デートに行くはずだったZさん
前回の街コン(下記事)に参加していたWさんと秋葉原に行く約束をしていたZさん。あれから彼はどうなったのだろうか。
ーーWさんとのデートはいかがでしたか?
私の問いかけに対して、Zさんは顔を伏せたまま何も言わない。
もしかしてデート中に何か粗相をしたのだろうか、だとしても失敗から学ぶのは人間の基本である。是非とも共有して次に活かして欲しいところではある。
「実は……ばっくれられたんです。あれから、Wさんと連絡がつきません」
ーーばっくれられたとは、具体的にどういうことですか。
「一昨日の朝のことです。僕は、会う当日の集合時間や集合場所を決めるためにWさんにLINEでメッセージを送りました」
「流石にすぐ返事が来るとは思っていなかったので、しばらく返信を待つことにしました」
「しかし、昼を過ぎても、夜になっても、返事は一向に来ないどころか、既読すらつきませんでした」
勤務時間中に私用の携帯電話を触ることのできない職業というのは確かに存在する。しかし、朝から晩まで返事が来ないというのは、おそらく相手に返信する意思が最初からないのだろう。
ーーブロックされている可能性は考えましたか?
「一応。LINEのスタンプをプレゼントできる(注1)かどうかで調べられると知ったので試してみたのですが、特に問題なくプレゼント画面を出すことができました。つまり、ブロックはされていないということです」
ブロックなどをしようものならすぐに調べられ、更にそれが相手を逆上させてしまう可能性もある。このような状況で、Wさんがあえて相手を刺激しないために未読無視という手段を取った可能性は考えられる、だがしかし、それほどまでにZさんとの関わりを拒絶したのだとすればよっぽどである。それほどまでに避けられる要因がZさんにあったのだろうか。
注1)ブロックされている場合、「相手は既にこのスタンプを持っています」と表示され、プレゼントすることができない。
振り返ってみれば、前回の街コンでもZさんの振る舞いがWさんに受け入れられていたかは多少疑問に感じる部分もある。Wさんの視点から見れば、街コンに紛れ込んできた頭のおかしい男に対して、とりあえず話を合わせて場を凌ごうとした、そういう解釈もできるからである。
一般論ではあるが、自らの意思や考えを表明することは思わぬ反発を招く可能性がある。更に最近では、SNSの発展により人と人が簡単に繋がれるようになったことで、その反発の内容が以前とは比べ物にならない程に危険になっていることが予想できる。
人は失敗を通して教訓を獲得し、自らの振る舞いを洗練させていくものだと私は考える。しかし対人関係については、このように「失敗」を与える側と受ける側の間で信頼関係がない場合において、フィードバックによる改善がうまく機能しない場合が多い。つまり、失敗を与える側は報復を怖れて何も言わずに去り、失敗を受ける側はその事実を受け入れられずに積極的に人と関わろうしなくなる。損失を最小化するという観点に立てば、これが最も合理的であるからだ。しかしこれでは、失敗した側には永遠に改善のチャンスが与えられないのも確かである。何かいい解決策があれば、筆者までご一報願いたい。
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