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ベトナム戦争

なぜ、アメリカ合衆国はベトナムに介入したのか? その説明の一つがドミノ理論である。1954年、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領は次の発言をした。

いわゆる“ドミノ倒し”の原理は知っているだろう。ここに一列に並べたドミノがある。最初のを倒せば、最後のまでどうなるかははっきりしている。あっという間に倒れていくのだ。―中略―したがって[ベトナムを]失うことになれば、自由世界には計り知れない打撃となる[1]。

共産主義の波は北ベトナムまで南下していた。南ベトナムに防波堤を築いて、その洪水を防ぐことが必要である、と大統領は考えた。当時、終わったばかりの朝鮮戦争では、半島の真ん中で共産主義の波を止めることに成功した。終わってみると、南ベトナムのサイゴンは波に飲み込まれ、カンボジアとラオスまで共産化してしまった。この結末からアメリカ合衆国は何を学んだのか? 今回のテーマは、ベトナム戦争の結末とキッシンジャー外交の関係について論じなさい、である。

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