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思考地図とは?

思考地図とは?
そもそもどんな機能で、他の図解と何が違うのか、何ができるのか、何はできないのか、などなど「思考地図」の基本的な機能と構造を解説していきたいと思います。

先ず、思考地図は”思考"とあるので、なにがしか頭で考えることを対象としていることと同時に、”地図”とあるので、空間に建物や自然などを配置した地図と同じ、空間に配置したものだろうと、多くの方は察しはついておられるでしょう。その通りで、思考していることを地図的に記述する方法を指しています。そうです、地図的な思考方法の事です。一般的に文章表現が上手な人は、ここで取り上げている地図的な思考方法など必要ないと考えられるところでしょうが、思考地図型の文章表現力を身につけると、何頁にも渡って解説しなければ伝わらないことが、一つの思考地図だけでシンプルに伝える事ができるようになります。さらに言えば、巧みな文章表現でも叶わない深く含蓄の有る概念を、一つの思考地図に集約することだってできます。その文章力に勝る概念記述方法を身につけるのは、多くの経験を踏まえなければなりませんが、そんな見事な思考地図づくりへ誘うための初めの一歩を段階を追って説明していくことにしたいと思います。

図解としての思考地図

一般的なビジネス文書には、説明のための文章と一緒に文書を分かりやすくするための図解が加えられる場合が多くみられます。下の図は、一般的に図解と称する代表的な表現を洗い出し、2軸座標を考察しながら代表的図解を分類してみたマップで、思考地図もその中に位置づけることができます。(と同時にこの俯瞰図は思考地図そのものでもあります)

図解のマップ

思考地図と読んでいるのは、左下の「マップ:2軸の相関から対比的に配置するマップ」に該当する図解です。タテ軸とヨコ軸が直交した無限大空間で、いわゆる道路地図などのリアルな空間マップと基本的に同じです。違うのは、リアルな現実世界ではなく、言葉やイメージといった情報世界を描いているところです。
また隣に有るマトリックスとは2軸の座標を持つという意味で同類です。よって、マトリックスの縦軸×横軸が2×2の場合はマップと同で、縦軸又は横軸を3つ以上に分割した場合はマトリックスになります。(このマップとマトリックスの捉え方は応用編として、別の機会にコメントしていきたいと思います)

以上が左下象限のマップとマトリックスの特徴ですが、図解のマップ全体を解説していきましょう。

図解マップのタテ軸とヨコ軸について

タテ軸の序列と座標について。
序列は、図解で表現していることが順序や階層、流れといった序列の関係性を表現しようとしているのに対して、座標は、図解している表現物にベースとなる共通座標を持っている、という違いがタテ軸です。

ヨコ軸の配置と変化について。
配置は、隣接との配置関係のなかに意味や価値を表現しようとしているのに対して、右の変化は、矢印や数値、大小といった方法によって変化、変異していく動きを表現しようとしている、という違いがヨコ軸です。

以上のタテとヨコの2軸平面上に代表的図解8種類をプロットしたのが上記図解マップです。この図解マップにプロットした図解は8種類で、上記の2軸で構成した4象限に配置していますので4種類の図解というくくりかたもできます。このマップに辿り着く前は四つの象限、すなわち4種類の図解のマップを検討していたのですが、座標の言葉と図解の分類が上手く組みたてられなくて、4つから8つに分けてみると座標軸との相性も良くなり、上記マップとなりました。以下に検討した残骸をいくつか並べておきます。

図解の選択

「図解」と呼称している範囲はどんなものかをGoogle検索してみると様々な図解が一覧表示されますが、上記の図解マップから除外された図解がいくつかあります。たとえば、意味や概念を伝えるための「アイコン」や「イラスト」などは、ビジネス文書でもよく見かけますし、図解とは?の解説本でもよく扱われます。今回そのアイコンやイラストを除外したのは、この図解マップで集めた8種類の表現を複合した表現が可能だからです。マップに入れるとしたら、2軸座標のどれでも表現可能なので、中央にプロット(配置)することも可能だし、表現次第ではどの象限にも該当することも可能だ、という万能性を持ち、ここで扱うマップとは別次元の機能性を持っているため、ある意味文言:テキストと同じ表現媒体と言えるからです。。

もう一つ除外した図解に「表」が有ります。テーブルと表記される場合も有ります。Excelなどのスプレッドシートや見積書などのいわゆる帳票類はこの表に入ります。そしてもうお気づきのように、この表はマトリックスと同じものでも有ります。どちらもベースにタテとヨコの2軸を持ち、タテ、ヨコ両方への項目の数を自在にセットし全体として完結した書式を持つことができます。では何故マトリックスとして、表としなかったのか。理由は下記ChatGPTの回答が秀逸だったので、そのまま掲載します。
「マトリックス」は複雑なデータや概念を多次元的に分析・整理する際に用いられることが多く、組織構造やビジネスモデルなど特定のフレームワークと結びついている場合が多いです。一方、「表:テーブル」は情報を体系的に整理し、視覚的に提示するためのより一般的なツールとして使用されます。
要するに表:テーブルという表現は情報整理ツールの概念で一般的に広く利用されていて、図解の中で捉えようとした場合は、情報の構成の仕方やモデル化の検討の意味合いがでてくる「マトリックス」とするのが適している、と考えたからです。
(実に面倒くさいことを考えているように思われる方もいるかもしれませんが、思考地図としての完成度のためにこうした言葉の意味定義を厳密化していくべき、という指向性を大事にしていきたいと考えるからです。だからといって、思考地図全域でみれば、そんな厳密さなど絵に描いたもちでは有りますが、、、)

図解としての思考地図について

思考地図とは?を考える上で、ここでは図解としてのマップから考察を始めました。図解の中での役割機能として、「座標」を持たせて「配置」に意味を組み込む、という機能が、他の図解とは異なることだというのが分かりました。

では「座標」をもつという特徴は何でしょうか。
座標を持つことの特徴は、座標を持たない図解と比較して見ると良く分かります。たとえば、思考地図に似た表現として「マインドマップ」という思考法が有名です。そのマインドマップは、自分のイメージを中心に放射状に発想を描いていく図解表現技法で、頭の中にある複雑な概念をコンパクトに且つ素早く描ける、という特徴を持っています。思うままに書きだしていきますので、発想の自由度が高いためクリエイティブ現場ではそれなりの創造性に役立っていると思いますが、「座標」は持っていません。その座標を持たないことが自由度を高くさせているのですが、座標がないため、他者がそのマインドマップを解読していくのは困難です。ほぼブレーンストーミングで自由発想する方法と等しいと思います。
そして「座標」を持たないということは、記述していく時にも「配置」に対しても制約が無いため、ある意味アートに近い表現と言えるかもしれません。

マインドマップ

しかし図解で扱う「マップ」は、思考の「座標」を持つこと、そしてその座標に沿う形で、且つプロットする文字やイメージなどコンテンツ同士の隣接性、すなわち「配置」に意味を込めていくことが「マップ」に内在する大事な機能だということが言えます。
「座標」を持つ別の図解にグラフが有りますが、グラフの座標は数値という仕組みを背景にしていますから、表現される図解ではその数値、もしくは座標軸が持つスケール(尺度)との関係が読み取れる、という合理的な機能があります。そうした数値という座標のルールは「マップ」にはありませんが、配置される文言やイメージが背景として持っている意味と、座標が持っている意味との整合性が「配置」で考えることの基準なります。よって、プロットされる文字やイメージの意味、そして背景となる「座標」の持つ意味に、ある程度の厳密さが求められます。

こう書いていると、私の文言に対する力量が問われますが、プロフィールにも書きましたが、所詮は絵を描くことを商売にしたくてデザイナーを選び、そのデザインを説得していくために始めた思考地図ですので、文字で書くほどには厳密さを気にはしていません。大事な事は俯瞰的に眺めた時のバランスが大事だと思っています。そして何より、思考地図という融通無碍な思考支援のツールを自分のものにすることで、思考が枯れるということから無縁となり、あらゆる分野を横断して俯瞰していける如意棒のような思考のツールを紹介していけることに、感謝をしております。そんな如意棒の実践事例をこの先紹介していきたいと思っています。

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