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西美濃方言講座 #5「大垣市赤坂方言と3大方言の比較~自立語アクセント」

1.名詞

 1拍名詞・2拍名詞のアクセントは表1・2のようである。Ⅰ・Ⅱは類別を表す。

図1 1拍名詞のアクセント
図2 2拍名詞のアクセント

 赤坂と名古屋は共通の東京内輪式、京都が近畿式、東京が東京中輪式である。近畿アクセントが高起・低起の区別がある声調アクセントであるのに対し、東京アクセントは区別のない非声調アクセントであり、両者の間に大きな断層がある。さらに、近畿アクセントの1拍/2拍名詞が、3型/4型であるのに対し、東京式は2型/3型と型が少ない。内輪式と中輪式は2拍名詞では同じ体系であるが、1拍名詞ではⅡ類の所属が異なる。

2. 動詞・形容詞

 動詞・形容詞の終止形のアクセントは、表3のようである。近畿式と東京式との間に大きな断層があるのは名詞と同様である。一方、3拍・4拍の一段動詞と形容詞では、近畿式と内輪式が一型であるのに対し、中輪式は無核0と有核-2の二型である。

表3 動詞・形容詞アクセント

 赤坂と名古屋は動詞・形容詞について同一の内輪式である。山口(1987)は、大垣アクセントの特徴として、「咲く」「続く」「働く」など、Ⅰ類のカ行五段動詞の大部分が有核化している点を挙げている。赤坂をみてると、以下のように変化している。
 ・1916年生れ  サク、ツヅク、ハタラク
 ・1936年生れ  サ]ク、ツヅ]ク、ハタラク
 ・1960年生れ  サ]ク、ツヅ]ク、ハタラ]ク


【参考文献】
山口幸洋(1987)「岐阜県下のアクセント⑴」『名古屋・方言研究会』4



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