カープダイアリー第8462話「すっゴイ!推定年俸が3倍以上に…どうしてあの日、新井監督は島内に、ムチャ振りしたのか…」(2023年12月14日)

新入団会見も無事、終了。契約更改も大詰めを迎えて、いよいよ今年もあとわずか…

契約更改のスケジュールはカープ球団主体で決められる。もちろん注目選手ほど出番はあとになる。

あす大トリを務めるのは森下になりそうだ。松山も未更改だが、こちらは共同会見が予定されていない。代打での傑出した成績はしかし、評価が難しい。球団側との交渉が長引いたから最終日になったのかもしれない。

ふたりより一日早く、この日テレビカメラの前でいい笑顔を見せたのが島内だった。誰がこんなラス前での右腕の出番を予想しただろうか?

4700万円増(金額は推定、以下同)となり、今季の3倍超えの7000万円でサイン。会見では同時に大学時代からの交際相手と9月に結婚したことも明かし、支えてくれる存在に向けての感謝の言葉を惜しまなかった。

もともと、やさしい、いや優し過ぎるタイプ。過去4シーズンでは何がどう足りなかったのか?それを強く心に留めて開幕に備えたのも家庭を持ったからだ。

「技術面も不安、メンタル面も不安…」

自分で自分にダメ出しして、大きく自分を変えるために「ゾーンに自分のボールを投げる」ことに集中してみた。手本がそばにいた。やはり今オフ、大幅アップを勝ち取った「矢崎さん」だ。

理想は「藤川球児さんのような真っすぐ」。そんな思いを力強く後押ししてくれる言葉はまだほかにもあった。

「お前のボールはすごいから自信を持って投げてくれ」

2月のキャンプ期間中に行われた“個人面談”で新井監督からそう言われ、気持ちが楽になり、そして強くなれた。

中継ぎはタフでなければやっていけない。開幕第2戦、最初の登板で七回、一死からマウンドに上がり、いきなりオスナにソロホームランを打たれた。

初球、坂倉の構えたミットより高く入った真っすぐだった。

佐々岡監督の下での3年間を引きずっていれば、もしかしたらこの一発で今季も思うようにはいってなかったかもしれない。

だが、そうはならなかった。考え方を変えていたから別の道へ進むことができた。18試合連続無失点でその地位を固め、最終的にはチームのホールド記録を塗り替える39ホールドでタイトルも手にした。
 
今オフのチーム投手陣の契約更改では5000万円アップで1億円に達した床田が強烈だったが、その後ろにピタリとつけた。
 
大瀬良1億8000万円、九里1億4000万円は現状維持組。続いて2000万円アップで1億1500万円の栗林。そして床田と島内。トップ5はそういう顔ぶれになった。
 
男はタフでなければ生きていけない、優しくなければ生きている資格がない…
 
新井監督は優しい性格の持ち主だ。その点では島内とはおそらく波長が合うはずだ。
 
結果的には新井監督の下で島内は別の自分を見つけることがきた。
 
今季、両リーグ最多の62試合に投げた右腕は来季も「チーム最多登板」を目指す。勝ちゲーム、あるいは同点の場面で投げ続けるのは勇気のいることだ。もちろん首脳陣もその大変さを理解して、いろいろ配慮してくれるはずだ。
 
10月15日のマツダスタジアム。クライマックス・シリーズ、ファーストステージ突破を決めた直後の監督あいさつの場面で島内はムチャ振りされた。
 
どうしてあんなことになったのか?新井監督は島内にもっと、もっとファンに応援してもらえる大きな存在になって欲しい、と期待しているのではなかろうか。
 
そして似たような立場で自分探しを続ける他の選手に向けても、新井監督は訴えかけたかったことがあったに違いない。
 
今回、島内は交渉の席でユニホーム以外の名前入りグッズ販売を球団側に要請したという。新井監督がいつも言っているとおり、ファンとともに前へ前へ。1シーズンだけでなく、何年の活躍するためには、それが一番大切な思いになる。

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