カープダイアリー第8339話「新井カープ強さとは…スタメン復帰即連射のマット砲、久々一軍で五回途中までパーフェク投!の玉村」(2023年8月5日)

広島の空に向かって打て!

まだ強い西日が射すカープパフォーマンスからの放物線は爽快だったことだろう。二回、マットの一撃はそのままレフトスタンドコンコースの向こうに消えていった。2試合連続の11号先制2ラン。

「センター返しで二塁打、というイメージで待っていたら最後に甘い球がきた」

打ったのは、あまり沈まない、おあつらえ向きのフォークだった。

ゴマすりポーズでお出迎えの藤井ヘッドの隣で新井監督の笑顔も弾けた。

コンディションを見極めながら代打起用のマットにスタメン復帰ゴーサインを出したのが前日4日。試合後には「ホームランっていいですね!」とコメントした指揮官も2試合連発までは予想外?

それも理想的な流れになった。先頭の上本が11球粘って三振のあと坂倉が四球で出塁。じわじわと相手を攻めつけてドカンと一発!

三塁側ベンチの原監督は表情こそ変えなかったが、心の中では地団太を踏んでいたに違いない。

マウンドに送り出した山崎伊織はこの日までに投球回89と2/3。規程の95回に届いていないものの防御率2・81で、しかも6月4試合は同1・88、7月4試合も同1・91。さらに7月は4戦4勝で、7月11日のマツダスタジアムでは7回2/3を投げて無失点だった。

一方で右腕は6月25日のマツダスタジアムでは5回2/3、3失点。やはり二回、マットに2ランを打たれていた。巨人首脳陣にとっては悪い方のデータが立証されたことになる。

5対2と3点差に迫られた七回にはマットが四球を選んで続く田中広輔に6号2ランが飛び出した。ファンもきっと思っただろう。「ホームランっていいですね!」

この日がおよそ2カ月半ぶりの一軍先発となった玉村もそう頷いたに違いない。

五回ツーアウトまでパーフェクトピッチング。六回に1点失うと七回にも先頭の岡本和真に27号ソロを運ばれた。

続く秋広にはファウルで粘られたが10球目で二ゴロに仕留めた。続くオコエからは空振り三振を奪い7回を投げ切った。

オコエには4月9日のマツダスタジアムで先頭打者ホームランを打たれるとともに、この日はパーフェクトピッチングを止められた。そういう相手も含めて「気持ちで負けたらもうダメだと思いガンガンいきました」「このチャンスを逃したらもう今季はないな、とそれぐらいの覚悟でいきました」

開幕ローテ入りを果たしながら、結果を出し切れずに二軍調整を続ける日々。一週間前のこの日、甲子園で先発した森下が右手中指のマメの影響で出場登録を抹消された。同じ日にウエスタン・リーグ阪神戦(丸亀)で好投した玉村に声がかかった。

二軍ローテは7月半ば以降、コルニエル、遠藤、黒原、玉村…

この4人の中では玉村の状態が一番安定していた。

今のカープ支配下登録メンバーを見ればわかるが選手層は決して厚くはない。しかし文句を言っても何も始まらない。

現有戦力でどうセ界の荒波を乗り超えていくのか?ドームのない不利な条件の夏場を乗り切るのか?

日々、目の届くところで調整させて2試合連発へと導いたマット砲、二軍から呼び寄せて即、今季2勝目となった玉村。新井カープの強さの秘密、とはそういうものであり、日替わりヒーローたちはファンの声援や拍手をエネルギーに換えて、また次なる勝利を目指す。

チームは引き分けを挟んで3連勝、今季最多タイの貯金14…

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