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核軍縮・軍備管理レジーム

唯一の被爆国である日本は核軍縮から腰が引けていて、「究極的廃絶」とか、「現実的かつ漸進的なアプローチ」とか、「実際的かつ効果的な措置」とか唱えている。一歩ずつ進んでいこう、という趣旨であろうが、日暮れて途遠し、の喩えがあるように、ゴールにたどり着くかさえ疑わしい。その点では、アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領が唱えた「核兵器のない世界」も大差なかった。日米の核軍縮政策の実態は、廃絶でも虐殺でもなく、「核兵器とともに生きる」といったところである[1]。

これに対し、冷戦後、核軍縮が進まないことにしびれを切らし、核保有国に廃絶を実行するよう要求した諸国は新アジェンダ連合と称した。ブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、ニュージーランド、スロベニア、南アフリカ、そしてスウェーデンがそれであるが、スロベニアとスウェーデンは抜けてしまった。

今回のテーマは、核兵器廃絶と既存の軍縮・軍備管理レジームとの関係について論じなさい、である。それらのレジームがすべて前進すればいつか廃絶は可能かもしれない、と希望を抱かせる。しかし、歴史が教えたことはこれまでの道のりの困難と、持ち続けたい核保有国の執念であった。

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