【朗読】大人向け読み聞かせ『久坂葉子/愛撫』

思わずストーリーの中のパラレルワールドに迷い込んだような感覚になった作品です。
朗読させていただきながら、私の体験であるかのような錯覚に触れました。
少し前にアップした動画ですが、改めて!

〜あらすじ〜
「私」は恋ではないと思いながら、教授に誘われるまま研究室に出入りしていた。教授は妻があるが、ドンファンと呼ばれるほど、これまでにも複数の女性と関係しているらしい。
その女性達とは違う立場でいるためにも、教授に弄ばれて捨てられることにならないためにも、ある日「私」は自分から別れを告げることにした。しかし、別れを告げておきながら、翌る日から教授からの電話を待つ「私」がいることに気付く。時間だけが過ぎていき、たまらずに「私」から電話をかけてみると、他所行きの言葉で「忙しいから」と断られてしまう。
そして、「私」は初めて、自分が彼を本気で好きであったことに気がつくのであった。

『久坂葉子という作家について』
久坂葉子という作家を知って、その作風にすっかり魅了されました。

川崎重工の創始者の曽孫。男爵家の令嬢であり作家以外にも絵や音楽など芸術的な才能に恵まれ、十九歳で芥川賞の候補。さらに美しい容姿でありましたが、二十一歳の大晦日、阪急六甲駅で自ら世を去った人、、。
そして何よりも、天から稀有な才能を与えられた人、、。
久坂葉子は他に例のないほどに妖しいのです。
『妖しい』という言葉は非常に不明瞭ですが、何故だか私は彼女の作品に触れた途端にいつも別の次元に連れて行かれます。そして、そこで違う私を見つけるのです。それが楽しくてワクワクしながら読ませていただいています。それは稀有なことでやはり妖しいのです。

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