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ミルク、パスタ、夜間マラソンの哲学

 パスタとジャズ、それにミルク。人生ってなんて不可解な連続なんだろう。今日も検査の結果が入ってきた。進展は微々たるもの。医者の言葉を聞くと、ジャズの曲みたいだ。進行があってないような、楽しさと不安が混在するような。

 「栄養がまだ足りない」という一文に目が留まる。一歩ずつ、僕たちは前を向く。ミルクの濃度が平常に戻る日を心から願いつつ。

 妻はちょっぴり不満そうだった。"もしかして、私、信用ないのかな?" そう言って眉をひそめる。確かに、僕の自家製パスタがプロのシェフに預けられたら、僕も少し悔しくなるかも。だって、サルサソースとペペロンチーノの微妙なバランス、それが僕のスパゲッティの魅力なんだから。

 だけど、今は妻の体調が第一。もしプロの手に委ねることで、妻が少しでも楽になるのなら、それが最良の選択だ。そう考えると、息子が夜中に看護師さんたちと何をしているのか、少し興味が湧いてくる。もしかしたら、真夜中のジャズセッションかもしれない。看護師さんがトランペットを吹き、息子は小さなドラムを叩く。何だかそれが目に浮かんで、ほんわかした気持ちになる。

 ミルクの量が減って、その代わりに回数が増えた。夜の授乳は、24時間マラソンみたいに大変だけれど、それが今の僕たちのリアル。それに、マラソンだって最後にはゴールがある。今はその途中、水分補給のミルクで力をつけ、最後のゴールに向かって一歩一歩前進するしかない。

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