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【教育】療育手帳のあるお子さんの中学卒業後の進路について(大阪の場合)


こんにちは。元教員のあかんたれです。
知的障害支援学校、高等支援学校、高等学校の教員をしていました。支援教育の指導教諭として、研修会や巡回相談もさせていただいていました。そして、ASDの息子の母でもあります。

今回は、「療育手帳」を持っておられるお子さんの、中学校卒業後の進路について、大雑把ですがまとめてみたいと思います。大阪府の場合ですのでご注意ください。(情報は2023年6月現在です)



中学校卒業後のさまざまな進路


療育手帳をお持ちの方の中学校卒業後の進路として、大阪府では以下の選択肢があります。

①知的障がい支援学校の高等部(療育手帳の有無は問われない)
②高等支援学校 (療育手帳必須)
③自立支援コース・共生推進教室 (療育手帳必須)
④その他 (療育手帳の有無は問われない)

それぞれについて、簡単に解説します。

【1】(知的障害)支援学校 高等部

(1)通学区域

大阪府立の支援学校は、通学区域が決まっています。下のリンクをご覧ください。(資料には、視覚・聴覚・知的障がい・肢体不自由・病弱の支援学校についても書いてあります。)

tuugakukuiki.pdf (osaka.lg.jp)

(2)特徴

・比較的重度の知的障害がある方のためのカリキュラムが充実しています

・ほとんどの学校で、卒業後の就労をめざす「職業コース」を設けています

・給食があります

・通学バスがあります(自力で通学できるようになれば、自力通学します)

・「就学奨励費」(学校生活に必要な物品の費用を補う制度)のサービスを利用できます

「療育手帳」の有無は問われません

(3)入学したいときは

① 上の通学区域の表を見て、入学できる支援学校を確認するとともに、中学校の先生に相談します

② ①の支援学校のHPを確認し、「学校説明会」「学校見学会」等の日程を調べ、申し込みます(詳しい資料は中学校に届きます。中学校から一括で申し込む場合もあります。)

③ 「個別教育相談」に行きましょう(支援学校で開催します。学校見学会の折に説明があるでしょう。)

④ 1月下旬ごろ「出願」します
⑤ 3月中旬ごろ「入学者決定検査」があります

※ 中学部からそのまま高等部に進学される場合は、中学部の先生の指示に従ってすすめてください。

【2】高等支援学校

(1)通学区域

・大阪府内に5校あります。通学区域は、決まっていません。大阪府全域です。(「通学区域」のリンク参照)
uugakukuiki.pdf (osaka.lg.jp)

(2)特徴

・「卒業後の就労」に特化したカリキュラムが組まれています(支援学校高等部よりも全体的にテンポが速く、内容も高度です)

・職業訓練のための設備が整っています

・給食や学食はありません(昼食は各自持参)

・通学バスはなく、自力で通学します

・「就学奨励費」が利用できます

・「入学者選抜試験」(学力検査、作業検査、面接)があります

・「療育手帳」を持っていることが必要です

(3)入学したいときは

① 通学可能な高等支援学校のHPを確認、中学校の先生とも相談し、「学校説明会」「学校見学会」等に参加します

② 中学校の先生と必要書類を準備し、2月中旬頃「出願」、約1週間後「入学者選抜試験」
※後述の「自立支援コース」「共生推進教室」と重ねて受験はできません。

【3】自立支援コース・共生推進教室

(1)通学区域

・府内全域です

・自立支援コースは、府内に11校、共生推進教室を設置する学校は府内に10校あります

(2)特徴

・各校定員が3~4人です

・日々の学習は、「みんなと一緒に受ける授業(サポートが必要な場合はサポートあり)」と「個別に受ける授業」があります

・「入学者選抜試験」(保護者同伴の面接)があります

・「療育手帳」を持っていることが必要です

(3)「自立支援コース」と「共生推進教室」の違い

「在籍」「卒業資格」「カリキュラム」に違いがあります。

「自立支援コース」の場合は、高等学校在籍ですので、高校の卒業となります。支援学校に通う生徒のための「就学奨励費制度」は利用できません。また、授業はすべて、高等学校で受けます。

「共生推進教室」の場合は、高等支援学校在籍ですので、高等支援学校卒業となります。「就学奨励費制度」も利用できます。また、授業は、週4日を高等学校で、週1日は在籍校である高等支援学校で、職業の専門教育を受けることとなります。

詳しくはリーフレットに書いてありますのでご覧ください。

r5leaflet.pdf (osaka.lg.jp)

(4)入学したいときは

① 入学を希望する高校のHPで、「学校見学会」「学校説明会」等の日程を確認するとともに、中学校の先生と相談する

② 「個別相談」に行く(該当の高校に電話で問い合わせをして日程調整をする。)

③ 中学校の先生と必要書類を準備し、2月中旬頃「出願」、約1週間後「入学者選抜試験」(高等支援学校と重ねて受験はできません)

【4】その他の進路

上記以外に、

・専門学校等に進学

・一般入試を受験して高等学校に進学 

などの選択もあります。入学後の様々な配慮や教員の専門性、卒業後の進路保障については、学校によって大きな差があるので、HPや見学会などでよく調べてみてください。

【5】まとめ

「知的障がい」があるお子さんの、中学校卒業後の進路選択は、保護者さまも大変悩まれると思います。

高校、あるいは支援学校等が最後の学校生活になる方が多く、その学校生活が終われば、社会に出ることになるのですから。
(※最近は「エルカレッジ」のように、支援学校や高校等を出た後の学びの場もできつつあります)

進路選択をされるときは、できるだけ「説明会」や「見学会」に、ご本人と一緒に出向かれることをおすすめします。同じ校種でもそれぞれに個性があり、向き不向きがあります。

入学者選抜については、必ず大阪府教育庁の情報を確認してください。(下にリンクを貼っています)

また、各学校の情報についても各学校のHPをご確認くださいね!
刻々と変化しますので!


(参考)

大阪府/大阪の支援教育 (osaka.lg.jp)

大阪府/府立支援学校の入学者選抜・入学者決定関連 (osaka.lg.jp)


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