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日本理学療法士協会の新生涯学習制度について⑦ ~登録理学療法士の更新について~

こんにちは、理学療法士いくちゃんです。

前回は登録理学療法士にできることについてまとめてみました。
今回は登録理学療法士の更新についてまとめてみようと思います。

お時間があれば最後まで読んでいただけると幸いです。

新生涯学習制度イメージ図

登録理学療法士の更新とは

 日本理学療法士協会としては、卒後5年間を義務教育的に位置づけとして、様々な障害像に対応できる能力を有する「ジェネラリスト」の育成を目指しており、「登録理学療法士」がこれにあたります。

 そして「登録理学療法士」を取得して終わりではなく、さらに一定基準を設けて5年ごとに更新することを明確化しています。

 これにより、生涯にわたる知識・技術の維持と更新を促進し、社会に対する理学療法士の質の担保を図ろうとしているのだと考えられます。

 では、どのようにして登録理学療法士資格を更新していくのでしょうか。

登録理学療法士の更新要件

 登録理学療法士の更新要件には大きく2つあり、そのどちらも満たすことで自動的に更新されるシステムになっているようです。

 その更新要件というのが以下の2つです。

 【要件1】ポイントの取得(50ポイント)※1時間=1ポイント
 【要件2】更新時研修の受講


 ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。

【要件1】ポイントの取得

 まずは「ポイントの取得」です。 

 登録理学療法士の認定期間である5年の間に50ポイントを取得することが要件となります。 

 ちなみにポイント付与率については1時間の学習あたり1ポイント付与されることが基準とされています(最低基準は30分=0.5ポイント)。 

 つまり、日本理学療法士協会は登録理学療法士に概ね5年間で50時間以上の学習を求めているということになります。 


 具体的なポイント取得方法は以下の5つの方法が基本となります。

1、「JPTA NEWS」等を利用した問題回答

 1つ目は、「JPTA NEWS」等を利用した問題回答です。

 日本理学療法士協会は、会員に対して定期的に「JPTA NEWS」等の機関誌を発行しています。

 その機関誌の内容から毎号5問程度の問題を出題し、マイページ上で回答することでポイントが付与されるようです。

 ポイント付与率は、その号のすべての問題を回答することで1ポイント付与されるようです。

 現在のところ「JPTA NEWS」は年6回ほど発行されているため、現在のペースで発行されれば1年に6ポイント獲得することが可能ということになります。

 また、「JPTA NEWS」のほかにも機関誌が発行される可能性もあるため、もし発行されればより多くのポイントを獲得することができそうです。

2、日本理学療法士協会のeラーニングによる受講

 2つ目は、日本理学療法士協会のeラーニングによる受講です。

 日本理学療法士協会が運用するeラーニングを視聴し、視聴後の確認テストに合格することでポイントが付与されます。

 ポイント付与率は、学習時間30分あたり0.5ポイントです。

 つまり、4時間のeラーニングであれば4ポイント、1時間30分のeラーニングであれば1.5ポイント獲得できるというわけです。

3、研修会・講演会・ワークショップ等の受講

 3つ目は、研修会・講演会・ワークショップ等の受講です。

 日本理学療法士協会・都道府県士会・ブロック協議会が主催のものだけではなく、登録理学療法士が都道府県士会に申請して承認を得た会員所属施設主催の研修会も対象となります。

 ポイント付与率は、eラーニングと同様で学習時間30分あたり0.5ポイントです。

4、学会への参加

 4つ目が学会への参加です。

 都道府県士会・ブロック協議会・日本理学療法学会連合の会員団体がそれぞれ主催する学会に参加することでポイントが付与されます。

 ポイント付与率は、eラーニングや研修会と同様で学習時間30分あたり0.5ポイントですが、学会の場合は学会開始時間から終了時刻までの時間数が学習時間となるようです。

〔補足〕カリキュラムコードについて

 上記で説明した4つの学習方法には、それぞれカリキュラムコードというものが設定されています。

 カリキュラムコードとは、例えば「関節可動域障害」「呼吸理学療法」「社会参加」「地域包括ケアシステム」といった具合に、その学習の内容に合わせた分類のようなもののことです。

 今のところ14の区分で170コードに分類されているようです。

 登録理学療法士更新においてどのコードをどの程度以上取得しなければならないというような要件は無いようなので、あくまでも学習を選択する際の目次みたいな解釈でよいのではないかと思われます。

5、雑誌投稿での取得

 最後5つ目は、雑誌投稿での取得です。

 これは日本理学療法士協会および都道府県士会が発行する広報誌等(学術雑誌は除く)への投稿や執筆をすることでポイントが付与されます。

 ポイント付与率は1回につき1ポイントです(更新に利用できるポイントは、1年あたり上限5ポイント)



 上記の5つの方法を駆使して、5年間で50ポイントを獲得することが更新要件のひとつとなります。

【要件2】更新時研修の受講

 もうひとつの登録理学療法士更新のための要件は、更新時研修の受講です。

 この研修は日本理学療法士協会の重点課題に基づいた内容が設定されており、最新の知見や動向等に関する研修のようです。

 また、この研修は登録理学療法士を取得して5年目に受講する必要があります。

 つまり、例えば2022年度に登録理学療法士を取得した場合には2026年度に受講する必要があり、それ以前に受講することができないというわけです。

 受講方法は2つあり、日本理学療法学術研修大会での対面研修もしくはeラーニングにて受講する必要があります。

 受講料はどちらも2,000円(税抜)を予定しており、eラーニングについては当該年度の9月1日~12月31日(予定)までに受講する必要があるようです。

更新未完了者への措置

 日本理学療法士協会に理学療法士の継続的な学習を促進する狙いがあり、更新までに5年という期間を設けています。

 何かしらの理由で指定期限までに更新要件を満たすことができない会員も出てくると思います

 そのような会員のために日本理学療法士協会は以下のような猶予措置を設けているようです。

【条件】

 6年目の指定期間内(当該年度の12月末日まで)に更新要件および下記の追加要件をすべて満たすこと。

追加要件1:日本理学療法学術研修大会への参加
追加要件2:ブロックでの学術大会・学術集会参加もしくは都道府県理学療法士学会・学術集会参加
※所属都道府県士会に関わらずどのブロック・都道府県士会への参加でもよい。

 以上のような要件を満たすことで登録理学療法士の更新ができるというシステムです。

 しかし、もし猶予期間内に要件を満たせなかった場合には、登録理学療法士を失効し、前期研修からの履修やり直しとなるようです。

私が個人的におすすめする方法

 登録理学療法士の更新要件について説明してきましたが、私が個人的におすすめの受講方法は以下の通りです。

 1、「JPTA NEWS」等を利用した問題を毎号回答する
 2、都道府県士会主催の学会にできるだけ毎年参加する
 3、更新時研修はeラーニングで受講する


 この3つを実施することで、5年間で50ポイントというのは余裕をもって達成できるのではないかと思います。

 特に都道府県主催の学会では、参加者の受講時間に関わらず「学会開始時間から終了時刻までの時間数が学習時間となる」と明記されています。

 そのため、自分の聞きたい講演や演題を聴講(場合によってはディスカッション)し、会場で会った知り合いに挨拶してまわって、それらが済んだら帰宅することも可能なため、コストパフォーマンスとしてはとても良いと思われます。

 普段の業務やプライベートで忙しい方が多いため、できるだけ負担が軽い方法で成果が上がるといいなと思います。

 興味があれば試してみてください。

まとめ

 今回は登録理学療法士の更新について説明しました。 

 日本理学療法士協会が、登録理学療法士制度を更新制とすることで、理学療法士の継続的な自己学習・自己研鑽を後押しし、生涯学習の土台を築けるように本気で促していることを感じました。

 特に更新要件を猶予期間までに満たせなかった場合、前期研修から履修やり直しというのは、なかなか厳しい措置であり、日本理学療法士協会の本気を感じました。

 しかし、それと同時に理学療法士の中でやる人とやらない人との格差が拡がっていくのではないかとも感じました。

 特に2028年度には登録理学療法士の失効者が一定数出てしまいそうな気がします。

 そうなったときに、日本理学療法士協会が職能団体として、どのようなあり方を示していくことが今後も注目ポイントかなと感じています。

 皆さんはどのように感じましたか。

 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。