あのとき本当に伝えたかったことは、何だったんだろう?
「ねえ、先生の授業つまらない」
今でも忘れない、教員1年目のある日、生徒にかけられた言葉。
放課後、家庭科準備室に入ってきた彼女。担任をもっている常勤の先生にお話に来たのかと思っていたら、私の方に来て、突然、この言葉を投げかけてきました…
もし生徒にこの言葉をかけられたら、あなただったら、何を考え、どんな言葉をかけるでしょうか?
当時の私は…1年目だったこともあり、「そうなの?どんな授業をしてほいしんだろ?」とものすごくドキドキしながら話を聞き、その後、今まで以上に授業の工夫を重ねていきました。
そしてその後、彼女は、再び同じことを私に伝えることはありませんでした…
なぜこれ以来、彼女がその話に触れなかったのか。その真意は今になってはわかりませんが。
…ただ、実はこのときとても大切なことを見逃してしまっていたということを、コミュニケーションを学んだ後に気がつき、私はゾッとしたんです。
彼女の伝えたかったことは
本当に私の授業を改善させることだったの…?
放課後という時間帯。家庭科室の友達に会いに来たのは偶然だとしても、わざわざ家庭科準備室に入ってきて、授業でしか関わりのない私に、面と向かって「つまらない」と伝える…
それって、実はとても勇気のいることだと思うんです。
もしかして、彼女はあの時、「つまらない」という言葉を使って、別のメッセージを私に伝えたかったのかもしれない…
コーチングを学んでしばらくした頃、ふと、この時の自分の対応を思い出して、大きな衝撃を受けました。
林友香プロフェッショナルコーチも、著者「リーダーを目覚めさせるKILLER QUESTION」で述べていますが、
人は、簡単に嘘をつきます。
そしてそれは、相手に対して嘘をつくだけではなく、時に自分に対しても・・・
そしてそれは「嘘」という形ではなく、「違う言葉で伝えてみる」という形であらわれることもあります。
でも…それは決して悪いこととは限らなくて。大切な何があるからこそ、それを大切にしていきたいからこその行動だったりもします。
どうでしょう。もしかしてそんな経験、あなたにもありませんか?
だからこそ、私たちエデュケーショナルコーチは、その人が「何と言ったか」ではなく、「何を伝えようとしているのか」をいつも感じながら、人と関わっています。
あの時、彼女は、新任ホヤホヤで非常勤という身分の私に、何を伝えたかったのか…
10年経った今でも、考えています。
その子はなぜ、「今」「あなたに」その声をかけたのだと思いますか?
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