カープダイアリー第8468話「限りなく透明に近いドジャーブルー、あと何年野球ができるか…1球の重み」(2023年12月20日)

カメラの前で、カープ球団旗とともに笑顔のガッツポーズを決めた。現役ドラフトで赤いユニホームに袖を通した内間拓馬。2020年のドラフト4位で楽天に入団、2021年は11試合、2022年は1試合に投げたが、今季は一軍登板ゼロだった。
 
「僕の魅力はストレートで、そこに対して自信を持って投げて欲しいと言ってもらった。実績のない僕をとってもらい、結果を出すことで恩返しになると思う」
 
150キロ超えのその「ストレート」で一軍昇格を目指し、イースタン・リーグでは17試合に投げて3勝無敗だった。
 
53回1/3で被安打52、被本塁打5、与四球30、奪三振33、防御率は3・88。
 
大卒でプロの世界に飛び込んで来季が4年目になる。亜大で同期だった矢野からいろいろ「広島のこと」を聞かされ、すでにイメージは沸いている。新天地で勝負!まずは2月のキャンプで日南から、故郷の沖縄入りを目指すことになる。
 
背番号は、10年間つけたのち今回の現役ドラフトで西武に移籍した中村祐太の67を引き継ぐ。
 
ライアン、マットらが広島に別れを告げて“空き”になった外国人枠4つは、マット・レイノルズ内野手、ジェイク・シャイナー内野手、トーマス・ハッチ投手、テイラー・ハーン投手が埋めた。
 
一岡、薮田ら移籍、または球団スタッフなどに転身によって生じた7枠には、先の新入団会見でひな壇に並んだ常廣羽也斗ら8選手が当てられた。
 
新たに赤い帽子をかぶることになる選手は、もうひとり。龍馬のオリックスFA移籍によって生じる人的補償選手だ。
 
カープ球団関係者の話を総合すると「熟考中」であり、巨人にFA移籍した丸佳浩の人的補償で長野久義を獲得するタイミングが年明けになったように、年内に決まらない可能性が高い。
 
ネット上では“広島移住”の候補選手の名前がいろいろ取り沙汰されてきたが、現段階で確実に言えることは、取るなら投手、ということだろう。
 
投手重視の考えは現場からの要請でもあり、球団側の方針にも沿ったものになっている。
 
150キロ右腕の肩書を背負ってこの日の会見に臨んだ内間拓馬は、新たなスタートを切るに当たってこうも言った。
 
「行け、と言われればどこでも投げるし、黒田さんのことばではないが投げる試合が最後になるかもしれないという気持ちを持って1試合1試合結果を残し、チームが優勝するためにひとつのピースになりたい」
 
先ごろ、カープ球団との間でアドバイザー契約を更新した黒田博樹さんのチームに対する影響力は計り知れない。
 
ロサンゼルス・ドジャースでの4シーズンで41勝、ニューヨーク・ヤンキースでの3シーズンで38勝。メジャー・リーグの名門チームでその剛腕を振り続けた黒田博樹さんは2014年の年の瀬に、カープファンへのクリスマスプレゼントとして”広島帰還”を実行に移した。
 
2015年2月17日の入団会見では金屏風の前で「あと何年野球ができるか分からないですし、カープで野球をすることの方が1球の重みを感じられるんじゃないかと判断しました」と話し、“男気”指数をさらに上げた。
 
その言葉は先日の青空会見で7000万人以上の視聴者に向けて大谷翔平が発した「野球選手として、あとどれくらいできるかっていうのは、正直、誰にも分からないですし、勝つことっていうのが僕にとって今、一番大事なことかなと思います」とも同期する。

黒田博樹さんは現役時代、何度マウンドに上がっても「投げる前は怖いし不安にもなる」と言っていた。大谷翔平の強靭なハートに宿る言い知れぬ重圧の存在は、本人にしか分からない。

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