs)に対する注目にはそうした問題意識が反映されている。

今回のテーマは、実証主義とポスト実証主義の間の方法論上の論争が、国際政治学においてどのような意義を持ったかを説明しなさい、である。はじめに言葉ありき、というが、科学は人間が言葉を使って作り出したものである。言葉を使わずに真理を探究できるのか?、という哲学的な問題に筆者は立ち入るつもりはない。が、言葉を使うがゆえに真理が逆に混乱して理解されることはある。

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