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生まれ変わったら…

 silentの最終話を見た。
 夏帆ちゃん演じる女の子が、男性に花束を渡した。そして全く屈託のない笑顔で、お返しが欲しい、と言った。ハンドバッグがいい、と言うと男性はにっこりと微笑んでうなずいた。
 それを見て思わず「いいなー」とつぶやいてしまった。

 前にも書いたが、私は好きな人にお誕生日プレゼントを要求され、喜び勇んでお渡しし、お返しに私のお誕生日にメールが欲しいと伝えたらスルーされた、モテない女である。もちろんカードもプレゼントももらっていない。
 そうか、可愛い女の子は、気まぐれに花を買って渡したら、お返しにハンドバッグもらえたりするのか(自分とは程遠い世界過ぎて、ドラマと現実の区別がついていないことについては悪しからずご了承頂きたい)。ハンドバッグがおいくら万円か知らないが、花束よりはぐんとお高いことであろう。きっと夏帆ちゃんになら、男性陣は喜んでプレゼントするんだろう。寒い日に缶コーヒーを男性に差し入れしたら、ドンペリをお返しにもらった、なんて話も聞いたことがある。世はクリスマス、こんな割に合わない物々交換がそこかしこで繰り広げられているんだろう。
 一人だけ私のお誕生日にハンドクリームをくれた男性がいた。とても嬉しかったが、彼にはご飯をご馳走してあげたり、手作りのお菓子や調味料を差し上げたり(おかわりまで要求されたり)と年間の収支は全く釣り合っていない状況であった。なので、お誕生日プレゼントはもらいっぱなしでいいのかなぁーと思っていたら、「僕のお誕生日にはビーフシチューを作って下さい」と言われた。彼は実家から出たことのない人なので、手料理=タダと思っているきらいがあるが、ビーフシチューはハンドクリーム代では作れないし、手間も暇もハンドクリームを買う比ではない。試しにクリスマスプレゼントが欲しいと言ってみたところ、おにぎりせんべいならあげる、と言われた。
 恋愛カースト最底辺の女などお誕生日でもクリスマスでもこんな扱いである。あれ?ちょっと鬱っぽい?

 マリアージュフレール(お気に入りの紅茶屋さん。紅茶もフードもとってもいいお値段がする)でアイスのマルコポーロを飲み、絶品タルトタタンを食べながら、さめざめといかに自分が不幸な境遇にいるかをお友だちに語っていたところ(お友だちも下らない話を聞かされて大迷惑である)、彼女は大笑いをしながら、「Ikumiちゃん、欲しいものなら自分で買えるじゃない。それってとても恵まれていることでしょ」と言った。「ご主人も子どももいなくて、夢見ていた未来とは違うかも知れないけど、病気があってもちゃんと働く場所があって、セルフバースデープレゼントもセルフクリスマスプレゼントもたくさん買っているじゃない。何ならお父様におねだりも出来るでしょう?それってとっても有難いことだよ」

 彼女の言ったことを聞いて思い出した話がある。
 大昔、塾講師をしていた私が、生徒に「生まれ変わったら〇〇さんみたいな美人で優しい性格の人になりたいなー」と発言したところ、生徒がこう言った。
「もしかしたら、前世〇〇さんみたいだった先生が、今度は今の先生みたいに生まれ変わりたいと思ったのかも知れませんよ。あの人みたいになりたいなー、この人みたいになりたいなーじゃなくて、今の先生で良かったと思って生きていって欲しいなー」
 生徒の方がずっと大人で立派であるワケだが、今の私で良かった、恵まれていて有難いと思いながら生きていく、は来年の目標として持ち越したい。


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