カープダイアリー第8390話「マツダスタジアム上空に黄金の月、しかしCS進出決めた横浜スタジアム照らす月明かりに勢い」(2023年9月29日)

中秋の名月と満月が重なった。横浜スタジアムから見上げると雲の切れ間にその姿が見え隠れしていた。マツダスタジアムからだと、ライトパフォーマンス席遥か上空に“黄金の月”が輝いていた。

僕の情熱は今や…

森下のレギュラーシーズン最終登板は、そんな歌声が聴こえてきそうな投球内容になった。

初回から二死一、三塁のピンチを背負った。リーグ最多安打の先頭岡林に今季161安打目を許して苦しくなった。

三回には一死から再び岡林に右前打され、けっきょく28球も投じるハメになり2点を先制された。

右肘の不安と戦いながらも“完走”したことは見事というほかない。そしてこの日がちょうど20度目の先発マウンド。すでに規程投球回には届かなくなった森下にとって、残された目標は2年連続の二桁勝利のみ。

しかし三回を終えた時点で、その可能性は急激に失われていった。頼みの打線がおよそ2カ月ぶりの2勝目を目指すドラフト1位右腕、仲地の前にノーヒットに封じられていたからだ。

五回にもショート小園のエラー絡みで1点を失った森下には、その裏の打席で代打を送られた。不完全燃焼のまま、不安材料を抱えたまま初のCS登板に臨むことになる。

森下降板と引き換えに勝負をかけた五回の反撃は、仲地がくれた3四球に乗じて二死満塁となり二番・上本のことろで代打松山!しかしセカンドゴロに倒れて2万6851人と空席の目立つスタンドのため息を誘った。

同じころ大入り3万3267人の横浜スタジアムではDeNAが3点を奪い4対3と逆転に成功。直後の五回の守りでは一死満塁となったところで先発石田を諦め、大山には右腕宮城を、佐藤輝明へは左腕石川を投入して連続三振で大ピンチをしのいだ。

八回にも無安打で1点を加えたDeNAは4時間ゲームを制して2年連続5度目のクライマックス・シリーズ出場を決めた。お立ち台には育成出身の宮城と石川も呼ばれ、ふたりの横で宮崎が言った。「ほんとに(チームの)雰囲気もいいですし、このふたり若い選手も素晴らしいピッチングをしているのでほんとに頼もしいチームだと思います。残り全試合勝っていきますので応援よろしくお願いします」

マツダスタジアムの方は八回、大道がカリステにソロを打たれてリードを4点に広げられ、九回菊池の併殺打の間の1点だけでゲームセットとなった。

仲地の力のある真っすぐに押され気味の打線はその後も中日の継投策の前にわずか3安打に終わり、攻撃面でも課題を残した。

あすの予告先発は横浜スタジアムが今永、マツダスタジアムが九里。DeNAが引き分け以下の場合、カープナインの誰かがお立ち台に上がれば新井監督の2位が確定することになる。

ただ、宮崎の言うようにDeNAが明日以降残り3戦全勝でゴールテープを切るようなことになれば貯金は10。この日の敗戦で貯金9となった新井監督は、残り2戦1勝1分け以上で2位死守となる。

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